2.
ダグバに一年遅れて入学した王立のザインダ学園。この学園は国が設立した教育機関であり、全ての貴族の子供達にこの学園の入学試験を受ける権利がある。その学園の卒業記念の王宮のパーティーが今から始まる。そして、そのパーティーでダグバはバラバとの婚約を破棄するつもりであることが分かっていた。
「バラバ様!」
「どうしたのザザル?」
「どうしたもこうしたも王子のことです! バラバ様があの馬鹿王子に出した手紙が一切開封されないでそのまま返ってきたのです! なんて失礼なんでしょうか、正気とは思えません! バラバ様という婚約者がいらっしゃるというのに別の女性をエスコートされるなんて信じられませんわ!」
「……そう」
青髪碧眼の専属侍女ザザル・ギャリドは怒りをあらわにしている。それというのも在学中にダグバはバラバとは別の女性に心を奪われていたのだ。しかも、婚約者のある身でありながら心変わりを隠そうとはしない。むしろ校内喫茶店をはじめ、色んな場所で仲睦まじい姿を見せていた。
「ダグバ様はベミウ様にそこまで……」
「そんなの、納得できません!」
ベミウ・ジャーザ男爵。淡い金髪に碧眼、小さな華奢な身体、クルクルと変わる表情はダグバの好みのタイプの女性だ。それだけでなく、好む恋愛小説の傾向、お茶とお菓子の銘柄、趣味嗜好がかなり一致している。真っ直ぐなダグバが運命と感じてもおかしくはないがバラバにはベミウが何か目的があって近づいたようにしか思えない。
「どうして……!」
バラバはそんなダグバの豹変ぶりに驚きを隠せなかった。誰しも心変わりをすることはあるのだろうが、ダグバは王族であり、校内では極力身分を問わないという校則があっても、彼は他の生徒と同じではないと分かるはずだ。
嫌な予感を感じたバラバは何度もダグバに行動を慎むよう説得を始めた。何度も物事には順序というものがあると話したのだ。それは、ダグバのためであると言い続けた。
「ダグバ様、ベミウ様との距離が近すぎます」
「またその話か……もううんざりだ!」
「!」
しかし、注意をするバラバの言葉は聞き入れられることはなく、むしろダグバは醜い嫉妬と捉えられて話を聞かない。物事には順序というものがあるが、ダグバは正しい手順をふまずに、すっ飛ばして行動している。正義感の強いダグバらしくもない。バラバは何者かの策略を感じず独自に調査を行った。




