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第二巻 第六章 (善友の発見方法)(善友とは、どのような者か)(友人の獲得方法)

 第二巻 第六章 (善友の発見方法)(善友とは、どのような者か)(友人の獲得方法)(悪人は善人と真の友人には成れない)


 また、応用できる(、友人の)分析に関しては、獲得に値する友人の資格を評価するのであれば、次のようなソクラテスの意見は、ために成ると証明できる、と私クセノフォンは考えています。

 (また、友人の資質の分析の確立に関しては、保持する価値が有る友人は必ず、ある特定の型に分類できるので、次のようなソクラテスの意見は、ために成ると証明される、と私クセノフォンは考えるしか無いのです。※別の版)

 (次のようにソクラテスはクリトブロスに話した。)

「教えてください。我々、人が善い友人を必要としている場合、人は善い友人の発見に、どのように着手するべきでしょうか?」

「私ソクラテスが考えるに、第一に、我々、人は、食欲の(奴隷ではない)主である人、すなわち、腹の胃袋の食欲の支配下に無い人や、ワインの杯の酒に溺れない人や、性欲に溺れない人や、睡眠に溺れない人や、怠惰にふけない人を見出す必要が有ります」

「なぜなら、このような(、食欲、酒、性欲、睡眠、怠惰という)暴君どもの奴隷である人は、自ら、または、友人に従って、自分の義務を果たしたいと望まないからです。そうですよね?」

 (次のようにクリトブロスは答えた。)

「確かに望まないですね」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、『我々、人は、そのように(食欲、酒、性欲、睡眠、怠惰に)支配されている全ての者どもから離れている必要が有る』と賛同してくれますか?」

 次のようにクリトブロスは話した。

「最も確実に賛同します」

 (次のようにソクラテスは話を続けた。)

「ええ、では、(食欲、酒、性欲、睡眠、怠惰から)独立していなくて隣人達から永遠にせびる放蕩者について、我々、人は、どう思うべきでしょうか?」

「放蕩者が隣人達から何かを得ても、放蕩者は報いる事ができません」

「それにもかかわらず、放蕩者は何かを得る事ができないと、放蕩者は『与えてくれなかった』と、あなた達を憎みます」

「『このような放蕩者は自分が実に嫌な(偽の)友人である事をとても示す』と、あなたは思いませんか?」

 次のようにクリトブロスは話した。

「確かに思います」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、我々、人は、放蕩者からも離れている必要が有りますね?」

 次のようにクリトブロスは話した。

「そうする必要が有ります」

 次のようにソクラテスは話した。

「では! 金銭の取引に強い人(、金貸し)は、どうでしょうか?」

(「では! 金貸しに強い人は、どうでしょうか?」※別の版)

「金貸しの欲求は唯一、金銭の蓄積だけです」

「このため、金貸しは、(相手にとっては不利でも)一方的に、ひどく値切るのは上手で、(他人を)だましてしまうほど(値切って金銭をもうける事を)喜び、一方、支払いは嫌がる」

(「このため、金貸しは、全ての金銭の取引において相手を困らせるのは上手で、他人をだましてしまうほど金銭をもうける事を喜び、一方、支払いは嫌がる」※別の版)

「金貸しは大金持ちに愛着が有る」

 次のようにクリトブロスは話した。

「私クリトブロスの意見では、金貸しは、直前の話の放蕩者よりも、さらに自分が悪い奴である事を示すでしょう」

 次のようにソクラテスは話した。

「では! どうしたら自分のもうけを増やす事ができるか以外の全ての事をする暇が無いほど金もうけに夢中な人は、どうでしょうか?」

 次のようにクリトブロスは話した。

「私クリトブロスなら『金もうけに夢中な人から離れなさい』と話します」

「なぜなら、金もうけに夢中な人からは、または、金もうけに夢中な人との交際からは、何の利益も得られないからです」

 次のようにソクラテスは話した。

「では! 主な目標が友人達に多数の敵を作る事に成ってしまう、口論好きで党派争い好きな人は、どうでしょうか?」

 次のようにクリトブロスは話した。

「神にかけて、我々、人は口論好きで党派争い好きな人に近づかないようにしましょう」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、私達は、前述の全ての欠点が全く無い人、ただし、思いやりを受けるのを嫌がらず、思いやりをし返すのを念頭に置いて考慮しない人(、恩知らず)を想像してみましょう」

 次のようにクリトブロスは話した。

「どちらにしても恩知らずでは何の役にも立ちません」

「では、ソクラテスよ、どのような種類の人を我々、人は友人にしようと努めるべきなのでしょうか?」

「(真の)友人とは、どのような人なのでしょうか?」

 次のようにソクラテスは話した。

「私ソクラテスは、(真の)友人は前述とは正反対の人である必要が有る、と話すべきでしょう」

「(真の)友人とは、肉体的な快楽を抑制できる人である」

「(真の)友人とは、思いやり深い性格の人である」

(「真の友人とは、扱いやすい人である」※別の版)

「(真の)友人とは、全ての取引、交渉において正直である」

「(真の)友人とは、思いやりにおいて、恩人に負けないほど、とても熱心である」

「(真の)友人とは、『自分の友人達が自分との交際から何らかの利益を得る事ができれば良いなぁ』と願う」

 次のようにクリトブロスは話した。

「けれども、ソクラテスよ、知り合う前に、どうしたら、我々、人は、これらの(真の友人の)資質を分析できるでしょうか?」

 次のようにソクラテスは話した。

「どのように、我々、人は、彫刻家の優秀さを分析するでしょうか? 彫刻家の話だけから引き出された推測で分析しないですよね」

「ええ、我々、人は、彫刻家が達成している既存の物に目を向け(て優秀さを分析し)ます」

「彫刻家の過去の彫像群が見事に達成されていたら、『彫刻家は同様に残りの彫像も上手く彫刻するであろう』と我々、人は信じます」

 次のようにクリトブロスは話した。

「あなたソクラテスの話の趣旨とは、『我々、人は、古くからの友人達への思いやり深さが確証されている人を見出したら、その人は新しい友人達も思いやり深くもてなす事が確証されていると思って良い』という事ですよね?」

 次のようにソクラテスは話した。

「ええ、確かに、私ソクラテスは、馬を扱う巧みさを過去に示した人を見たら、『その人は他の馬も同様に巧みに扱えるであろう』と主張します」

 次のようにクリトブロスは話した。

「良かったです!」

「では、我々、人が、保持するに値する友情を示している人を見出した時に、その人をどのように自分の友人にするべきなのでしょうか?」

 次のようにソクラテスは話した。

「第一に、我々、人は、ある人を友人にする事が賢明であるか否か、神意を確かめるべきである」

 次のようにクリトブロスは話した。

「ええ!」

「では、我々、人は、自分が選び、神々が認めてくれている人を友人として獲得する事をどのように達成するべきでしょうか?」

「私クリトブロスに教えてくれますか?」

 (次のようにソクラテスは応えた。)

「実に、ウサギのように追い詰め(て友人を獲得す)るなかれ。また、鳥のように、おびき寄せ(て友人を獲得す)るなかれ。また、イノシシのように無理矢理に(友人を)獲得するなかれ」

「友人にしたい相手の意に反して友人として獲得する事は、苦労する問題と成ってしまいます」

「また、友人にしたい相手を奴隷のように束縛する事は、絶対に難しい問題と成ってしまいます」

「そのように(意に反して)扱われた人は、友人ではなく、敵に成りやすい」

(「これらの、相手の意に反する手段がもたらす結果は、友情ではなく、憎悪と成ってしまう」※別の版)

 次のようにクリトブロスは話した。

「では、どのようにして友人にしたい人を友人に変えるのですか?」

 次のようにソクラテスは話した。

「『ある魔法のような言葉が存在する』と、我々は教えられていて、その言葉を知っている人は、その言葉を口にするだけで、望んだ人と友人に成る事が可能なのです」

「また、ある媚薬のような物も存在していて、それの秘密を所有している人は、それを好きな人達に与える事ができて、それらの人達の愛情を勝ち取る事ができます」

 次のようにクリトブロスは話した。

「どの出典から、我々、人は、それらを学べますか?」

 次のようにソクラテスは話した。

「セイレーン達がオデュッセウスへ歌った魔法のような言葉を学ぶのに、あなた達には、ホメロス(の『オデュッセイア』)以外は不要です」

「次のように、(セイレーン達がオデュッセウスへ歌った魔法のような言葉のうち)最初の言葉が、ホメロスの『オデュッセイア』には書かれていた、と思います」


「こちらへ、こちらへ来なさい、あなた、高名な男、オデュッセウスよ、アカイア人達の大いなる栄光と成っている者よ!」


 次のようにクリトブロスは話した。

「では、このような魔法のような言葉が、全ての人々にとって等しく、役立ったのですか?」

「仮に、セイレーン達が、このような魔法のような言葉を一言、口にしただけで、その言葉を聞いた全ての人々は停止するように誘導されたのですか?」

 次のようにソクラテスは話した。

「いいえ」

「このような言葉は、『他人に負けない力が有る』という名声を渇望する人々のために用意された魔法のような言葉です」

 次のようにクリトブロスは話した。

「聞かせた人が魔法のような言葉を聞かせられた時に、『魔法のような言葉を言った人が、聞かせた人をひそかに心の中で笑いものにしている』と、聞かせた人に思わせないために、魔法のような言葉は聞かせる人に合わせる必要が有る、と言わんばかりですね」

「自身が小柄で醜くて病弱であると知っている誰かの所へ行って、『あなたは長身で美しくて頑強である』とほめる嘘をその人の耳にささやく事よりも優れて計算された、憎悪を起こさせるための手段を私クリトブロスは確かに思いつく事ができません」

「さて、あなたは、他に、どんな、愛情を勝ち取る事ができる魔法のような言葉を知っているのですか? ソクラテスよ」

 次のようにソクラテスは話した。

「私ソクラテスには『このような魔法のような言葉で愛情を勝ち取っている』と話す事ができません」

「しかし、『ペリクレスは、かなり多くの事が得意で、多くの事に得意である事を我々の都市国家アテナイ市民達の耳にささやいて、都市国家アテナイ市民達の愛情を勝ち取っている』と私ソクラテスは聞いています」

 次のようにクリトブロスは話した。

「では、どのようにしてテミストクレスは我々の都市国家アテナイ市民達の愛情を勝ち取っているのですか?」

 次のようにソクラテスは話した。

「ああっ、あれは魔法のような言葉によってでは全く無いのです」

「彼テミストクレスがした事とは、我々の都市国家アテナイを守護の力という護符で囲った事なのです」

 次のようにクリトブロスは話した。

「ソクラテスよ、『もし我々、人が全ての善良な人の愛情を勝ち取りたいのであれば、我々、人は言行において自ら善良に成る必要が有る』と、あなたソクラテスは、ほのめかしているのでしょう。そうではないでしょうか?」

 (次のようにソクラテスは返答した。)

「では、『悪人には、善良な人達と友人に成る事は可能である』と、あなたクリトブロスは思いますか?」

 次のようにクリトブロスは話した。

「偉大で高貴な政治家と親友であった、何とも酷く御粗末な雄弁家を私クリトブロスは知っています」

(「はい。思います。大衆の偉大な指導者と親友であった、何とも酷く劣っている雄弁家を私クリトブロスは知っています」※別の版)

「また、指揮官や将軍の天性を持つ、ある人が、指揮する能力が全く無い人達と共に生まれたりします」

(「また、指揮する能力が全く無い、ある人が、同じ時代の最も偉大な名指揮官の同僚であったりします」※別の版)

 次のようにソクラテスは話した。

「では、私達が論じていた点に関連して、返礼として役に立つ事無しに、役に立つ友人を自分に繋ぎ止める事が可能である誰かについて、あなたクリトブロスは知っているかどうか、私ソクラテスは尋ねても良いでしょうか?」

「役に立つ者は、恩を仇で返す者と友好を結ぶ事ができますか? いいえ!」

(「永続的に友好を結ぶには、相互に役に立つ必要が有るのではないか? はい!」)

 次のようにクリトブロスは話した。

「実に、いいえです」

「さて、仮に『下劣な人には(心の)美しい気高い人と友人に成るのは不可能である』と認めたとしても、『自分が(心の)美しい気高い性格の人は、手の一振りで、言ってみれば、全ての他の(心の)美しい気高い性格の人達を自分に友情で繋ぎ止める事ができる』かどうか、すぐに明らかにしたいと思います」

 次のようにソクラテスは話した。

「クリトブロスよ、あなたを混乱させているのは、『下劣さから超然としている人達として行動している気高い人達が、時々、相互に、友人に成るのではなく、むしろ戦い相対(あいたい)して、人類のうち最も役に立たない人を取り扱うよりも、より厳しく相互に取り扱い合う』という事実なのです」

 次のようにクリトブロスは話した。

「はい。そして、個人に関してだけではなく、気高い政策を最も熱心に実行して下劣な政策を最も熱心に拒絶する諸国家に関しても、この事は事実であり、気高い政策を最も熱心に実行して下劣な政策を最も熱心に拒絶する諸国家は頻繁に相互に相対(あいたい)する関係でいます」

「これらの事について推測するに従って、私の心は私を失望させていくし、『どのように友人を獲得するべきか?』という問題は私を失望で満たしていきます」

「私クリトブロスが見る限りでは、悪人は、相互に、友人に成る事ができません」

「なぜなら、どうしたら、恩知らずな者どもや、無謀な者どもや、貪欲な者どもや、不信心者どもや、淫らな者どもといった、このような悪人どもが、共に友人として忠実である事が可能であるというのか? いいえ! 不可能です!」

「ためらいなく、私クリトブロスは、悪人を、生まれながらの友人ではなく、生まれながらの敵とみなしますし、相互に殺し合う憎しみの生まれながらの(あざ)が有るとみなします」

「そのため、あなたソクラテスがほのめかしているように、これらのような悪人どもが、善良な人達との友情で調和して一致するのは、もはや不可能です」

「なぜなら、どうしたら、悪事を行う悪人どもが、全ての悪事を憎悪する善良な人達と友人に成れるというのか? いいえ! 友人に成れない!」

「そして、最後に、もし、美徳を育てる善良な人達が、諸国家の指導者の地位を求めて戦う党派心によって分裂して、相互に嫉妬し、相互に憎んでいるのであれば、誰が友人として残っているというのか? いいえ! 誰も友人ではない!」

「人の間の、どこに、善意、思いやりや、誠実さが有るというのか?」

 次のようにソクラテスは話した。

「実際は、これらの者の組成には、ある巧妙さが有るのです」

「生まれつき、人の中には愛情、思いやりの種が埋め込まれているのです」

「人は相互を必要とし、同情し、協力して相互に助け合い、(協力して助け合うという、)その事実を認識して相互に感謝の気持ちを表します」

「ただし、(人の中には)戦いの種も埋め込まれているのです」

「同一のものが全ての人に同様に美や快楽であると見なされると、その所有を求めて全ての人が戦ってしまいます」

「分裂の精神が入り込むと、諸々の党派は相互に反対の立場に立ってしまう」

「対立と怒りが戦いの音を鳴らしてしまう」

「より多数のものを所有したいという肉欲、揺るぎない貪欲は、対立を引き起こす可能性が有る」

「また、嫉妬は憎むべき悪霊(、悪の精神)です」

「しかし、それにもかかわらず、全ての反対する障害を貫通して、友情は、友情の手段を巧みに手に入れて、人類のうち、(心の)美しい善良な人達を結びつけるのです」

(「しかし、それにもかかわらず、全ての反対する障害を貫通して、友情は、友情の手段を巧みに手に入れて、人類のうち、神に選ばれた人達を結びつけるのです」※別の版)

「戦いによって勝ち取った権利を行使するよりも、むしろ、わずかな財産を苦も無く所有するのが、善良な人達の美徳なのである」

「飢えと渇きにもかかわらず、善良な人達は飲食物を苦も無く分かち合う」

「好色な若さの盛りも、性欲の快楽も、善良な人達の節制、自制、克己を歪める事はできない」

「また、善良な人達は、苦痛を知らない所に苦痛を引き起こそうという気には成らない」

「善良な人達は、富への全ての貪欲を控えるだけではなく、正しく合法的に富を分配するだけではなく、相互に必要なもので不足しているものを提供し合う」

「善良な人達は、戦いを調停して、苦も無く忘却へと一致させるだけではなく、一般大衆の利益へと一致させる」

「怒り過ぎは将来の後悔を必ず引き起こしてしまうが、善良な人達は、怒り過ぎない」

「そして、嫉妬に関しては、善良な人達は、一掃して清浄にし、除去する」

「ある人が所有している諸々の善いものは、その人の友人達の所有するものとも成るし、その人の友人達が所有している諸々の善いものは、その人の所有物と見なされる事に成る」

「では、(心の)美しい気高い人達が、国家の栄光の共有者に、無傷で成るだけではなく、相互の利益にすら成るのが、有りそうも無いのは、どんな点なのか? いいえ! そんな点は無い!」

「実際、公金を横領したり、(共犯者)仲間を使って暴力的に対処したり、贅沢をして(他人を)食いものにしたりする自由のために名誉と国家の役人の地位を不当に望む者どもは、不正な、下劣な、相互に仲良くできない人々と十分に見なして良い」

「しかし、もし、ある(善良な)人が、(他人の)悪行から身を守って、正しいものによって友人達を助けるため、また、高い地位に昇って、祖国を助けようとするため、これらと同じ栄光を獲得したいと望むのであれば、その人が同じような精神を持つ他の誰かと仲良く働く事を妨げるものが何か有るでしょうか? いいえ! 無い!」

「善良な人は、『(心の)美しい気高い人』がそばに共にいると、友人達を助ける事ができなく成るだろうか? いいえ! かえって、できるように成る!」

「行動において社会の手本が自分の仲間である、という理由で、社会に利益をもたらす、善良な人の力が減ってしまうだろうか? いいえ! 減らない!」

「競技試合においてですら、最弱の戦士どもに対して、最も頑強な戦士達が(集団を)組む事が可能であれば、自ら選んだ(最も頑強な戦士達の)集団は、全ての試合で勝利を実現し、全ての賞をさらうのは、明らかである」

「実際は、現実の競技場の規則に反してしまうが」

「しかし、政治の分野では、(心の)美しい気高い人達が統治権を所有しているならば、ある人が国家に利益をもたらさせるために選んだ誰とでも組む事を妨げるものは何も無い事は、明らかな利益と成るであろう」

「国政にたずさわる誰にとっても、最も善良な人達と友人に成るのは、それによって競争相手の代わりに自分の目的の協力者が見つかるだろうし、それ自体が明らかな利益と成るのではないか? はい! 利益と成る!」

「そして、次のような事が、少なくとも、明らかである」

「対外戦争の場合では人は味方を必要とするが、自分に敵対する集団の人々の中では、なおさら、敵の精鋭に立ち向かうべきである」

「さらに、あなたの戦いの、あなたの敵と自発的に戦ってくれる人達を親切にもてなす必要が有るし、その親切は(、あなたの敵と自発的に戦ってくれる)熱心さを高めるかもしれません」

「そして、多数の悪人よりも、独りの善良な人は、あなたにとって、より善い利益、価値が有ります」

(「そして、多数の悪人よりも、最も善良な人達は、少数ですが、あなたにとって、より善い利益、価値が有ります」※別の版)

「なぜなら、善良な人達に対しては小さな思いやりでも長持ちしますが、悪人どもに対しては、悪人どもに与えれば与えるほど、より多数を悪人どもは要求してくるからです」

「そのため、善良な心を保持しなさい、クリトブロスよ」

「(最初は)『自ら善良に成ろう』とだけ試みなさい。そうして、(『自ら善良に成る』事に)到達したら、(心の)美しい気高い人達(の心)をとらえる事に着手しなさい」

「十中八九、私ソクラテスは、思いやりについての学問の達道者と自ら成って、この(、善良に成る事と善良な人達と友人に成る事という)探求において何らかの助けをあなたに与える事ができるかもしれません」

「誰のためであっても、私ソクラテスの心は燃えます」

「一瞬で私ソクラテスは全く心踊りたいと熱望しているのです」

「熱意によって私ソクラテスは、その目的へ疾走します」

「愛する、思いやる私ソクラテスは、それに応じて更に、愛される事、思いやってもらえる事を要求します」

「私ソクラテスの中の、この思いは、(愛する)相手の中の、逆方向の思いに応じられる必要が有ります」

「この(思いやる)相手との交流の渇きは、私ソクラテスの渇きとは逆方向の渇きに応じられる必要が有ります」

「そして、私ソクラテスが予想するに、あなたが『(善良な人達との)友情の関係を結びたい』という熱望にとりつかれた時はいつでも、これらの(私ソクラテスの)欲求は、あなたの欲求とも成るだろう」

「そのため、あなたクリトブロスが友人として選んだ相手を私ソクラテスから隠すなかれ」

「なぜなら、『私ソクラテスは、私ソクラテスを喜ばせる相手を喜ばせる事に熱中する事について労苦しているおかげで、人(の心)をとらえるわざに精通している』と私ソクラテスは思っているからです」

 次のようにクリトブロスは返答した。

「これらは、まさに教えの中の教えです、ソクラテスよ。これらを私クリトブロスは渇望してきたのです」

「そして、この同一の、思いやりについての学問が、人のうち、善良な人達と、(外見の)美しい人達(の心)をとらえる事を私クリトブロスに可能にするのであれば、特に(私クリトブロスが渇望してきた教え)です」

 次のようにソクラテスは話した。

「いいえ、ここで私ソクラテスは、あなたに忠告します、クリトブロスよ」

「(外見の)美しい人達(の心)をとらえる事を(外見の)美しい人達に許してもらう事は、私ソクラテスの思いやりについての学問の分野外の事なのです」

「そして、これが(ギリシャ神話で)人がスキュラから逃げた理由なのである」

「なぜなら、(ギリシャ神話の)スキュラは人をとらえ(ようとし)たからである」

「しかし、セイレーン達は(スキュラとは)違った」

「セイレーン達は誰も(物理的に)とらえようとはせず、(人から)遠く離れた所に座って、全ての人の耳の中へ魔法のような言葉を歌ったのである」

「『そのため、全ての人は聞く事を許容してしまって、魅了されてしまった』と言われている」

 次のようにクリトブロスは話した。

「私クリトブロスは『誰(の心)も乱暴にとらえない』と約束します」

「そのため、もし、あなたソクラテスが友人達を勝ち取るための善い策を何か持っているのであれば、あなたソクラテスの教え子(に成ったクリトブロス)に教えてください」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、手を当て(て触)るべきではないのであれば必然的に、両人の口を当て(て口づけす)るのもいけません」

「それに同意しますか?」

 次のようにクリトブロスは話した。

「いいえ(、同意できません)」

「(外見の)美しくない(外見の醜い)人なら誰にも口を当て(て口づけし)ませんが」

 次のようにソクラテスは話した。

「ほらね!」

「何らかの失言無しには、あなたクリトブロスは口を開く事ができないんだね」

「(心の)美しい人達は、そのような無礼を受け入れません」

「(心の)醜い者は、『人のうち何らかの高い地位の人達が自分を(外見の)美しい人達に分類したに違いない』と信じ込んでしまって、そのような無礼を熱望して求めるかもしれないが」

 次のようにクリトブロスは話した。

「それでは、ごきげんよう」

「次のような同意を立てましょう」

「『(外見の)美しい人達には口づけをしましょう。そして、善良な人達には口づけを雨のように降らしましょう』」

「それでは、我々、人に友人達(の心)をとらえるわざを教えてください」

 次のようにソクラテスは話した。

「ええ、では、あなたクリトブロスが誰かの愛情を勝ち取りたいと望む時は、私ソクラテスが、あなたクリトブロスの意に反して、あなたクリトブロスが『誰々に感心して友人に成りたいと望んでいる』といった趣旨の情報を(あなたクリトブロスが友人に成りたい相手へ)提供するのを許しますか?」

 次のようにクリトブロスは話した。

「真心を込めて(言うと)、告発(のような情報)を(私クリトブロスが友人に成りたい相手へ)提供してください」

「誰かが『自分の賛美者達を憎んだ』と聞いた事は決してありません」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、もし私ソクラテスが、その告発(のような情報)に『あなたクリトブロスが(誰々に)感心して、誰々に思いやりを向けている』という説明を更に加えたら、『私ソクラテスは、あなたクリトブロスの役割を奪っている』と感じませんね?」

 次のようにクリトブロスは話した。

「いいえに決まっています」

「私自身、『私に思いやりを向けてくれている』と思う誰に対しても、心の中に思いやりが湧き上がる、と私は知っています」

 次のようにソクラテスは話した。

「次の全てのように、私ソクラテスは、あなたクリトブロスについて、あなたクリトブロスが友人に成りたいと求めている人達へ話す権利が与えられていると感じます」

「また、私ソクラテスは更なる助けを約束する事ができます」

「考慮するべき、包括的な『もしも』だけが存在します」

「もし、あなたクリトブロスが私ソクラテスに更に『あなたクリトブロスは友人達に献身的で思いやり深い』と話す権利を与えてくれるのであれば、」

「あなたクリトブロスには、善い友人ほど、喜びをもたらしてくれるものは無い事と、」

「あなたクリトブロスは、あなた自身の善行を自ら誇りに思うのに劣らず、あなたが愛する人達の善行を自ら誇りに思う事と、」

「あなたクリトブロスは、あなた自身の善い所を自ら誇りに思うのと同様に、あなたが愛する人達の善い所を自ら誇りに思う事と、」

「あなたクリトブロスは、あなたと同じ豊かな収穫をあなたが愛する人達のために手に入れてあげようと計画する事に飽きる事は決して無い事と、」

「最後に、あなたクリトブロスは『思いやりにおいて友人達を超越する事と、戦いにおいて敵を超越する事が、人にとっての美徳である』と見出した事が有る事を、」

「もし、あなたクリトブロスについての、これらの事を(あなたクリトブロスが友人に成りたい人達へ)報告する権利を私ソクラテスに与えてくれるのであれば、『あなたクリトブロスは、私ソクラテスが、友人の探求における、善良な人達の獲得における、役に立つ猟師仲間である、と分かってくれる』と私ソクラテスは思います」

 次のようにクリトブロスは話した。

「なぜ、このような事を私クリトブロスに求めるのですか?」

「まるで、あなたソクラテスが私クリトブロスについて好きな所を正確に話す自由な許可が、あなたソクラテスには無いかのように」

 次のようにソクラテスは話した。

「いいえ」

「それは、アスパシアの権利に基づいて、私ソクラテスは拒絶します」

「それについて、私ソクラテスは、彼女アスパシアの口から聞いた事が有ります」


「次のようにアスパシアは私ソクラテスに話しました」

「もし人々が保証している人々の諸々の善い美点が真実に正しく報告されているのであれば、善い仲介者は人々の間の同盟を固める事において賢者でした」

「しかし、人々が嘘をつくように成ると、善い仲介者としては、人々をほめる事ができなく成ってしまいました」

「人々にだまされた御粗末なだまされやすい人々は、互いを憎んで、そして、同様に、善い仲介者を憎んで終わった」


「さて、この(アスパシアの)話が真実であると私ソクラテスは自ら全く信じているので、『あなたクリトブロスをほめる言葉で、私ソクラテスが真実であると言う事ができない何かを言うのに全力を尽くせない』と私ソクラテスは感じてしまいます」

 次のようにクリトブロスは話した。

「本当に、ソクラテスよ、あなたは私クリトブロスにとって不思議な善い友人です」

「友人を勝ち取る権利をもたらす何らかの長所が私クリトブロスに有る限りは、あなたソクラテスは私クリトブロスを助けるために手を貸してくれるようですね」

「もし、そうでなければ、むしろ、私クリトブロスのために、つまらない作り話を作らないつもりなのですね」

 次のようにソクラテスは話した。

「では、私ソクラテスに教えてください。私ソクラテスが、あなたクリトブロスを助けるには、どうしたら最善であるのか? あなたクリトブロスは、どう思いますか?」

「あなたクリトブロスを偽って、ほめる事によってでしょうか? それとも、善良な人に成ろうと試みるように、あなたを説得する事によってでしょうか?」

「または、これらのようではなく、もし、あなたクリトブロスにとって不明であるならば、いくつかの例という光で照らして、この問題を見て考えてください」

「私ソクラテスが、あなたクリトブロスを船主に紹介したいと望んだか、船主をあなたの友人にしたいと望んだとします」

「私ソクラテスが初めに『彼クリトブロスは優れた操舵手であると気づくだろう』というように、あなたクリトブロスを偽って、ほめる言葉を歌ってしまったとします」

「船主が、その(嘘の)言葉を受けて、船の舵を取る事への理解が無い、あなたクリトブロスに船を任せてしまったとします」

「船と、あなたクリトブロス自身を共に破滅させてしまう以外に何を予想できるでしょうか? いいえ! 破滅させてしまう!」

「また、仮に、同様の嘘の主張によって、国家全体の命運をあなたクリトブロスに委ねるように、私ソクラテスが国家全体を説得できてしまったとします」

「私ソクラテスが、(あなたクリトブロスは)『指揮の優れた才能を持った男である』、『熟練した法律家である』、『生まれながらの政治家である』などと(嘘を)言ってしまったとします」

「あなたクリトブロスによって国家と、あなた自身は破滅してしまうだろう」

「また、日常生活から例を取り上げると、」

「私ソクラテスが、(あなたクリトブロスは)『本当に注意深く、てきぱきした、経済に強い人である』という嘘によって、財務をあなたに任せるように、ある個人を説得してしまったとします」

「真価が問われたら、『あなたクリトブロスの経営は破滅的である』と分かってしまうし、『あなたクリトブロスは笑いものにされるに値する』と思われてしまうのではありませんか? はい! 分かってしまうし、思われてしまう!」

「ええ、私ソクラテスの親愛なる友人クリトブロスよ、実に唯一の最短の最も安全な最善の道が有るのです。次のように、その道は簡単なのです」

「あなたが善良であると思われたいと望む事では何であれ、善良に成れるように努力しなさい」

「なぜなら、熟考すれば、『人の間で名づける事が可能な全ての美徳のうち、学習と実践によって高める事が可能な物は一つだけではない(、全て可能である)』と、あなたは気づくでしょう」

「それで、私ソクラテスとしては、クリトブロスよ、これらは原理であり、これらの諸原理に基づいて(善い友人達という獲物を)狩りに行くべきなのです」

「しかし、もし、あなたクリトブロスが違う考え方を取るのであれば、私ソクラテスは全力で注意して聞きます。どうか私に教えてください」

 そのため、次のようにクリトブロスは話した。

「いいえ、ソクラテスよ、あなたが話した話を否定したのを私クリトブロスは恥じるべきなのです」

「もし私クリトブロスがソクラテスと違う考え方をして発言してしまったのならば、それは気高い発言でも、正しい発言でも無いのです」

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