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私の思考が、‘動き回る同僚さん’と‘眠れる美女シルヴィア’の違いについての考察を始めていると咀嚼を終えた小野が再び話始めた。
「まあ良くはわからないんだけどね。僕の場合は体ごと落っこちてるみたいだからその瞬間その場所に戻されてるんだと思う。君達の元に来た転移者達や僕の同僚は体を残してきてるからそちらの時間も経過する。本来それぞれの世界の時間の流れは同じじゃないけど体を残した転移の場合は両方の世界が一時的にその流れを同調させるみたいだよ。だから異世界で一時間過ごせば帰っても一時間経過してるんだって」
同僚さんが何度かの転移で滞在時間と元の世界の時間経過の関係を検証したらしい。
ここまで聞けば先ほどの雄真の含みを持たせた言い方も何となく納得出来た。転移の仕方によって時間の概念は変わる。小野のような転移の仕方もあるように、ユエが以前話してくれたシルヴィアや同僚さんのような転移の仕組みがその全てではない事が分かった。つまり他にも違った転移の仕方があるのかもしれなくて、そうなると時間の概念もそれぞれあるのかもしれなくて、明確な一つのルールがあるわけではないという事だ。
「結局謎のままだったろ?」
「そうね」
私は少し肩を落として見せたがある事に気がついた。
「でも、小野さんの場合も同僚さんの場合も異世界にいる間、元の世界の他の誰かが悲しんだりはしてないって事よね」
異世界転移を夢見る人は多いだろう。私もそういった作品を好んで沢山の書物や映像を楽しんできた。それでも私は異世界転移したいと思った事はない。自分が消えて悲しむ人がいると思うから。それと同時に、自分も大切な人達に会えなくなってしまうから。それを思うととても怖くて異世界に行きたいなんて思えない私は幸せなのかもしれない。そこまで思考して無神経だった事に気づく。
「あ、ごめんなさい小野さん。小野さんや同僚さんは任務が終わるまでは帰らせてもらえないのに、、」
彼らが消えても世界はそれに気づかない。任務が終われば帰れるのかもしれないが万が一任務が終わらなかったら、、
「優しいね、千歳ちゃんは。同僚は確かに可哀想だと思うよ。自分がいなくても家族の誰も悲しんでないんだからね。彼が帰れなくなっても誰も気づかない、怖い事だと思う。だから彼はいつも焦りを怒りに変えて誤魔化しているのかもね」
「小野さんだって、、」
小野だって自分が消えている事に誰からも気づかれていない、その事を言おうとしたが言葉にするのも残酷なようで続けられなかった。




