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ルナティック=リバース  第三話 〜貫かれる三叉槍〜  

 海中での探索も慣れてきた。

 サメを倒したことで、精神的な余裕も生まれていた。

 まさかここでの生活がこんなに楽しくなるなんて。

 僕は少しずつ、活動範囲を広げていった。

 

 ある時ふと、遠くを猛スピードで横切る巨大な群れが目に入った。

 あんな大きな魚もいるのか。サメだろうか。

 目を凝らすとそれは誤りだった。彼らは、武器を携えている。

 魚の顔をした一人が、同族と思われる三人に追われている。

 それぞれが三叉の槍を構えていた。

 先頭を逃げる者は血を流し、深手を負っている。助けないと。


「スウィム!」


 僕は追っ手側めがけて飛び出した。

 間近まで肉薄し、叫ぶ。


「バイト!」


 だが、放った噛みつきは槍一本と引き換えに回避されてしまった。

 敵は高速で回り込み、二方向から僕を凄い勢いで挟撃した。

 三叉槍が顔面と太腿を深々と貫き、次の瞬間、残りの一人の鋭い爪が腹部を容赦なく引き裂いた。


「ガッ……!」


 ワンテンポ遅れて、凄まじい激痛が襲う。

 左目の視界がありえない方向を見ている。

 ――ああ。眼球が、飛び出しているんだ。

 攻撃手段が『バイト』しかないのに、調子に乗ったんだな……。


 追われていた魚人は、目の前の惨状に呆然としている。

(逃げて……)

 そう伝えようとしたが、ほとんど口が動かない。


 トドメを刺したと確信した三人は、僕から槍を引き抜き、再び標的へと向き直った。

 

 視界も徐々に暗くなっていく。

 また、こんなところで死ぬのか……。

 

 意識が遠のきかけた瞬間、またもや脳裏に文字が浮かび上がった。


【スティング(刺突)】

【テア(裂破)】


 声が聞こえた。

 

 そして僕はあの言葉を唱える。

「リカヴァー……」

 口が微かに動いた。

 

 一方その頃、三人は一人を目掛けて猛追する。

「もう、これまでか……」

 魚人が覚悟を決めた、まさにその時。


「スティング!」


 槍を持たない敵の背が、不可視の刺突を受けて絶命した。

 慌てふためく残党に、僕は間髪入れずに襲いかかる。


「スティング!」


 防御した槍の隙間から光る槍が飛び出し、敵の体を貫いた。そして、僕は逃走を図った残る一人を追いかけ、攻撃した。


「スティング!」


 しかし、敵は器用にも槍で防御した。懐が空いたのを見逃さなかった。


「テア!」


 輝く光の「爪」が敵の肉体を両断した。

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