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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女と邪神?

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ブラックホールの引力

 ソルさんとシキドウジと皇帝の戦闘を見ながら、皇帝の動きを確認していく。


「私の世界との繋がりは断ったけど……皇帝の動きにおかしな部分はなさそう……何か現状を打破できる一手を見つけないと……」

「目に見えるものが全てじゃないのかも」

「目に見えるもの……なるほどね」


 リリィルーナの言っている事は割と的を射ているかもしれない。少し目に頼り過ぎた部分がある。相手の動きじゃなくて、相手が繋がっているものを見つけるのが近道なのかも。

 私は世界を意識して、皇帝の周囲で起こっているものを確認していく。力の流れや属性の流れ、嫌な気配が残っていないのかを確かめる。

 すると、皇帝から発されている大きな力の流れに気付かされる。その力は周囲に撒き散らされているだけだけど、それが皇帝自身を守るものになっていた。その力の流れに何か違和感のようなものを覚える。


「何か……弱々しいが混ざってる……皇帝自身の力?」

「どういう事? あれは皇帝じゃないの……?」

「いや、皇帝だとは思う。でも、その力のほとんどは異神によるものでしょ? 今は異神の力が表に出過ぎてる状態だと思う」

「でも、それが何か意味あるの?」


 リリィルーナにとって、皇帝の意思が残っているという事は大して重要なものじゃない。そもそも皇帝自身を嫌悪しているから。例え、今の異神の力が全面的に表に出た状態から皇帝に戻ったとしても、リリィルーナにとっては父親という肩書きだけで、それ以上の何かがあるわけじゃない。

 それは私にとっても同じだ。皇帝があの世界でやった事は大量殺戮。そして、それは異神が願った事ではなく、皇帝自身が願った事。改心はあり得ない。

 でも、この事実は皇帝を元に戻すという意味合いではない別の意味が存在する。


「うん。皇帝と異神は完全に同化しているわけじゃなくて、それぞれが同居している状態なの。つまり、異神は引き剥がせる。今は二つが重なっている状態で、攻撃が通らないのかも。互いに互いを守っているのかも」

「じゃあ、今は攻撃をしても無駄?」

「ううん。異神と皇帝の乖離が発生するのは、攻撃が命中した時だから、攻撃は意味があると思う。でも、ソルさんの攻撃でも乖離は少しだけ……攻撃力不足じゃなくて、攻撃の回数不足かな。なら、私が入る事で変わる……いや、もっと必要かも……それならやるべきは……」


 私は周囲を見回して、皆の戦闘を見る。敵は増えているけど、その速度は大分遅くなっている。皆の殲滅力が段々と向上している証拠だ。皆の力量が上昇したというわけじゃない。あの異神達との戦いに慣れて来たというだけだと思う。


「リリィルーナ、上空にブラックホール出せる?」

「それじゃあ、特大のブラックホールをお願い。ガイアさん!! 全部吸い上げます! 皆をお願いします!」

「分かったわ!」


 こっちの話をしっかりと聞いていないはずだけど、ガイアさんは即座に了承の返事をした。


「でも……大丈夫?」

「大丈夫。世界を支配する私の力があれば……どうにかなる。皆への被害は気にしないで。ガイアさん達がいるから。私も制御するしね。スノウ!! 皆を地上付近に集めて!」

『ガァ!』


 空のテイムモンスター達は、基本的にスノウの指示に従う。だから、スノウに頼めば皆が地上に集まる。

 空に味方がいなくなったところで、リリィルーナにブラックホールを作り出して貰う。空を覆うようなブラックホールを私は世界を支配する力を用いて制御する。星を動かさないようにして、皆を地上に縫い止めるように下方向への力を強める。

 それをガイアさんに補助して貰い、皆をブラックホールに飲ませないようにする。ブラックホール自体の力も出来るだけ制御して、味方への被害を出させない。


 リリィルーナのブラックホールにより、異神達はどんどんと空に上がっていく。藻掻いてもブラックホールの引力は異常なもの。どんどんと吸い込まれる事になる。

 異神達が全てブラックホールに消えたところで、リリィルーナがブラックホールを消す。これで一時的だとしても皆の手が空く。


「一斉攻撃! 皇帝に休む暇を与えないで!」


 私の指示で皆が行動する。スノウ達がそれぞれの遠距離攻撃を一斉に放つ。そこにゼウスさん達の遠距離攻撃も合わさる。遠距離攻撃を持たない皆は皇帝が動き出した時に備えて周りを囲っている。


「わぁ……ヤバい攻撃だね」


 後ろに下がってきたソルさんが唖然としていた。さすがにこの攻撃密度には驚かされるらしい。


「これで倒せるの?」

「分からないんですけど、皇帝と異神の重なりが攻撃するとズレるみたいなんです。ソルさん達の攻撃でもズレているんですが、攻撃回数が少ないとズレが戻っちゃうんです」

「だから、継続的に攻撃を当てる必要があるって事ね。それなら、私達よりもああいう攻撃の方が向いてるね」

「だが、皇帝が見えないな。あそこにいるのか?」

「うん。それは分かるから大丈夫。そして、駄目押しで、私もあの中に入ってくる。基本的に属性攻撃しかないし、皆の攻撃だから私には効果ないと思うからね」

「…………改めて考えるとお前の異常さが分かるな」


 シキドウジは驚いているけど、ソルさんはもう慣れたのか、にこっと微笑むだけだった。まぁ、身近にルナさんみたいな人がいたから、すぐに慣れるよね。

 私は血液の尻尾を生やして、攻撃回数を稼げる戦闘態勢になりながら皇帝に突っ込む。皆の攻撃の中を真っ直ぐ突っ切って、攻撃を防いでいる皇帝に私も連続で攻撃をしていく。

 異神が生まれないうちに、皇帝と異神を完全に切り離す。皇帝は既に言語を失っている。何か呻いているけど、それだけだ。

 このまま行けば次の段階に移る事になる。皇帝と切り離したら、最終段階になるのかな。

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