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第二章 第百三話 〜冒険者ギルドのこれから〜

コンコン。

 

「失礼します」

「はい……って、その声はリベル!?」

「そうです――」

 

ガチャッ!!

 

 ギルド長と神父様が部屋から飛び出てきた。二人とも目の下にひどいクマがある。

「おお、リベル! 起きたのか! 心配したぞ!」

「リベル! よかったです。ハラハラしていました……」

「さっき起きました。そして、みんなから色々聞きました――領主様が亡くなったことも」

「……そうか。それならば、ある程度話は早いな」

「領主城の復興工事は冒険者ギルドと商業ギルドが協力して行なっています。それに合わせて、いざという時は学校に避難する仕組みになりました。さすがに今の状態で領主城に押し寄せるわけにもいきませんからね――」

「……なるほど。ところで、僕は何をすればいいですか?」

「正直、リベルは活躍しすぎと言ってもおかしくないくらい、この町のために働いてくれた。おつりをもらってもあり余るくらいだ。もちろん、出せるだけ謝礼も出す」

「いや、いいですよ! 僕ももっと早くカラスマスクの企みに気付いていれば、誰も死なずに済んだのに……」

「それはそれ、これはこれだ。そんなことを言い出したら、なぜ冒険者ギルドや兵士たちは坑夫や避難民を救ってくれなかった、となるだろ? もちろんそれはそうだし、弁解するつもりもない。守れなかったんだからな。ただ、大切なのは、次にどう活かすか。また、予想、予測を立てて、より一層安全な町にしていけるか? ということだ」

「新しい領主様も人格者です。まだ経験は少ないですが、商業ギルドについても精一杯努力する、と言っていました。前領主様――御父上のことを大変悔やんでいましたね。自分が一番安全な場所、領主城の最上階の奥で、家族とのうのうと避難してしまっていた、と。結局、私たちもそうですが、前に踏み出して行くしかないと思っています」

「今回のことは『未曾有の災害』だ。今までの自然災害とはわけが違う。なんなら文字通り『侵略行為』だ。ただ、仕方ない部分と、そうも言ってられない部分があるからな。侵略行為に対しては徹底的に然るべき措置を執るのが当たり前だし、それに対しては対策を取らなければならない」

「――そうですね」

「こう言うと薄情に聞こえるかもしれませんが、リベルがいてもいなくても、あるいは、私たちがいてもいなくてもいいような、盤石な町づくりや仕組みが重要なのです。そのためには次の世代や他の自治体とも連携が必須になってきます――とまあ、そのあたりは置いておきましょう。

 ところでリベル、君はこれからどうしていく気ですか? いえ、もちろんこの町や教会にずっといてくれるのは構いません。むしろこの上なく頼もしいことです。しかし、深海から近い上陸地点であるこの港町に来た、ということは、さらに行きたい場所や、目的があるということではないでしょうか?」

「……そうです。まずひとつめですが、僕はお母さんを探しているんです」

「お母さんというのは……攫われて捨てられる前の……」

「はい、そうです。攫われた時、標的は僕だけでお母さんに対しては丁重に扱うと言っていました。だから無事だとは思うんですけど、いかんせんどこに行ったのかが分からなくて……」

「なるほど……それで、他にもあるんですか?」

「はい。ふたつめは、世界の色々な場所を見て回りたい、ということです」

「ほう。因みにそれはなぜですか?」

「あー……話せば長くなるんですが……簡単に言うと、僕はこの世界に来る前に前世でも殺されていて、しかも寝たきりだったから何ひとつ外に出られないまま生涯を終えたんです。だから、あちこち見て回りたいと思っている、ってだけです――」

 

ガシッ――

 

 突然、ギルド長と神父様に僕の両肩を掴まれた。

「苦労したんだな――!!」

「それは大変でしたね――!!」

 

 二人に号泣された。まあ疲れると涙腺も緩くなってしまうのだろう。

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