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普通の大学生がDWバースの世界にトリップしたら、速攻で探偵に運命の番認定されました【 BL・R15版】  作者: 鳴神楓


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9.劇的ビフォーアフター


 僕がこの事務所で暮らすようになってから、早くも一ヶ月が過ぎた。


 糸田川さんのために、毎日バランスの良い食事を作り、部屋を掃除し、規則正しい生活を送らせる──。

 そんな「W(保護者)生活」を続けていたある日、僕はふと、目の前で嬉しそうにお味噌汁をすする糸田川さんの顔を見て固まった。


(……あれ? 糸田川さん、なんか雰囲気変わった……?)


 出会った頃の糸田川さんといえば、青白くて不健康そうな顔色で、痩せこけて幽鬼のようだった。

 しかし、毎日の手料理と規則正しい生活のおかげか、今の彼の肌には健康的な血色が戻り、こけていた頬も普通くらいにはなってきた。

 さらに──。


「向井くん、僕、今日からジムに通うことにしたよ」

「えっ、ジムですか!?」

「ああ。

 君という素晴らしいWを得て、心身ともにエネルギーが満ち溢れていてね。

 それに、探偵たるもの、万が一の時にWを守れるくらいの体力と筋力はつけておかないとね」


 そう言って爽やかに微笑んだ糸田川さんは、有言実行で近所のスポーツジムに通い始めた。

 元々Dとしての集中力や自己管理能力は並外れている男だ。

 トレーニングのコツを掴むのも早かったらしく、プロテインを飲みながらストイックに鍛え上げること数ヶ月──。


 ────────────


「……誰ですか、あなた」


 数ヶ月後のある日、美容院から帰ってきた糸田川さんを見て、僕は思わず素でそう問いかけてしまった。


 ボサボサだった黒髪は美容室で小綺麗に整えられ、姿勢の悪かった背筋はピシッと伸びている。

 適度なトレーニングによって服の上からでもわかるほど胸板や肩幅がしっかりとし、スラリとした高身長が完璧に映えるスタイルになっていた。

 何より、元々の整った目鼻立ちに程よい血色と精悍さが加わったことで、とんでもないオーラを放つ「超絶イケメン探偵」へと劇的な変貌を遂げていたのだ。

 毎日、少しずつ変わっていっているとは思っていたけれど、今日美容院に行くことで完成形に仕上がったらしい。


「誰って、糸田川久智だよ、向井くん。

 そんなにじっと見て、どうしたんだい?」


 僕の言葉に、首をかしげる糸田川さん。

 その低くて深みのある声と、彫りの深い男前な顔が間近に迫り、僕は思わず後ずさった。


(な、なんだこの少女漫画のヒーローみたいなイケメンは……!?

 僕の知ってる『不審者汚部屋探偵』はどこ行ったんだよ!?)


「い、いや……なんか、すごくカッコよくなりましたね……」

「そうかい?

 君にそう言ってもらえるなら、鍛えた甲斐があったよ」


 フッと優しく目を細める糸田川さんの微笑みは、少々破壊力が強すぎる気がする。


 試しに2人で買い出しのために外を歩いてみると、すれ違う女性客や通行人たちが「えっ、あの人モデル?」「すごいイケメン……」「探偵の糸田川さんじゃない!?」と次々に振り返り、黄色い悲鳴すら聞こえてくる始末だ。


(うわあ……この人の隣歩くの、なんかめちゃくちゃ緊張するんだけど……!)


「どうしたんだい、向井くん。

 顔が赤いようだが……熱でもあるのかい?」

「あ、ありません!

 なんでもないです!」


 心配そうに顔を覗き込んでくるイケメン探偵から慌てて目をそらしながら、僕は「人間、ご飯をちゃんと食べて運動するとこんなに変わるんだ……」と、異世界での劇的なビフォーアフターに呆然とするのだった。


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