第三巻 第五章 (恐怖は従順と秩序と専心の好機)
第三巻 第五章 (恐怖は従順と秩序と専心の好機)(慢心による無秩序と反抗に注意)(慢心による堕落に注意)(優れた先祖や最前線にいる競争相手を学べ)(無学な上位者は反抗を招く)(天然の要塞の活用と奇襲の勧め)
ここで、大いなる政治家である大ペリクレスの、息子である小ペリクレスと(ソクラテスの間で)行なわれた会話を(私クセノフォンは)紹介できる。
(ある時、ソクラテスは、小ペリクレスという人へ話しかけた。※別の版)
次のようにソクラテスは話し始めた。
「小ペリクレスよ、あなたが、軍事の長官(である将軍)に成ったので、我々の都市国家アテナイの軍事を大いに向上させるのを、私ソクラテスは、楽しみにしている、と言わなければいけない」
「アテナイの栄光が高まるだろう、と私ソクラテスは期待しています」
「我々の都市国家アテナイは敵対者達を圧倒するだろう」
次のように小ペリクレスは応えた。
「あなたソクラテスの言葉が実現するのを、私、小ペリクレスは、心から望んでいますが、どうしたら、そのような幸せな結果を獲得できるのか、知るのに困っています」
(次のようにソクラテスは話を続けた。)
「賛否を議論して調和させて、可能性が、どの程度、存在するか考えてみましょう」
(次のように小ペリクレスは答えた。)
「ぜひ、そうしましょう」
次のようにソクラテスは話した。
「ええ、では、人数という点では、アテナイ人は、ボイオティア人に劣っていない、と知っていますか?」
次のように小ペリクレスは話した。
「はい、知っています」
次のようにソクラテスは話した。
「では、ボイオティア人は、(心の)美しい健全な人達のうち、アテナイ人よりも、より優れた選び抜かれた人をもたらす事ができる、と思いますか?」
次のように小ペリクレスは話した。
「その点では、我々アテナイ人は、とても良く持ちこたえている、と思います」
次のようにソクラテスは話した。
「では、アテナイ人と、ボイオティア人という二つのうち、どちらが、より一致団結している、より仲が良い人々である、と思いますか?」
次のように小ペリクレスは話した。
「アテナイ人が、より一致団結している、より仲が良い人々である、と私、小ペリクレスは思います」
「なぜなら、ボイオティア人の非常に大部分の人達が、テーバイ人の利己的な政策に怒っていて、テーバイ人の支配に悪感情を抱いていますが、アテナイでは、そのような事は何も無い、と私、小ペリクレスは思います」
次のようにソクラテスは話した。
「では、『(アテナイ人よりも、)より名誉を大事に守る人々、また、より誇り高い精神の人々はいない』と多分あなた小ペリクレスは思うだろう」
「そして、このような気持ちは、愚鈍な精神の持ち主ですら、栄光のために、また、祖国のために、全てを賭けるように高めるように鼓舞する強さと成るのである」
次のように小ペリクレスは話した。
「そして、この点において、アテナイ人に大きな落ち度は無いのです」
次のようにソクラテスは話した。
「また、先祖の善行を熟考すれば、(善行を)鼓舞する記憶という、とても豊富な伝承に属する人々は、我々アテナイ人以外にはいないのである」
「そして、先祖の善行によって、我々アテナイ人のうち、とても多数の人達が、善行を献身的に追求するように鼓舞されているし、自身も先祖のような勇者であると示すように鼓舞されているのである」
次のように小ペリクレスは話した。
「ソクラテスよ、あなたの話は全て、もっともな真実です」
「しかし、トルミデス指揮下の千人のアテナイ人の重装歩兵によるボイオティア人に対しての紀元前四百四十七年の『コロネイアの戦い』の大失敗からずっと、ボイオティアのデリウムまたはデリオンでの紀元前四百二十四年の『デリウムの戦い』または『デリオンの戦い』でのアテナイのヒポクラテス指揮下の千人のアテナイ人の戦死も重なって、アテナイの栄光は、ボイオティア人と比べて、下落してしまっているのを、あなたソクラテスは気づいていますか?」
「一方、テーバイの気運も、アテナイと比べて、アテナイの栄光の下落に応じて、高まってしまっています」
「そのため、ボイオティア人は、昔は、ラケダイモン人と自称しているスパルタ人と、ペロポネソス半島の他の都市国家に助けてもらえなければ、自分の領土内でさえも、アテナイ人と戦う危険は冒さなかったが、今では、独力で、アッティカ地方内へ侵略して、アテナイ人を脅かしてしまっています」
「そのため、アテナイ人は、昔は、ボイオティア人だけをあしらうのであれば、ボイオティア人の領土を荒らしたが、今では、『ボイオティア人は、いつか、アッティカ地方を蹂躙してしまうかもしれない』と恐れてしまっています」
その言葉に対して、次のようにソクラテスは話した。
「ええ、私ソクラテスも、そうであると気づいています」
「しかし、今くらい、都市国家アテナイが、より従順で、真に優れた指導者にとって機が塾している時は無い、と私ソクラテスには思われるのです」
「なぜなら、仮に勇気が不用意、気のゆるみ、不従順の原因に成ってしまうのであれば、恐怖の方は人々をより専念する気にさせるし、従順に成る気にさせるし、秩序良くする気にさせるからである」
「その証拠を船上の人々の行動で知る事ができます」
「恐れるべきものが無い、穏やかな天候の時期には、無秩序が支配的である、と言えます」
「しかし、嵐への恐れが有るか、視界に敵がいると、すぐに、状況は変わります」
「命令の言葉が各々守られるだけではなく、暗黙の期待が静かに存在します」
「合唱隊が指揮者を見るように、船乗り達は次の合図をとらえようと待機します」
次のように小ペリクレスは話した。
「では、実に、『今が良い潮時として従順に成る好機である』と考えると、今とは、どのような方法で、古くからの勇気、栄光、昔の時代の良い状態を熱望する、古くからの同胞の心の火に、再び火をつけるのか、説明するべき時でもあります」
(次のようにソクラテスは話を続けた。)
「ええ、今は他の民族にとられてしまっている、それらの物質的な富をアテナイ人に獲得させたいと望むのであれば、『それらの富は、アテナイ人には当然の権利が有る、先祖からの財産である』とアテナイ人に明らかにする方法こそが、切望している諸物をアテナイ人に獲得させようと鼓舞する事ができる最良の方法なのです」
「ただし、私ソクラテスと、あなた小ペリクレスの目的とは、高徳な超越へアテナイ人の心を向けさせる事なので、『徳と結びついている、このような主権は、全ての他の民族を超越してアテナイ人に付属されている、古くからの遺産なのである』とアテナイ人に証明する必要が有ります」
「そうして、もしアテナイ人が、それらの富を得ようと真剣に努力すれば、アテナイ人は、すぐに、世界の最高位に成るだろう」
次のように小ペリクレスは話した。
「どうしたら、このような知恵を教え込む事ができるでしょうか?」
次のようにソクラテスは話した。
「アテナイ人の記憶に今も残っている、『名前が知られているアテナイ人の最古の先祖達も最も勇敢な英雄達であった』という事実をアテナイ人に思い出させる事によって、『このような知恵を教え込む事ができる』と私ソクラテスは考えています」
(「アテナイ人に今でも知られている、『名前が知られているアテナイ人の最古の先祖達も最も勇敢な英雄達であった』という事実をアテナイ人に思い出させる事によって、『このような知恵を教え込む事ができる』と私ソクラテスは考えています」※別の版)
次のように小ペリクレスは話した。
「『(都市国家アテナイの最初の王である)ケクロプスと家臣達は、ケクロプス達が高徳であったので、(戦闘的な知恵の女神アテナと海神ポセイドンが、どちらかをアッティカ地方のアテナイ人に崇拝させるために競争した)裁判の判決を神々が下すために(証人として)呼ばれた』のをあなたソクラテスは言及する、と私、小ペリクレスは思います」
(
ケクロプスは後に「アテナイ」と呼ばれる都市国家の最初の王に成った。
アッティカ地方のアテナイ人に自身を崇拝させるために、まず、海神ポセイドンはアクロポリスに海水の泉を創造し、次に、戦闘的な知恵の女神アテナはケクロプスを証人としてオリーブの木を植えた。
主神ゼウスがアテナとポセイドンの競争を仲裁して、神々がアテナとポセイドンの競争を裁判した。
神々の裁判でケクロプスはアテナに有利な証言をした。アテナは、ポセイドンとの裁判に勝ってアッティカ地方を所有し、「アテナ」という名前からケクロプスの都市を「アテナイ」と名づけた。
アテナとの裁判に負けたポセイドンは怒ってアッティカ地方を海水で水浸しにした。
ケクロプスは下半身が蛇である象徴的な姿で壺などに描かれている。
ケクロプスは、ゼウスへの捧げ物を動物から菓子へ変えた。
ケクロプスは、アテナを崇拝するようにアテナイ人に勧めた。
)
次のようにソクラテスは話した。
「ええ、それと、(アテナイの王の一人である)エレクテウスの誕生と生い立ちと、エレクテウスの治世での、ちょうど陸続きの都市エレウシスからの侵略の流れを止めた戦いにも、私ソクラテスは言及します」
「また、ペロポネソス半島の人達に対する『ヘラクレイダイ』の時代の、あの他の戦いにも、私ソクラテスは言及します」
「また、(アテナイの王)テーセウスの時代の、あの一連の戦いにも、私ソクラテスは言及します」
「これらの全てにおいて、我々アテナイ人の先祖の、同時代の人達を超越している、高徳な超越性が明らかにされています」
「また、よろしければ、アジア、いえ、ヨーロッパ、マケドニアまでの王者達との戦いで行われた、アテナイ人の先祖の子孫の後日談や、現在から、あまり古くない時代の英雄達の後日談に、我々アテナイ人は言及する事もできます」
「アテナイ人の先祖の人達は、過去の全ての人達を遥かに超越している力と戦闘手段を所有していました」
「さらに、アテナイ人の先祖の人達は、最も勇敢な行為を成し遂げてきました」
「アテナイ人(の先祖)は、これらの事、陸と海で勝ち取った栄光を、一部は独力で行い、一部はペロポネソス人と共有しました」
「伝説によると、アテナイ人の先祖も、同時代の人達よりも遥かに優れている、英雄であったのである」
次のように小ペリクレスは話した。
「ええ、そのように、アテナイ人の先祖の英雄的行為の話は記されています」
次のようにソクラテスは話した。
「定住者達による多くの変化の最中や、ギリシャ人が『ヘラス』と呼んでいる『ギリシャ人の地』に次々と押し寄せてきた移住者達による多くの変化の最中、アテナイ人の先祖の英雄的行為によって、アテナイ人の先祖は自分達の土地でアテナイ人達を保持し、不動だった」
「そのため、外国人達が、正義という点における訴訟のための法廷として(アテナイに)頼ったり、避難所としてアテナイへ抑圧者の手から逃げたりするのは、一般的な事であった」
すると、次のように小ペリクレスは話した。
「では、『どうして我々の都市(国家)アテナイがずっと衰退してしまったのか?』と私、小ペリクレスには不思議に思われます、ソクラテスよ」
次のようにソクラテスは話した。
「『アテナイ人は自分達の(過去の)成功の虜に成ってしまっている』と私ソクラテスは考えています」
「競技場で楽々と成し遂げてしまった優勢によって、自分よりも弱い競争相手にいつか負けるまで、自身を誤って弛緩させてしまった、ある競技選手のように、同様に、我々アテナイ人も、豊かな優勢によって、自身の世話をおろそかにしてしまって、衰退してしまったのです」
次のように小ペリクレスは話した。
「では、以前の美徳を取り戻すために、我々アテナイ人は、どうするべきですか?」
次のようにソクラテスは話した。
「『以前の美徳を取り戻す事について不思議がる必要は無い』と私ソクラテスは考えています」
「我々アテナイ人は、先祖の規則を再発見する事ができます」
「アテナイ人の先祖の規則を我々アテナイ人の人生の規則に幾らか厳密に適用すれば、(アテナイ人の先祖と)同様の成功が可能なはずです」
「また、我々アテナイ人は、現状の最前線にいる人達を手本にできます」
「現状の最前線にいる人達の人生の規則を我々アテナイ人の人生の規則に(手本として)適用した場合、我々アテナイ人が手本の規範に従って行動すれば、我々アテナイ人は、『現状の最前線にいる人達の優勢に匹敵できる』と少なくとも期待できますし、(現状の最前線にいる人達よりも、)より入念に、現状の最前線にいる人達の目的を固執する事によって、(アテナイ人の)優勢を復活させる事ができます」
(次のように小ペリクレスは応えた。)
「『美しく勇敢な男性らしい資質という精神が翼を得て我々の都市(国家)アテナイを去ってしまった』と、あなたソクラテスは、ほのめかしているように思われます」
(「『美しく勇敢な男性らしい資質という精神が翼を得て我々の都市国家アテナイから遙か遠くに離れ去ってしまった』と、あなたソクラテスは、ほのめかしているように思われます」※別の版)
「例えば、『自分の父を軽視の出発点としてしまっている、あるアテナイ人は、白髪(の老人)を軽視してしまっているが、いつに成ったらアテナイ人達は、ラケダイモン人と自称しているスパルタ人のように、老人を畏敬するのだろうか?』のように」
「善い習慣の軽視に満足せず、善い習慣をするように注意している人達を笑いものにしてしまう、あるアテナイ人は、いつに成ったら、同様に、厳密に、肉体に注意を払うのだろうか?」
「言ってみれば、アテナイ人達は権力を軽視する事を誇っているが、いつに成ったらアテナイ人達は、公職の人達に従うのだろうか?」
「さらに、共通の利益を増進するために協力せず、世界の全ての人達に嫉妬する上に、相互に嫉妬し合って、相互に評判を傷つけ合って楽しむ我々アテナイ人達は、いつに成ったら、アテナイ国民として一致団結するのだろうか?」
(「さらに、共通の利益を増進するために協力せず、世界の全ての人達に嫉妬する上に、相互に嫉妬し合って、相互に意地悪く扱い合って楽しむ我々アテナイ人達は、いつに成ったら、アテナイ国民として一致団結するのだろうか?」※別の版)
「また、これはアテナイ人の最悪の失敗であるが、個人的な交流でも公的な交流でも同様に、意見の相違で分裂してしまって、訴訟という迷路にとらわれてしまって、隣人の苦難に自然な援助を与えるよりもむしろ、隣人の苦難を利用してしまうのを好んでしまうのは、誰か? (現在の堕落したアテナイ人である!)」
「アテナイ人は、自分達の行動を一致させるのに、自国アテナイの利益が何らかの外国と利害関係に有る場合は、実に、自国アテナイの利益を外国の利益も同然に扱ってしまう」
「アテナイ人は、自国アテナイの利益を口論の骨子にしてしまって、口論に勝つ味わいを楽しむ事ができる手段と能力を所有する事を何よりも喜んでしまう」
「この口論という悪の温床から、愚かな臆病な盲目の精神が、(都市)国家に生じてしまいます」
「そして、都市国家の市民の心の中に、憎悪と相互の敵意による、もつれが広がってしまいます」
「『国民の心の相互の憎悪と敵意は、いつの日か、国家に降りかかる、何らかの、国家が持ちこたえる事ができないほどの大いなる災いをもたらすだろう』と私、小ペリクレスは時々考えて、身震いしています」
(次のようにソクラテスは応えた。)
「どうか、『非常な不治の堕落のせいでアテナイ人は神罰を受けて滅ぼされる』と思い込む事を自ら許すなかれ」
「全ての船の苦難におけるアテナイ人の節制、自制心をあなた小ペリクレスは認めないのですか?」
「諸々の体操競技でアテナイ人が指導監督者に迅速に規則正しく従うのを見てください」
「アテナイの諸々の合唱隊の訓練でアテナイ人が教師に完全に他の追随を許さずに従うのを見てください」
(次のように小ペリクレスは答えた。)
「ええ、それらを不思議に思っていました」
「全てのアテナイの善良な国民は指導者に非常に従うのを考えると、多分、他の都市国家アテナイ市民よりも上位であるべき、アテナイの重装歩兵達と騎兵隊は、規則に非常に全く素直に従わないのです」
すると、次のようにソクラテスは話した。
「ええ。しかし、『アレオパゴス会議』は、『善良である』と認められた都市国家アテナイ市民で構成されています。そうではありませんか?」
(次のように小ペリクレスは答えた。)
「確かに」
次のようにソクラテスは話した。
「では、(『アレオパゴス会議』よりも、)より栄光が大きく、より厳しく法を守って、より高貴に、より公明正大に、裁判する(『アレオパゴス会議』と)同様の何らかの司法の団体や、裁判以外の他の務めを行う(『アレオパゴス会議』と)同様の何らかの行政の団体の、名前をあなた小ペリクレスは挙げる事ができますか?」
(次のように小ペリクレスは答えた。)
「いいえ。私、小ペリクレスは、その点において、『アレオパゴス会議』に欠点を見つける事ができません」
次のようにソクラテスは話した。
「では、まるで、同胞のアテナイ人達から、秩序正しい全ての感覚や、優れた節制、自制心が、消えて失くなったかのように、絶望するなかれ」
(次のように小ペリクレスは応えた。)
「ですが、唯一の弦しか無い竪琴を奏でる必要が無いのであれば、『落ち着きと節制、自制と、秩序正しさと優れた節制、自制心が、どこでも必要とされる、軍務において、(現在の堕落したアテナイ人は、)節制、自制心といった、これらの必要不可欠な特質に注意を払っていない』と私、小ペリクレスは主張します」
(次のようにソクラテスは尋ねた。)
「多分、この(軍務の)分野では、最も知識に乏しい者どもが、重装歩兵達と騎兵達を指揮してしまうのではありませんか?」
「竪琴の奏者達、合唱の演者達、踊り子達などの例を挙げると、『必須の知識が欠如している場合は、誰も指揮しようとは決して夢にも思わない』と気づきませんか?」
「また、レスリング選手達やパンクラチオン選手達の例を挙げても同様である」
「さらに、竪琴や合唱といった、これらの例では、全ての指揮者は、『指揮する物事の基礎知識をどこで取得したのか』を話す事ができるが、(現在の堕落したアテナイの)大多数の将軍どもは、未熟者どもで、即興で行きあたりばったりで指揮する者どもなのである」
「(ただし、)『あなた小ペリクレスも、そういった類の(無学な)将軍どもの一人である』とは私ソクラテスは全く考えていません」
「『あなた小ペリクレスは、レスリングの物事について明確に説明できるのと同じくらい、戦略や戦術について教わった教育について明確に説明できる』と私ソクラテスは信じています」
「疑い無く、あなた小ペリクレスは、あなたの父である大ペリクレスの『戦略や戦術の法則』を直接、習得して用心深く保持していますし、さらに、将来の将軍の役に立つ全ての知識を得る事ができる世界の全ての地域から大ペリクレス以外の他の多数の戦略や戦術の知識を収集してきています」
「さらに、『あなた小ペリクレスは、無意識ですら、非常に高位な将軍職の自分の役に立つ何らかの知識が無い事を避けようと深く願っている』と私ソクラテスは感じています」
「そして、あなた小ペリクレスは、もし自分に戦略や戦術の何らかの知識が無い事に気づいたら、知識が有る人達の知識によって、無かった知識を補完するために、また、知識が有る人達の助けを確保するために、(贈り物と感謝を惜しまずに、)戦略や戦術の知識が有る人達を求めます」
その言葉に対して、次のように小ペリクレスは話した。
「ソクラテスよ、私、小ペリクレスは『私、小ペリクレスが戦略や戦術について本当に、とても注意を払っている、と、あなたソクラテスは考えて、これらの言葉を話した』と思うほど盲目ではありません」
「実に、むしろ、あなたソクラテスの目的とは、『将軍志願者は、これら戦略や戦術のような物事に注意を払う必要が有る』と私、小ペリクレスに教える事ですよね」
「とにかく、私、小ペリクレスは、あなたソクラテスの話してくれた事を全て受け入れます」
次のようにソクラテスは話を続けた。
「ある高山という防壁が、我々の国アテナイの前の防護壁のように、ボイオティアまで広がっているのを、小ペリクレスよ、あなたは、かつて気づいた事が有りますか?」
「さらに、(その高山に、)裂け目が狭く断崖絶壁で通っています」
「(その高山の裂け目の)道は、アッティカ地方の中心にまで通っています」
「アッティカ地方は、天然の要塞である山々の輪で囲まれています」
次のように小ペリクレスは話した。
「確かに、私、小ペリクレスは、そのように気づいた事が有ります」
次のようにソクラテスは話した。
「ええ、では、『(ペルシャの)大王の領土の中に住んでいるミュシア人とピシディア人は、天然の要塞である山の中にいて、軽装で、山を急降下できて、急襲によって(ペルシャの)大王の領土に多大な損害を与えるが、自分達の自由を保持し続けている』と、あなた小ペリクレスは、かつて聞いた事が有りませんか?」
次のように小ペリクレスは話した。
「はい。その状況を聞いた事が有ります」
(次のようにソクラテスは言い加えた。)
「では、『若く健康で丈夫な肉体のアテナイ人の軍団は、より軽装を与えられて、山という天然の要塞である防壁を占拠すると、敵側をすぐに攻撃的に苦しめる事を証明するだろうし、一方、防御的に自国を守る見事な防壁を形成するだろう』と、あなた小ペリクレスは思いませんか?」
その言葉に対して、次のように小ペリクレスは話した。
「ソクラテスよ、『確かに、全く役に立つ手段である』と私、小ペリクレスは思います」
(次のようにソクラテスは応えた。)
「では、もし、これらの私ソクラテスからの提案が、あなた小ペリクレスの承認を受けられたのであれば、おおっ、人々のうち最優である小ペリクレスよ、実現しようと試みてください」
「もし、あなた小ペリクレスが一部でも成し遂げたら、あなたの栄光と成るであろうし、国家アテナイへの恩恵と成るであろう」
「もし、あなた小ペリクレスが何らかの点で失敗しても、都市(国家)アテナイにとって何の損害にも成らないであろうし、あなたにとって不名誉にも成らないであろう」




