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異世界に精通している私達はたとえ時空のおっさんから協力を求められても動じない④  作者: さえ
第五章 星空の下で

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4


 私達が駆け寄ってくるのに気がついたのか、小野は態度を落ち着けて待っていてくれた。


「どうかしたんですか?」

「うん、匂いがした気がしてね」

「転移者っすか?指示は何も?」

「新たな指示は無い。だからもしかしてと思ったんだけど」


 小野に指示を送る何者かは晴翔君の行方を知らないから指示が来ることはない。先程の少年のように普通の迷い転移者であれば通知が来るはずだから、それが無いのに転移者の匂いがしたならそれは晴翔君かもしれないと言うことだ。


「晴翔君も車を降りて天文台に向かっているのじゃない?」


 ここは天文台の駐車場だ。誘拐犯の運転でここに来ている可能性は大きい。


「その逆かもしれないだろ。今までここに居て、車でどっか行っちまったのかも」

「その可能性もあるよね」


 確かにそうだ。匂いの正体が晴翔君だとしても、もうここには居ないかもしれない。


「どうしますか?小野さん」


 出て行ったのだとしたら今なら晴翔君を追えるかもしれない。でももしかしたらここに居るのかもしれないし、私や雄真には判断が出来ず小野に委ねる。


「とりあえず、プラネタリウムでも見に行こうか」


 考える素振りもなく小野は答えた。せっかく晴翔君を見つけるチャンスなのに、私達の予定を優先しようと言うのならそんな必要はないのに。


「プラネタリウムなんてまたいつでも来れます。今は晴翔君探しを、、」

「僕が君達と来れるプラネタリウムはこれが最後かもしれないよ?」

「でも、、」


 晴翔君を見つけるせっかくのチャンス、それこそ次があるか分からないのに。


「それに、この中に晴翔君が居る可能性もまだあるしね。いくら僕が刑事だからって、出て行ったかもしれない何の目印もない車を追うなんて無理だ。そっちに掛ける方が無謀だよ」


 小野にそう言われては私に言える事はない。視線を向ければ雄真も小野の言う事に賛成だと言うように頷いた。それならば、私はせめて誘拐犯の可能性のある社畜さんの姿がないか注意しておこうと心に決める。


「分かりました。社畜さんに似た人がいないかしっかり見ておくようにしますね」

「頼りにしてるよ、千歳ちゃん」


 私達は行動方針が決まると天文台の建物に向けて歩き出した。その間も道ゆく人、すれ違う親子連れを注意深く観察するのも忘れない。


 建物内に入ると人の塊が出来ていて、その先の扉にどんどん進んでいく。タイミング良くプラネタリウムの開場時間のようだった。その一団の方へ小野が注意を向ける。


「小野さん?もしかして、、」

「うん、こっちで正解だったかも。多分居る」

「俺、とりあえずチケット買って来ます。千歳は知った顔がないか小野さんと残って観察しててくれ」

「分かった」


 雄真はこれからの上映回に間に合うよう急いでチケット購入に走ってくれた。私は小野と共に入場していく人を観察する。


「千歳ちゃん、どう?」

「社畜さんらしい人は見当たりません」

「もう中に入った後だったのかもね」


 そこにチケット購入を済ませた雄真が戻ってきた。晴翔君達の姿があったか問われたが私も小野も首を横に振る。


「とりあえず入ろう」


 小野に促され私達はプラネタリウムの会場内へ足を進めた。




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