表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『カオスノイズ:東京拠点化計画~拠点を東京に移し、自分を殺せる勇者の育成に励むことにしました~』  作者: 猫寿司
第11章 エゴだよそれは

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/113

第一話:勇者の里、ピンクの誘惑

「……ここが、『勇者の里』か」


 ユウサクは、どこまでも続く黄金色の田畑と、のんびりと草を食む家畜たちの姿を眺めて呟いた。

 道行く人々は穏やかな笑みを浮かべ、鍛冶屋からは規則正しい鉄を打つ音が響き、食堂からは香ばしいパンの匂いが漂ってくる。


 宿屋の軒先では旅人が足を休め、その隣には一際目を引く看板を掲げた建物があった。


『であいがあるが理想をもとめすぎない酒場』


「……なによ、その絶妙に妥協を感じさせる名前は」

 ネネが半眼で看板を指さす。


「いいじゃないですかぁ。理想が高すぎて結ばれないより、現実を見て手を打つ。これぞ持続可能な経済活動の基本ですよぉ」


 マカロニは、オアシスでのリハビリテーション事業のビジネスプランを強引に現地の後任へと押し付けてきたばかりだった。今頃はチャリンチャリンと金が舞い込むであろうビジネスの成功に、一人鼻を鳴らして思いを馳せていた。


 ヴァレリアはといえば、そんなやり取りには目もくれず、豊かな農場を見つめて独り言を漏らしていた。


「……良い土壌だ。ここで腰を落として、重りを持ったまま耕作に励めば、下半身の安定感がさらに増すに違いない……」


 もはや彼女の脳内では、あらゆる風景が修行の場として変換されているようだった。


ピンクの異彩


 一行が村の中心部へと進むと、そこには明らかにギルドと思われる、重厚な石造りの建物が見えてきた。

 だが、そのギルドのすぐ目の前に、この牧歌的な風景を真っ向から否定するような「異物」が鎮座していた。


 建物全体を縁取るのは、チカチカと点滅するどぎついピンク色のネオン装飾。

 入り口には羽根飾りのついた豪華な装飾が施され、中からはムワッとした芳香剤と酒の入り混じった、独特な匂いが漏れ出している。


「……ねえ、ユウサク。あれ、どう見てもギルドの出張所とかじゃないわよね?」

 ネネが引き気味に一歩下がる。


「……ああ。なんていうか、大人の社交場……っていうか、もっと直接的な何かを感じるな」

 ユウサクも、そのピンクの光に当てられて、入るのを躊躇っていた。


 一行がその「あやしい建物」の前で、ためを作って立ち止まっていると――。


「――おやおや。そこのお若い御一行さん、こんなところで何をお悩みかな?」


 ネオンの光の中から、一人の人物がヌッと姿を現した。


情報過多な勧誘


「当店はあくまで飲食店でありまして、基本料金は十五分で六千円となります。延長は十五分三千円。ワンドリンク無料となっておりますよ」


 男は淀みない口調で、不釣り合いな高額プランを提示してきた。


「今なら、当店大人気のショウゴ様を指名することもできます。ショウゴ様は高い道徳心と剣の達人でありまして、バイセクシャルな熟女好きでございます!」


「……ん?」


 ユウサクは眉をひそめた。

 道徳心が高いのに剣の達人で、性癖はバイセクシャルで熟女好き。


「……情報が混雑しすぎているぞ。どういう組み合わせなんだよ」


 ユウサクがツッコむ間もなく、男は「さあさあ、どうぞ!」と一行の背中を強引に押し始めた。


「あ、ちょっと、押すなって……!」


 混乱するユウサクたちは、流されるままにピンク色の光が渦巻く店内へと足を踏み入れるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ