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異世界に精通している私達はたとえ時空のおっさんから協力を求められても動じない④  作者: さえ
第五章 星空の下で

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 薄暗い会場内は平日であるにも関わらず結構人が多く空席も少なかった。私達三人が並んで座れる場所を何とか確保する。席を探して移動しながらも出来る限り人の顔を確認してみたが、いかんせん薄暗い会場だ。子供連れも多く社畜さんと晴翔君に似た人を僅かな時間で特定する事は出来なかった。


「居たか?」

「ううん、良く見えなくて」

「この中に居る事は間違いないと思う。しっかり独特の香りがするから。でも黄泉竈食ひのせいなのかな?他の転移者みたいに上手く場所が特定出来ない」


 小声で話ながら私達は周りを見渡したりするが会場の照明が更に落ちていく。どうやら上映プログラムの始まりらしい。今日この地域の夜空がどんな様子なのかを、暗転した天井に星の光を徐々に輝かせながら担当者が解説を始める。


「とりあえず今はプラネタリウムを楽しもう。どの道僕達も晴翔君達も動けないし」

「終わったら出口にいち早く行って、出て行く奴らを確認しようぜ」

「そうするしかないわね」


 私達はようやく背中を座席に預け頭上の映像に集中し出した。普段星空を見上げる事などない。最近だと夏の流星群を見上げた時以来かもしれない。解説を聞いているとこんなにも大きな存在をよく私達は気にも留めないでいられるものだと不思議な気持ちになる。


 今日の夜空、今夜外に出たら広がる光景が目の前に再現されていく。きっと今ここに居る人達は今夜だけは夜空をゆっくり見上げるかもしれない。そこに確かにあるのに普段は意識しない宇宙の存在をきっと強く認識するのだ。何処の誰かも知れない人達と、それぞれの居場所で同じように空を見上げるきっかけをこうして得ていると思うと巡り合わせや運命というものを感じる。


 この空間に居るのは今日のこの時間にこの場所に来ようと思った人達だ。でも、そうしようとしてやめた人も居るだろうし私も元は雄真と二人でここに来るはずだった。もしかしたら、先程駐車場を出ていればこうしている事はなかったし晴翔君を見つける可能性を無くしていたかもしれない。色々な可能性と選択の末に今の自分があって、他の道を進んでいたらまた違った自分になっていたわけで、その可能性の数だけ並行世界は発生している。きっとそれはこの目の前に広がる宇宙の星の数にも匹敵する程。そう考えると何気ない日常も奇跡なんだなと思える。


「おい、ぼーとしてないでクイズに参加しろよ」


 雄真の声にハッとして意識が今に引き戻された。夜空に問題とその答えとなる選択肢が表示されて居る事にやっと気づく。


「まさか今回も寝て過ごすつもりじゃないだろうな?」

「寝てないわよ!えーとクイズでしょ、クイズ」


 座席の手摺には回答に使うボタンが設置してあって、上映中は解説員の問いかけやクイズなどにそれを押して答えて参加するのだ。


「なんか子供の頃の課外実習を思い出すね」

「移転前の方でしたけど、確かに遠足かなんかで来た覚えがあります。こう言うクイズにも真剣になってたな」

「そうだったね」


 その時会場内が少しざわついた。正解が頭上に表示されて正解した人や間違えた人それぞれの反応で会場が少しの間どよめく。大人でもつい熱がはいってしまうここのこう言う演出は素敵だなと思う。私達はこのひと時、童心に帰ったようにプラネタリウムを楽しんだ。




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