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第二章 第百四話 〜ギルドカードと新領主〜

「それで、リベルに見せたいものがある。一階の受付に付いてきてくれ」

「見せたいもの、ですが?」

 

 泣き腫らした上に寝不足と過労でひどい顔になっているギルド長と神父様に促されて、僕は一階へと降りた。そして受付のワンチャンさんがそれに気付く。

「あ、ギルド長と神父様、リベルさんのアレですね?」

「アレ?」

 僕はキョトンと首を傾げた。

「リベルさん、どうぞ」

「あ、ありがとうございます……」

 平たい木箱を渡された。何だろう、これ?

 僕は青いたてがみの隣りの赤い髪を見る。

「ギルド長、これってなんですか……?」

「開けてみてくれ」

「……?」

 僕は木箱を慎重に開けると、そこには豪華な装飾を施された、白銀に輝くカードが出てきた。

「!? 何これ? もしかして……ギルドカード!?」

「そうだ。Cランクのギルドカードだ。これをかざせば基本的にはどの国や地域でも通れるはずだ」

「もちろん、実力で言えばもっと上です。あくまで手順を踏んだだけ、という側面もあります。もちろん、リベル個人の生体認証もキャッシュ機能もついていますので」

 すごい! またギルドカードがランクアップした! 僕にはコレクションするものはこれくらいしかないから余計に嬉しい。油時計は深海に置いてきたし、そもそも持ち運べないからね……

「ありがとうございます!」

「いやいや、俺らにはこれくらいしかできないからね」

「やはり、リベルの銅像を建てるべきでは……」

「やめてください」

「じゃあ記念館を――」

「やめてください」

 

 

 

「言われた通り、領主城に来たけど……」

 

(冒険者ギルドを出たら、領主城に寄ってください)

 

 場所は領主城なのに、建物が全く別のものになっていた。確かに、あれだけ破壊されたのであれば取り壊した方が早いだろう。壁面には足場が組まれていて、細かい部分の調整が進んでいるみたいだった。

 

 ふと足場に目をやると、ピンクやら紫やらオレンジのモヒカンが目に入った。

「あら? リベルちゃんじゃない! もう体の方はいいの?」

 キャサリンが手を止めこちらに来た。アンジェラとエリザベスも駆け寄ってきた。

「聞いたわよ、バケモノを一人でやっつけちゃったって。スゴイわね!」

「さすがはこの港町の英雄ね! ……の割には浮かない顔ね」

 三人が心配そうに身を屈めてきた。

「いや、みんなを救えなかったな、と思って……」

 三人はお互いに顔を見合わせる。そして苦笑いしながら語りかけてきた。

「それを言うなら私たちなんて全く役に立ってないわ」

「門のところのモンスターたちをやっつけはしたけど、肝心なところは何もできなかった」

「悔いがない、なんて思わない。正直、悔いしかないわ。私たちがもっと強ければ。私たちがもっと城や町のことまで気を配っていたら、って。でも、亡くなった人はどれだけ叫んだって帰ってこない。だから精一杯、もっといい町にしようと頑張っているの」

「ああ……それはギルド長と神父様にも言われたね……」

「でしょ? もちろん忘れることなんて絶対にしない。忘れてたまるもんですか。だから『ベルグハーフェンスタンピード公園』なんて名前も付けたし、今も新しい領主様が頑張っているわ。ねえ、領主様?」

「……え?」

 僕は三人の目線を辿り、一人の中年男性を見た。ヘルメットとタオルを首から下げて、汗水を垂らしている。

 

「あ、君が英雄リベル君だね? 僕はベルグハーフェンの新領主兼商業ギルド長、ベネディクト・ポルテです」

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