頼もしい味方
皇帝が連続で放ってくるを光線を私とソルさんはお互いをカバーしながら打ち消していく。
「どうしてソルさんが?」
ソルさんが来てくれたおかげで、余裕が生まれたので、会話をしながらも行動できている。
「ログインしたら、何か戦闘が始まってるみたいだから、空を飛んできたら、ちょうどハクちゃんが攻撃されてたから間に入っちゃったって感じ。鳴神なら防げるらしいし」
ソルさんは車輪を光線にぶつけながら、鳴神で雷の斬撃を皇帝に飛ばす。それを皇帝は障壁で防いでいた。
「また障壁が復活してる……」
「あの障壁って壊せるの?」
「はい。大分攻撃力が必要ですけど……」
「攻撃力……ちょっと光線の対処を任せても良い?」
「はい。リリィルーナ! こっちで手伝って!」
「うん」
リリィルーナは、私達の側に来て、極小のブラックホールを利用し、光線を絡め取っている。意外と調整が利くものみたいで、私達に影響が出ないようにしてくれている。影響が出る規模になると、皇帝を封じ込めるくらいに出来るし。
ソルさんは、鳴神を鞘に納めて、納刀してあった閃断刀の柄に手を添える。それはよくある抜刀術の構えだった。
「【万里一刀】」
ソルさんが技を使う。そもそも普通のプレイヤーは技を利用して戦う。技を使うよりもただ攻撃し続ける事が一番強い私とは違う。
そして、ソルさんは並みのプレイヤーではない。そんな人の技がどんなものなのか。
【万里一刀】という技は、ソルさんの斬撃を飛ばすものみたい。実際半透明な斬撃が、皇帝に向かって飛んでいっていた。ただ、斬撃を飛ばすだけなら私もできるし、ソルさんもさっきまで鳴神でやっていた。
皇帝の障壁に防がれるだけだ。障壁の耐久値は減るだろうけど。
ただし、それは使われたのが普通の刀だった場合だ。ソルさんが使ったのはラクロスの角を使った閃断刀。異常な切れ味を持つあの刀で使えば話が変わってくる。
飛ぶ斬撃は障壁に命中して、全体に大きな罅を入れた。
『何だと!?』
障壁に自信を持っていた皇帝もこれには驚きを隠せていなかった。私はすかさず全属性を乗せた赫夜刀を投げる。力を付与して加速させた赫夜刀は、皇帝の障壁を割る。
障壁を割ってダメージを与えたら行動パターンが変わったので、しばらくはその繰り返しとなるはず。
私、ソルさん、シキドウジの三人による超高速近接戦闘は、かなり効果的だった。光線による相殺を狙う皇帝に対して、私達の位置を掴ませずに二人を囮にして一人がダメージを与える。その繰り返しが出来たからだ。
特にソルさんがいるのが大きい。さっきの障壁を破る攻撃で、皇帝の警戒がソルさんに集中していたからだ。ヘイトが向いているとソルさんも気づいているので、ヘイトを維持するような好戦的な戦い方をしている。いや、そもそものソルさんの戦い方があんななのかも。イベントでの戦闘も似たようなガンガン攻撃しながら技術で翻弄してくる感じが強かったし。
『調子に乗るな!』
ダメージが一定を超えたのか、皇帝が再び衝撃波を飛ばしてくる。それに対抗するように力を付与したけど、強制ノックバックらしく抵抗してもノックバックはさせられた。
「HPが見えないと、目安が無さすぎるね。何か目安はある?」
「衝撃波がそれになりますかね。これで二回目です」
「それが目安かぁ……まぁ、順調ではありそうだね」
「ただ一つ気になることがあって、ナイアルラトホテプの姿が見えないんです。何かしてくれているとは思うんですけど」
「まだまだ続きそうってことだね」
ソルさんはそう言いながら、車輪を投げる。皇帝の放つ衝撃波の中を飛んでいくけど、途中で弾かれた。一定のところまでは攻撃がいくけど、そこから先は攻撃が届かなくなるらしい。
この間、皇帝が光線を放ち続けるけど、それはリリィルーナのブラックホールで防ぐことができている。皇帝に突っ込めない以上、ここからどうにか攻撃したい。
【混沌熱線】をチャージして放つ。私が口から熱線を放ったので、隣にいたソルさんが少し驚いていた。久しぶりに見るだろうし、いきなり放ったからだろう。
【混沌熱線】も車輪と同じ場所で止められる。だから、熱線を集束させて密度を上げる。すると、車輪よりも更に奥へと攻撃を届かせる事が出来た。
「単純に攻撃力不足か……」
ソルさんは、自分の攻撃が届かない理由が攻撃力不足にあると考えたらしい。車輪の攻撃力は相当なものだったはずだけど、それでも足りないみたい。集束した【混沌熱線】は、普通の【混沌熱線】よりも強いという感じかな。
それを聞いたリリィルーナは、指先に白い光の粒を生み出す。そして、私に視線で合図してくる。なので、私も頷いて返す。リリィルーナの超新星爆発の効果範囲を限定し、爆発に指向性を持たせる。
だから、私達の目の前で爆発してもこっちに被害はこない。割と集中力が必要になるけど、集中できれば問題ないので、超新星爆発は皇帝を飲み込む。
「わお……何これ?」
さすがのソルさんも唖然としていた。滅茶苦茶強い光だし、どう考えてもこっちまで被害が来そうなものなのに来ないしで、驚く要素は揃っている。
「超新星爆発です。範囲を制限しているので、より威力が強くなっているはずです。私が範囲を指定しないと、星が消えるので……」
「まぁ、超新星爆発ならね……そもそもその攻撃範囲を設定出来るハクちゃんもおかしいけどね」
「世界を支配出来るようになりましたし、大分力も上昇しましたし、慣れました」
「本当に規格外だよね。さてと、そろそろあっちも動き出す頃かな。久しぶりに思いっきり戦えそうだから、気合い入れないとね」
「頑張って着いていきます……」
「うん。頑張ろう!」
ソルさんが明るいおかげで、少し明るい気分で皇帝戦を進められている。これで第三段階になるはず。ここからどう変わるか、次の動きも変わって来るかな。




