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『カオスノイズ:東京拠点化計画~拠点を東京に移し、自分を殺せる勇者の育成に励むことにしました~』  作者: 猫寿司
第八章 ダイアモンドはただの石

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第七話:不条理の目覚めと、戦慄の揺動

 意識の底から引きずり戻されるような感覚と共に、ネネはゆっくりと目をさましはじめる。


 顔にかかる、生温かく、粘り気のある微かな「しぶき」。

 そして、自分の体が激しく、リズムよく上下左右に揺さぶられている感覚。


ネネ「……う、うう……。なに……ここ……」


 ぼんやりとした意識の中で、ネネの視界に飛び込んできたのは、月光に照らされて不気味に、反映的に揺れ動く「ナニカ」だった。


 それは、釜茹で儀式のために全裸となり、用意された塩と謎の汁を塗りたくられたユウサクの――皮をかぶった「ぞうさん」だった。


 ユウサクが彼女たちを助け出そうと(あるいは何らかの興奮で)激しく動いているせいだろうか。その肉塊は左右にぶらぶらとふれるたびに、さきからしるのようなものが飛び散る感覚で、ネネは目覚めると同時に、反射的に「それ」に向かって右アッパーを繰りだしていた。


ネネ「――死ねええええええええッ!!!」


 バチィィィィィィンッ!!!


 凄まじい肉撃音が響き、ユウサクは声にならない悲鳴を上げて宙を舞った。ネネは顔にかかった汁を袖で乱暴に拭い去ると、鬼のような形相で悶絶する全裸の男を見下ろした。


詰め寄る二人、震えるタヌキ


 悶絶の果て、ようやくユウサクが「お、お尻が……前が……」と震えながら意識を完全に取り戻すと、そこではネネとヴァレリアが、跪くマカロニを厳しく断罪している最中だった。


ネネ「ちょっと、あんた。よくも私たちを『刺身』にしようとしてくれたわね! おまけにこんな不気味な儀式の生贄にまでして……タヌキの分際でいい度胸じゃないの!」


ヴァレリア「そうだ! 勇者たる私を逆さ吊りにし、挙句の果てにこんな得体の知れない釜に入れるとは……。万死に値するわよ、この人食いタヌキ!」


 二人の激烈な怒りの前に、マカロニは小さくなって震えていた。


マカロニ「ごめんなさい……ごめんなさい! でも、私は……どうしても一族を救わなきゃいけなかったんですぅ……!」


呪われし一族の短命


 マカロニは涙ながらに、一族が抱える過酷な運命を語り始めた。


マカロニ「……私たちの先祖が、かつて犯したという悪行の報いで、私たちは『別の神』から呪いをかけられてしまったんです。その呪いは……『短命の呪い』。私たちタヌキ族は、どれだけ健康でも、だいたい二十五歳になると死んでしまうんです……」


 衝撃の事実に、ユウサクは目を見開いた。


マカロニ「だから、私は……。呪いを与えた神よりも、もっと大きな力を持つ神を呼び出して、この呪いを解いてもらおうとしたんです。そのために、あなたたちのような強大な力を持つ『供物』が必要だったんです……!」


ユウサクの慟哭


 マカロニの告白が終わるか終わらないかのうちに、全裸に塩まみれのユウサクが、喉が張り裂けんばかりの大声で泣き出した。


ユウサク「あああああ……っ!! なんて悲しい話なんだマカロニ!! 二十五歳なんて、まだ人生これからじゃないか! そんなの、そんなのあんまりだよぉぉぉっ!!」


 ユウサクは自分の股間の痛みも忘れ、マカロニの不条理な運命に全力で共感し、ボロボロと大粒の涙を流していた。


ネネ「(……あんた、さっきまで食われそうになってたのよ?)」


 冷ややかな視線を送るネネ。一方で、ヴァレリアはまだ自分の拳の感触を確かめながら「今の私の剣、やっぱり剣より冴えてるわ……」と、話を聞いているのか怪しい様子でうっとりしていた。


 広場には、ユウサクの嗚咽と、震えながら許しを乞うマカロニの悲痛な声が響き渡っていた。

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