第二巻 第九章 (善友の獲得方法)
第二巻 第九章 (善友の獲得方法)
私クセノフォンが知っている限りでは、別の、ある時、ソクラテスは、「自身の個人の問題を気にしたいと望む人には、アテナイでの生活は簡単な事ではない」というクリトンによる発言を聞いた。
(次のようにクリトンは話を続けた。)
「なぜなら、(アテナイには、)例えば、現在、私クリトンを(虚偽の罪で)訴えて脅迫してくる奴の集団がいるからである」
「奴らは私クリトンに対して言い張る事ができる何らかの軽い罪を握っているからではなく、『クリトンが、(無実の罪でも、)さらに困るよりも早く、全額を払うだろう』という(悪い)信念に基づいているだけなのである」
次のようにソクラテスは、クリトンの言葉に対して、応えた。
「私ソクラテスに教えてください、クリトンよ。あなたは、羊の群れから狼を追い払うために、犬を飼っているのではないのですか?」
次のようにクリトンは話した。
「その通りです」
「犬を飼うのは、採算が取れます」(犬を飼うのは、費用よりも、利益の方が多いです。)
次のようにソクラテスは話した。
「では、なぜ、あなたクリトンは、あなたを傷つけようと努める奴らを、自発的に追い払う力が有る番人を雇っておかないのですか?」
(次のようにクリトンは答えた。)
「番人が(飼い主へ)再び向きを変えて飼い主を引き裂くかもしれない事を心配しなくて済むのであれば、心配する必要は全く無いのですが(、心配してしまいます)」
(次のようにソクラテスは言い返した。)
「何と!」
「『クリトンと言い争うよりも、クリトンのような人を喜ばせるのは、打算だとしても、より遥かに気持ちが良い』と分からないのですか?」
「クリトンは『アテナイにはクリトンと友人に成っている事を誇りにしている多数の人達がいる』という自信を持って良い」
それで、クリトンは、ソクラテスと、頭の中で賢明な言葉を考えて賢明に話す力が有るし、実務経験が有るが、貧しい人アルケデモスを探し出した。
実際、アルケデモスは、どんな事をしてでも利益を得ようとする種類の人ではなかったし、誠実さを愛する人であるし、どんな事でもする弁護士として生計を立てるには性格が良すぎた。
それから、クリトンは、(アルケデモスの心を)獲得する好機を捉えて、穀物と油や、ワインや、羊毛製品や、その他の全ての物といった、農場、農園、牧場がもたらす重要な生活必需品をアルケデモスへの贈り物として少し取り分けた。
また、クリトンは、アルケデモスを神へ捧げ物を捧げる祭りの宴に招待した。
また、他の点でも、クリトンは、アルケデモスに明らかに配慮し(て、世話をし)た。
アルケデモスは、「クリトンの家は頼れて安らげる」と感じて、後援者であるクリトンをいくら大事にしても大事にし過ぎる事は無かった。
そのため、間も無く、アルケデモスは、クリトンへの悪徳弁護士ども、クリトンへの迫害者どもを訴える事ができる、クリトンに対する悪徳弁護士ども自身の不法行為の長大な一覧を調べ上げた。
また、アルケデモスは、クリトンに対する悪徳弁護士どもの無数の犯罪だけではなく、クリトンに対する悪徳弁護士どもへの敵対者も調べ上げた。
そうして、すぐに、アルケデモスは、クリトンに対する悪徳弁護士どものうちの一人を、「何らかの苦しみを受ける刑罰か、何らかの罰金刑」という刑を受けるであろう、公的訴訟で起訴した。
「自分が多数の悪事をしている」という自覚が有るので、訴えられた悪徳弁護士は、アルケデモスから免れるために、可能な全ての事をしたが、アルケデモスを排除できなかった。
アルケデモスは、(クリトンへの)告発者である悪徳弁護士に、クリトンへの圧迫を解かせるだけではなく、全額を支払わせるまで、訴訟をし続けた。
さて、アルケデモスは、この訴訟と、他の同様の訴訟の、勝利を達成したので、何が次に起こったかを推測するのは簡単です。
それは、ちょうど、ある羊飼いが、とても良い牧羊犬を得ると、同様に、とても良い牧羊犬の恩恵を受ける事ができる、その羊飼いの近くに、他の全ての羊飼いが、自分の羊の群れを滞在させたいと望むような物なのです。
そのため、多数のクリトンの友人達が、クリトンに対してと同様にアルケデモスが自分達の守護者に成ってくれるように、クリトンの所へ来て頼んだ。
そして、アルケデモスは、クリトンを喜ばせる事ができる何かをできる事に大喜びしたので、クリトンだけではなく、クリトンの友人達も同じく、平穏に暮らせるように成った。
アルケデモスと仲があまり良くない人々のうちの一人が、「アルケデモスは後援者から利益を受け取っているので、後援者に、こびへつらっている」とアルケデモスを非難したら、次のように、アルケデモスは、すぐに言い返した。
「次の質問について、私アルケデモスに答えなさい」
「『誠実な人達からの思いやりを受け取り、思いやりに報いて、結果として誠実な人達と友人に成り、悪人どもと戦う』のと、『誠実な人達に悪事をしようと企てて、尊敬に値する誠実な人達を敵にしてしまって、悪事への協力の見返りに悪人どもの友情を勝ち取るのは全く見込みが薄く、知人達の品格を損ねるのは実に確実である』のは、どちらが、より恥ずべきなのか?」
全ての出来事の最終的な結果として、アルケデモスは現在ではクリトンの右腕に成り、アルケデモス以外の全てのクリトンの友人達はアルケデモスを尊敬した。




