1章 エピローグ 心の闇と少年の決意
休載すみませんでした。
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「ユウ・ツルギ及び、シャル・ホワイト。貴君らは、学院生にして上位の『変異者』を討伐し、我が国に貢献した。貴君らの功績を称えるとともに、更なる活躍を願い、ここに金貨1000枚を授与する――」
――
アリシアの身体に仕掛けられた爆弾は、悠の手によって無事解除された。
時限式の爆弾を見たのは初めてだった事、そしてもちろん解体も初めてだった事もあり、一筋縄ではいかなかったが。やっぱり人間、やれば何でも出来るものだなと思ったものだった。
そしてあれから2日、彼が未だ考えているのは、アルミールのことである。
彼については、やはり謎が多い。地球の技術である時限式爆弾への関与。そして彼の言葉にも出ていた『変異者』について。更に――彼が何故、あのような行動に至ったのか。
アルミールを倒した事によって国から褒賞を授与された悠だが、わだかまりは心の中に残っていた。
「ユウさん……ここに居たんですか」
「シャル。どうした?」
シャル・ホワイトは、悠と共にアルミールと戦った少女である。
その美しい白髪を揺らしながら走ってきた彼女は、息も切れ切れに悠のもとへやって来た。そして腰に掛けていたバッグから何かを取り出し、悠に渡す。
「これ。先生から、ユウさんに届けてくれって」
「手紙……?」
悠が受け取ったのは、簡素な封筒に入れられた手紙だった。
何の変哲もないその手紙は、よく観察してみても何も出てこない。だが、それを目の前にした時、胸騒ぎが悠を襲った。
差出人の名を見る。
その瞬間、悠はその封筒を開いた。
「い、今開けるんですか? 寮でゆっくり読まれては……」
「すまん。トラップが仕掛けられてるかもしれないから、確認したい」
悠には分かっていた。その手紙には、トラップも何も無いことも。
だが、見なければならないと思った。
手紙の差出人は、アルミール・ガリュースだった。
――
これを読んでいる時、僕はもうこの世に居ないだろう。
元々死ぬ覚悟で、この立場に立っている。もう辛くもない。思考も汚染されているから。
けれどやはり、僕を信じてくれる仲間を裏切るのは心が痛む。だから、死ぬ前に一筆だけ、遺しておこうと思ったんだ。
そして、今これを読んでいる君は恐らく、ユウくん。きっと君だ。ルミちゃんに宛ててはいるけどね。何故って? 見ただけで分かる、君は頭が良いからね。読むべきだ――きっと、そう判断しただろう。
率直に言うと、僕は『変異者』だ。もう知ってると思うけど、『変異者』は魔王に魅入られた存在。つまるところ、悪人さ。僕は魔王にチカラを貰って強くなった。
魔王は人の心の隙間に侵入する。僕は騎士団の副団長でありながら、魔王に身体を許してしまった。
でも、不思議と悪くはなかったんだ。思えば昔から、僕は心の何処かで狂気を欲していたのかもしれない。
僕は産まれた時から、ずっと2番手だった。
貴族の家の出身で
「……ここからは長すぎるな」
アルミールの長くなりそうなエピソードを、悠は迷うことなく読み飛ばした。
――
長く語りすぎたね。ユウくん、君ならきっと、こんな長ったらしい身の上話は読み飛ばしただろう。
そんな感じで、僕はどうしようもなく弱かったけど……ユウくん。短い付き合いながら、君の事は認めていたんだ。
だから君を狙った。それは僕じゃなく、魔王の意思だ。
もう呑まれそうになっている。だから君に託した。
君は僕とは違う。君は天才だ。君にはきっとデカいことが出来る。そう、王にでもなれる素質があるんだ。
どうか。僕を殺してくれ。狂気から目覚めさせてくれ。
生きろ。
――
読み終わった悠は、静かに手紙を封筒へと入れた。
「……長すぎるぞ、アルミールさん」
アルミールからの手紙が、彼に何を思わせたのか。無表情の悠の姿は、そんなことを想像もさせない。
しかし、彼はある決意を固めていた。
「シャル。俺、決めたよ」
「え……何をですか?」
「俺ってさ、魔王を倒すのが最終目標で生きてるんだよな。でも、魔術も使えない今のままじゃとても達成できない。仲間が要る。それも、国家規模のな」
それに、彼のような人々を出さない事も大事だ。
だからこそ、彼の方針は決まっていた。
悠はシャルに向けて、ニヤリと笑みを浮かべる。
「俺、国王になるわ」
「………………は?」
開いた口を閉じもせず、シャルは間を空けてからそう言った。
悠の目標――叶うのか。その未来は、誰も知らない。
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