記録02 目覚めろ最強スキル①
空は、どこまでも高く、突き抜けるように青い。
吹き抜ける風はどこまでも柔らかく、頬を撫でては、谷底に眠る若い草の甘い匂いを運んでくる。
(あぁ、死ぬ)
(これは、絶対に死ぬ)
(死んでしまう)
一方で、俺の足元にあるのは、死を捏ねて作ったようなドロドロの黒い泥だ。
何百人もの人間が、一つの「塊」となって丘の縁に固まっている。重い鉄のブーツや、継ぎ接ぎだらけの革靴が、幾度も同じ場所を往復して土を捏ねくり回し、さっきまでそこにあったはずの春の息吹を粘り気のある黒い泥へと姿を変え、俺の足首を重く掴んでいる。
俺は、その泥にまみれた群れの、最前列の、どセンターに、立たされていた。
(ひぃぃぃ怖えええぇぇぇ)
(現実味がねぇぇぇぇ)
隣り合う肩。触れ合う腕。
左右には、自分と同じように泥を纏い、鉄錆びの臭いをさせた男たちが、びっしりと、隙間なく並んでいる。
誰も声を上げない。
聞こえるのは、風が草を揺らす音と、隣の男の、歯の根が合わないカタカタという震えだけだ。
(どうしてこんなことに?)
(いや、もう俺が悪いって事でいい)
(謝る! なんだってする!)
目の前は唐突に視界が開け、足元から先は、急激な勾配となって谷底へ落ち込んでいる。
そこには踏み荒らされていない春の緑が残っていた。短く、青々と茂った若い草たちが、陽光を浴びてキラキラと輝いている。その鮮やかな緑の絨毯は、V字に深く切り込んだ谷の斜面を覆い尽くし、そのまま対岸の丘へと駆け上がっている。
その、対岸。
二百メートルほど先だろうか。手を伸ばせば届きそうなほど、はっきりと見える、谷を挟んだ向こう側の丘。
そこにも、こちらと同じ「黒い塊」が、びっしりと、地平線を縁取るように並んでいた。
陽の光を反射して、時折あちら側の武器が鋭く光る。
彼らもまた、俺たちと同じように、この美しい谷間を見下ろしているのだ。
(あぁ、やめて…)
(やめてくれ…)
ふと後ろを振り返れば、そこには別の世界があった。
丘の上の、さらに一段高い場所。そこには、俺が一度も袖を通したことのない、磨き上げられた白銀の鎧を纏う一団がいた。彼らの乗る馬は、贅沢に与えられた餌で毛並みが艶やかに光り、退屈そうに前脚で土を掻いている。
その横には、長い杖を携えた魔導師たちが、彫像のように動かず立っていた。
(や、やめ…)
「……目覚めろ」
俺は、なまくら剣の柄を握る手に力を込め、自分の内側に向けて呟く。
泥にまみれた最前列の俺たちと、青い草が揺れる美しい谷間。そして、後ろで「開戦」の時を待つ、きらびやかな観客たち。
「目覚めろ…目覚めろよ、俺の…」
(やだぁ…止めて、止めて…)
風が、また一つ、優しく吹き抜けた。それが合図となっーー
((( 止 め ろ )))
ストップ。
ストーーーーーップ!!!!!!!!
やめろって言ってるだろwwwwwwwww
……私に言ってますか?
お前しかいねーだろ!!
これクライマックスシーンだよね!?!?
なんでいきなりここからなの!?
短めにまとめて行きたいな、と。
だからってこれさぁ、「どう生きたか」の終わりかけじゃん!
もうここからすぐよ!?
というか思い出しちゃったじゃん!
このあと死ぬの、ばっちり思い出しちゃってるんだけどwwwwwwww
では、もう少し遡りますね。
このまま行くの!?
え、どーすんの!?
どーしたらいいの俺!?
結末、自分で分かってて喋らされるの!?
辛くないっすかそれ?wwwwwwww
いや笑い事じゃないんだけどよ、マジで。
では改めて、お聞かせください。
ビジネスライクに進めるなあああああああwwwwwww
お前、他人の気持ちとかわかんねーんだろwwwwww
…謝罪と賠償を求めるっっ!!!
どう生きてどう終わりましたか。
あと、私に話しかけるのは極力控えてください。
なんじゃこいつ
なっっっんじゃこいつ!!
消すなよな、このやり取り!!!
残しとけよ!!!!!!
訴えてや
あー…




