表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に精通している私達はたとえ時空のおっさんから協力を求められても動じない④  作者: さえ
第一章 驚くべき正体

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/58

4-3


 時空のおっさんに同僚がいるかもしれないという本人からの情報に私は少しだけ興奮していた。いや、先ほどからの小野の語り全てに実はずっと心が躍り続けている。時空のおっさんなのか最初は半信半疑だったがとても嘘をついているような感じもなく受け答えは淀みがない。まあ、なんであれ異世界の話が大好物な私はこのやりとりが楽しくて仕方なかった。良い年してオタクだと思われたくないから平然と聞いてるふりは完璧なつもりだが。


「僕以外にも同じような事をしてる人はいるよ。確かに同僚って言えるかもね。不足の事態の収束時にしか合わないから世間話もあまり出来ないけど、何度か一緒になった人達もいたな。この世界から来てる人にも会った事あるよ」


 この世界からも時空のおっさんとして異世界転移してる人がいるのか。確かに時空のおっさんをやってたって人のスレも読んだ事があるけどその人だったりして。


「へえ、そうなんだぁ。それで、転移者を所定の場所に連れていってどうするんですか?」

「どうもしないよ。その場所まで行けばいつの間にか消えてるんだよね。帰ったんだなって気がつくと僕も元の世界に戻ってる」

「あの!戻った時って、時間とかどうなってるんですか!?転移してた分だけ進んでるんですか!?」

「随分と乗り乗りになったもんだな」


 料理が出来たのかお盆を持って現れた雄真につっこまれた。私は異世界転移についてあれこれ考察するのが好きだが時間の概念についてはまだ仮説も立てられていない。それがまさに解明出来るかもしれないと思い夢中で質問してしまった。雄真のつっこみで我にかえると少し恥ずかしかった。


「だって、私達がこれまでに解明出来てなかった謎が解けるかもしれないのよ?」

「それはどうだろうな。まあ続きは飯食いながらにしようぜ。いつものテーブルで良いだろ?」


 雄真はすでにこの話を昨日聞いてるというのに含みを持たせる言い方はどういうわけか。気になりつつ、いつも転移者達と食事をしてきた席へと移動した。


「それで、どうなんですか?」


 席に着いていただきますを済ませるとパスタをフォークに巻きつけながら小野に答えをせがんだ。雄真には少し落ち着いてからにしろと呆れられたが小野は気にする風もない。質問する私にどこか嬉しそうな表情をして見えるが、きっと小野も異世界転移という非現実的な話をしたくても誰にも聞かせられずにいたのだろう。話を聞いてもらえるのは嬉しい事だし小野にとっても良い事だと思う。


「毎回転移した瞬間に戻れてるよ。場所もね。あくまで僕の場合はだけど」


 得られたのは僕の場合はという条件付きの回答だった。確か先月帰還したシルヴィアの世界はこの世界と時間の流れを同じくしていた。鏡を介して向こうに居る彼女の婚約者のセシルとも日々交流があったしそれは間違いない。昨日は帰還した時の様子を朔が教えてくれたが、シルヴィアが帰り着いたのは転移した日でもその場所でもなく、彼女の体が保管されていた婚約者の私室でこちらとの交流が断たれた直後のはずだ。シルヴィアは小野とは違う帰還を果たしているのは確かだから彼の言う「僕の場合は」と言うのは正しい言い方な気がした。


「同業者に会った事があるって言ったでしょ?作業服の人と良く一緒になるんだけど、いつも怒っててさ。訳を聞いたらいつも帰される時間がまちまちなんだって。その世界にいた時間が関係してるみたいなんだけど、数時間後って時もあれば一週間とか過ぎてる事もあるって。突発的で強制的に連れて来られる上、手こずって時間が掛かると自分の世界もとんでもなく時間が経過してたりして困るからいつも不機嫌だったみたい」


 小野の同僚さんの話はシルヴィアの例に当てはまる。滞在した世界と同じように時間が経過するのか。シルヴィアはセシルと交流出来ていたから時間が経過した世界に帰っても不都合はなかっただろうが、小野の同僚さんはきっとそうじゃない。きっと毎回、浦島太郎状態になってしまうのなら異世界に飛ばされれば機嫌も悪くもなるだろう。


「その同僚さんの場合は大変そうですね。帰ったら世界が少し変わってしまってるんだもの。それに突然倒れて意識不明になってるのよね?それも何度も。その度に病院に搬送されたりしてるのかしらね、気の毒に」

「ああ、マスターに聞いたけど少し前にいた女性の転移者はそうだったんだってね。でも彼は倒れたりなんかしないよ?彼の世界に残った体が普通に生活してるんだって。家族も全然彼が居なかったなんて思ってないし、職場に行けば普通に仕事してたって言われるらしいよ」

「何それ!ちょっと怖い」


 ねー、なんて呑気に小野は笑ってパスタを頬張っている。自分はそんな事ないから気楽なんだな。


 しかしそれじゃあ向こうのシルヴィアが気を失い続けたのは何でなのだろう。同僚さんとの違いが何かあるのか?元の世界の位置関係とか?同僚さんはこの地球の別の世界線の人で、シルヴィアは本当の異世界人だ。その違いは大きい。


 あとは転移した時の状況が関係してるとかか。シルヴィアは事故に遭いかけて気を失い転移したから、気を失ったその状況が続いても大きな混乱は生まれない。同僚さんの場合は普通に生活していて転移が発動したのならやはり体は日常を続けるよう作用するのかも?熟考の価値ありだな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ