結界の力の源
雷化して皇帝の背後に移動し、白百合と黒百合を振る。しかし、その攻撃は城を覆っているのと同種の障壁が拒んできた。同時にナイアルラトホテプも反対側から体当たりしつつ触手が障壁を攻撃している。
二人での攻撃の中で、皇帝が手を振る。直後に光線が私達に向かって放たれてきた。私とナイアルラトホテプは、それを避けていく。血液と魔力の組み合わせに全属性を乗せた盾で打ち消して数を減らしながら、皇帝の周りを回る。
その間に、私は城の障壁を崩す方法はないか探す。実際に皇帝と戦ってみて分かったけど、あの障壁に流れている力は、皇帝から出て来ていない。別の場所に力の供給場所があると考えられる。
それを探る。皆がいるのといないのでは、戦力に大きな差が生まれる。ここから皇帝と戦うのにナイアルラトホテプと私だけというのは。
「下か」
その供給源が城の地下にあると分かったので、私は【穿孔】で地下に向かって、穴を作り出す。
『何を……まさか貴様!?』
皇帝がこっちの意図に気付く。ここまであからさまな行動をしていたら、バレない方が無理がある。私は何も言わずに穴に飛び込む。それに対して、皇帝がそれを追う前にナイアルラトホテプが止める。それを見た私は、入口に魔力と血液を混ぜた盾を配置しながら、地下に落ちていく。
そうして落ちていく先は、過去の世界でシュブ=ニグラスを見つけたあの地下。それを思い出した私はあの地下にいたスライム状の怪物を思い出し、地下に向けて全力で炎を送り込む。その炎には闇と影、混沌の属性を付与して、ダメージになりやすい要素を含んだ。地下いっぱいに炎が広がる。これで空気がなくなっても、私には関係ない。
地下に着地した瞬間に、血液兵を量産して地下に放つ。血液兵達は基本的に混沌と闇の属性を付与している。
「力の供給源……もう少し下かな」
力の流れ的に、ここから下の方になるので再び【穿孔】を使いさっきよりも一回り大きな穴を開く。そこに飛び込む前に再び炎を身体から溢れ出させる。同時に雷も全体に走らせた。私の血液である血液兵達は、私のこの攻撃で倒れる事はない。そういう耐性を持っている。
そこから更に地下に落ちていると、力の流れがより見やすくなってきた。力の供給源がそこにある証拠だ。
その力の供給源に向かって【穿孔】を使う。開いた穴の向こうに何か不定形の球体のようなものが見えてくる。そこに近づいていくと、そこから力が流れて外の結界になっている事が分かった。
そして、球体の感じがどこかシュブ=ニグラスに似ているようにも感じる。
「シュブ=ニグラス。これが何か分かる?」
『不明』
シュブ=ニグラスにも分からないらしい。つまり、シュブ=ニグラスが作ったものではないという事になる。そこから考えられることはある。恐らく、これが正解だろう。
「シュブ=ニグラスをここに閉じ込めていた本当の理由は、その力を利用して防御用の結界を張る事。そのシュブ=ニグラスが、私の中に入って過去から現代に移動したから、その代用品って感じかな。どこから力を運んできているのかよく分からないけど……いや……これって純色の異神の……」
私が統一した純色の世界の感覚と似たようなものを感じた。つまり、皇帝は消えた純色達の世界を集めて、こうして万全の備えとしたわけだ。黄、紫、黒の世界がここの供給元という事になる。
何度か【穿孔】や属性での攻撃をしているけど、この球体は圧倒的なエネルギー量で耐えてくる。つまり、やるべき事は一つという事だ。
「ヨグ=ソトース。手伝ってね」
『了承』
この力が満ちた空間に噛み付き、力を吸収する。力の流れが私の方に集中する。純色の力が流れ込んで来る感覚がするけど、アカリが作ってくれた四色の指輪のおかげで、力が流れ込んできても問題ない。
地上でのナイアルラトホテプと皇帝の戦闘が激化しているような音と振動が地下に伝わってくる。それだけここの力が大事なのだと思う。
同時に私の中からシュブ=ニグラスとマイノグーラが出て来た。一体どうしたのかと思ったら、周囲の通路からスライム状のモンスターが出て来る。確かショゴスとか言ったっけ。
どうやら、私の炎と雷撃を生き残った個体が出て来たみたい。それを見たので、私は血液兵を出していく。それをシュブ=ニグラスが取り込み自分の眷属へと変えた。マイノグーラも、私の中から犬達を呼び寄せていた。私の中が犬小屋みたいになっているのかな。
ショゴスへの対処は、二人に任せて私は力の吸収に集中する。赫夜刀からも力が流れ込んで来るけど、赫夜刀の力とここの力は別種のものだと分かる。
つまり、結界はここの力だけど、世界を侵蝕しているのは皇帝や七色の異神の力だと分かる。ここの力を吸収したら皇帝打倒への活路が開けると思ったのだけど、それはまた別の問題になりそうだ。
でも、シキドウジや皆の援護が見込まれるので、戦局の変化は訪れると思う。
段々と球体が小さくなっていき、やがて球体が消えた。全ての力を吸収した事で、私も周囲への対処に参加出来ると思ったのだけど、既にシュブ=ニグラス達が完全に対処した後だった。
ショゴスがいなくなり、シュブ=ニグラス達が私の中に戻る。それと同時にクトゥルフが出て来た。天井を粉砕するので、瓦礫が降り注いで来る。その瓦礫は支配の対象なので、そのまま避ける事は出来るけど。
「どうしたの?」
『ルルイエ』『この場所』『展開』『力』『削ぐ』
「ルルイエをここに出しちゃって大丈夫なの? 地下に埋もれない?」
『問題』『否定』『この場所』『主』『我』
クトゥルフがこの場所にルルイエを展開して、この場所の主となることで、皇帝の力を削ぐつもりらしい。そんな事が出来るのかという心配もあるけど、ここはクトゥルフに任せる事にした。
「それじゃあ、お願いね」
私の中からルルイエが出て来て、地下に広がる。地盤が壊れていくけど、ルルイエが新しい地盤となる。かなりの広さだったと思うけど、色々と大丈夫なのか心配になる。でも、取り敢えずはクトゥルフを信じて成り行きを見守る。




