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ルナティック=リバース 第十三話 〜工房の二人の天才〜

「ありがとうございます」

 女王ベラルーナは深々とお辞儀をした。

「戦場に赴く前に、工房へお寄りください」

「工房?」

「町中や魚人の村などでも見たかもしれませんが、伝声管や調理器具、換水口などのインフラは一人の天才魚人が開発・改良したものです。その者が営んでいる工房があるのです。彼であれば、きっと役に立ってくれるはずです」

「行きます!!」

 僕は食い気味に即答した。あのシステムを開発したのであれば、かなり期待できる! 僕はこんな状況ではあるけれど、胸が高鳴った。

「申しわけないですが、我々では役に立たないかもしれません。しかし彼とスキュアルドであれば、敵を打ち倒してくれるでしょう。スキュアルド、よろしくお願いいたします」

「お任せください。必ずや敵を打ち倒し、国王と叔父貴の仇を取ります」

 

 女王に見送られて城をあとにし、スキュアルドは道すがら語り出した。

「蟹と戦った時、俺も現場にいたんだ。ただ、想像以上に強くて素早くて……もうダメかと思った時、最期に叔父貴が逃がしてくれた。お前だけは逃げろ、情報を女王まで持ち帰れ、って。俺は全速力で離脱した。遠くまで逃げて、奴の手の届かないところまで行って振り返った時、真っ二つになった叔父貴が見えた。俺はその光景を絶対に忘れはしない。この槍は、叔父貴が『これでお前も一人前の戦士だ』とプレゼントしてくれた特注品なんだ。お前は泳ぐのが速いから、きっと役に立つってさ。例え何があっても奴を倒してやる」

 僕は相当込み上げるものがあった。

 

 城下町の一角にその店はあった。看板にタコの絵が描かれている。店の横の呼び鈴ならぬ呼び銅鑼を叩くとドアが開いた。

「はい。あ、スキュアルド」

「よう、テティカ。親方いるか?」

「いる。こっち」

 大きな丸いゴーグルをかけた人魚の少女が出てきた。カウンターを通り過ぎ、奥へ案内されると――そこに大きなタコがいた。

 と思ったら、オーバーオールを着ている!? タコの魚人(?)だ!

「おう、スキュアルド。来たか」

「親方、連れてきたぜ。リベルだ」

「こんにちは。リベルといいます」

「お前さんがリベルか。話は聞いている。化物蟹を倒すんだってな」

 どうしても親方のビジュアルがすごすぎて、頭に入ってこない。親方は正面に触手(触腕?)が四本。手には指が二本ずつ、と思ったら、巨大な触腕が二本ずつ。計八本だ。親方の頭は上ではなく、フードのように首の後ろに付いている。下半身にはオーバーオールにたくさんのポケット、さらにエプロンまで付いていて、そちらにもポケットが溢れている。

 親方の情報を咀嚼したら、次はアシスタントの少女だ。テティカと言っていた気がする。彼女もまた、オーバーオールとエプロンを合わせたような服に身を包み、ポケットが至る所にある。ピンク色のショートヘアより何より目立つのは、瓶底メガネならぬ巨大なゴーグル。工房という閉じた空間で、二人ともが異彩を放っている。

「リベル、紹介するぜ。まず親方。この工房の主で、村長の幼なじみだ。そしてこちらがテティカ。工房のアシスタントで、女王の二番目の娘だ。まあ俺とテティカも幼なじみなんだけどな」

 

 情報が渋滞している。交通整理をお願いしたい。親方は信号機を作ってないのだろうか……?

「お姫様!?」

「って言っても第二王女だけどな。とても王女に見えないのも無理はない。こいつは変わっていてな。ただし天才だ」

「やった。褒められた」

「……ポジティブなところがいいところだ」

「スッきゅんもいい子だよ。お母様と一緒になでなですりすりしていた」

「子供の頃の話はよせえ!!」

 

 どうやら仲はいいらしかった。

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