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第三巻 第七章 (「自身を知りなさい」)

 第三巻 第七章 (「自身を知りなさい」)(政治能力が有る人は政治家に成る国民としての義務が有る)


 さて、ソクラテスが見た所、(第三巻 第六章の主要人物であるグラウコンの祖父である同名の)グラウコンの息子であるカルミデスは、影響力と実力が有る人であった。

 (カルミデスは、第三巻 第六章の主要人物であるグラウコンの叔父である。)

 カルミデスは、事実、当時、政治に専念していた多数の人達よりも大いに能力が有る人であったが、同時に、大衆へ近づくのを避けたり、国家に関わって忙しく成るのを避けたりする人であった。

 そのため、次のようにソクラテスはカルミデスに話しかけた。

「教えてください、カルミデスよ、もし、競技場で勝利を勝ち取る力が有って、勝利者への冠を受け取る力が有って、競技場での勝利によって栄光を自ら勝ち取って、ギリシャ人が『ヘラス』と呼んでいる『ギリシャ人の地』で祖国の栄光をより大いなる物とできる、ある人が、競技への参加を拒否するつもりであるならば、あなたカルミデスは、その人をどのような(たぐい)の人であると見なしますか?」

 (次のようにカルミデスは答えた。)

「明らかに、男らしくない臆病な奴ですね」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、もし、国政に専念する事によって自国を高める事ができるし、自国を高める事によって栄光を自ら勝ち取る事ができる能力が有る、別の、ある人が、(政治を)避けたり、ためらったり、前へ出るのを渋ったりするつもりであるならば、どうだろう? その人も臆病者と論理的に見なさないか?」

 (次のようにカルミデスは答えた。)

「多分(、そうですね)」

「しかし、なぜ、あなたソクラテスは私カルミデスに、これらの質問をしたのですか?」

 (次のようにソクラテスは応えた。)

「なぜなら、『(政治)能力が有る、あなたカルミデスは、都市国家アテナイの市民であるという理由だけで貢献する義務が有る事(、避ける事ができない事)(、政治)に身を捧げるのを避けている』と私ソクラテスは考えているからです」

 次のようにカルミデスは話した。

「あなたソクラテスは、そのような厳しい判決を私カルミデスに下す、(政治)能力を、私のどこに見つけたというのですか?」

 次のようにソクラテスは話した。

「私ソクラテスは、次のような人達(、政治家達)の集まりで明らかに十分に、あなたカルミデスの政治能力を見つけました」

「政治家達の集まりで、あなたカルミデスは、当時の政治家達と会っていました」

「私ソクラテスが見ていると、政治家達が、あなたカルミデスに相談するたびに、どんな問題点についても、あなたには与える事ができる常に善い優れた助言の知識が有りました」

「また、政治家達が(知らずに政治的な)失敗をしたら、あなたカルミデスは、すぐに、(政治家として)力不足の点について触れていました」

 次のようにカルミデスは話した。

「ソクラテスよ、個人的に話し合って論理的に説得する事と、議会の群衆の中で立ち向かう事は、別なのです」

 次のようにソクラテスは話した。

「けれども、計算できる人は、独りだけで座っている時と同じように、群衆の中でも、全ての計算ができます」

「また、内輪(うちわ)でも竪琴の最優の奏者は、公でも勝利を勝ち取ります」

 次のようにカルミデスは話した。

「しかし、『謙虚、(慎重さなどをもたらす良い意味での)臆病さは、人の性質の中に植えつけられている感情である』と、あなたソクラテスは考えませんか?」

「そして、(謙虚、慎重さなどをもたらす良い意味での臆病といった、)これらの感情は、親しい友人達の輪の中よりも、群衆の中で、人に対して、より強く成るのです」

 次のようにソクラテスは話した。

「ええ、しかし、私ソクラテスが、あなたカルミデスに教えようと決めたのは、『あなたは、(政治に)最も通じていて権力が最も強い人達(、政治家達)の前では、そんなに恥じらいを感じない一方、弱者達や愚鈍な人達の中では、笑いものにされそうで口を開かない』という事なのです」

「あなたカルミデスが恐れている群衆の一部は、毛織物をフェルト状に布状に仕上げる労働者達ですし、靴屋達ですし、大工達ですし、銅細工師達ですし、商人達ですし、農業従事者達ですし、商品を交換する、『どうして他の人達は、これを安く買うつもりであり、他の、あれを高く売るつもりであるのか?』と考えている、市場の行商人達ですよね?」

「これらのような人達の前では、『民会を構成している単一最小要素である』などという理由で、あなたカルミデスは恥じらってしまうというのですか?」

「では、訓練している競技選手達のうち上位者であるのに、未熟者どもの一群を前にして臆病に成ってしまっている、ある人の振る舞いと、あなたカルミデスの振る舞いは、どう違うというのか? いいえ! 違いは無い!」

「(アテナイの)一流の政治家達のうち何人かは、(虚栄心で、)あなたを見下すふりをしますが、都市国家アテナイでも一流の政治家達と気楽に議論できる、あなたカルミデスが、人気が有る熟練の弁論家よりも大いに優れているのに、人生で政治について考えた事が一度も無い国民達、あなたを見下す思いが心の中に浮かんだ事が確実に一度も無い国民達の一群に直面すると、すぐに、『笑いものにされる』という強い恐怖で口を開くのを恐れているのは、事実ではないか?」

 (次のようにカルミデスは答えた。)

「ええ、しかし、『正常な議論が頻繁に民会での嘲笑をもたらしてしまう』と、あなたソクラテスは認めるでしょう」

 次のようにソクラテスは話した。

「それは、同様に、他の人達(、政治家達)にも当てはまりますよ」

「(嘲笑されるかもしれない過ちを犯しても、)この傲慢な人達(、政治家達)に、とても気楽に上手に対応できる、あなたカルミデスが、『カルミデスは庶民達に立ち向かう事はできない』と、何と、自分に思い込ませているのは、まさに、私ソクラテスを驚かせるのです」

「私ソクラテスの善き友人であるカルミデスよ、自身について無知であるなかれ」(「自身を知りなさい」)(古代ギリシャで神託をもらえる事で知られていたデルポイのアポロン神殿の入口には「自身を知りなさい」と記されていた。)

「『自身以外の他の世界のものを調べるために(自身から)急いで離れてしまって、自身に振り返って自身を調べる時間が無い』という、人の最もありふれた誤りに陥るなかれ」

「さらに、『自身を知る』のは、臆病といった種類のものによって手を引いてはいけない、義務なのである」

「それどころか、自身に良く注意を払う用意をする必要が有ります」

「そして、公事、国事、国政、政治に関して、もし、どんな手段でも、あなたが政治を改善できるのであれば、政治を行わない事なかれ」

「最後に、政治の分野での成功は、『多数の同胞の国民だけではなく、個人的な友人達と、あなた自身が、あなたの行動によって利益を得る』という意義、価値が有るのである」

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