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何でもいいと言われたので転生特典をありったけもらって転生したのに、実家がなくなったので妹と共に魔法を極めます  作者: あっきー


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特典EX5「今この時、この場所で」


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「それじゃあ、今日の授業はここまで!」


チャイムと同時に授業終了の合図を送り、生徒たちを見送る。

手伝ってくれていたグレイとサクヤにお礼を言い、椅子に腰掛けた。


今日は火曜日。

ハルナさんが転生の件について話をしに来るだろう。

サクヤは次の授業があるとのことで向かっていった。

俺よりも多くの授業をとっており、かなりハードなスケジュールとなっている。

そのうえで毎回手伝ってくれているのだから本当にありがたい。


グレイと片付けをしながら待っていると、おずおずと教室に入ってきた。

日本語で話すだろうし、グレイにもわかるように言語理解スキルを付与しておくとしよう。


「こんにちは、先輩。

お時間を作っていただきありがとうございます。」


「こちらこそわざわざご足労ありがとうございます。

こちらはグレイ。

知っているかもしれないが、この国の王太子殿下だ。

彼女は1年生のハルナ・イガラシさんといって、俺と同じ異世界転生者だそうで。」


互いに紹介を済ますと、ハルナさんが余計に緊張してしまった。

ここは先輩として優しく声をかけてあげるとしよう。


「ハルナさん、肩抜いて大丈夫だよ。」


「ただの脱臼だわ。なんで初対面でいきなりそんな怖い演出見せられなきゃならないんだよ。抜くなら肩の力を抜かせろよ。あと君が異世界から来たってのも初耳だよ。」


「あれ、そうだっけ?」


「あっさり言われて危うく聞き逃すところだったわ。

まあ今更まったく驚かないけどな。」


「えっ、少しは驚いてくれてもいいんじゃない?

異世界だよ、異世界。」


「君はこの世界に順応しすぎなんだよ。

別世界の妹を溺愛してその歳で結婚までして。

とはいえ能力が馬鹿げ過ぎてて神様の気まぐれにしては出来過ぎだとは思っていたけど。」


「まあ神様たちとはよく話す間柄だ。」


「はあ・・・もう君には驚きを通り越して呆れの感情しか出てこないよ。」


「ぷっ、あはははっ!」


グレイとのやりとりにハルナさんが吹き出してしまった。

王太子殿下との初対面で緊張したのに、意外にも打ち解けやすそうな性格なので思わずとのこと。

たしかに威張り散らしたりするタイプじゃないからな。

親しみやすさはあるかもしれない。

俺への当たりが強いのは否めないが。


ハルナさんが腰掛けたのを確認したところで本題に入るとしよう。


「それで、何を聞きたいんだい?」


「色々ありますが・・・。」


言いながらカバンの中からノートを取り出した。

おそらく聞きたいことをまとめてきたのだろう。


「1つ、転生した時のこと。

わたしは洗礼式の前日の昼間、ベッドから落ちたことにより前世の記憶が蘇りました。

この世界でのそれ以前の記憶もあるので赤ん坊の頃から転生していたものと思われます。

2つ、この世界の言語習得にはどれくらいの時間がかかったのか。

3つ、この学院で何をすべきか。

ひとまずはこれくらいで・・・いつから奥さん抱えてたんですか?」


「ハルナさんがノートを探し始めたくらいかな。」


「ふふ・・・タクミ成分、補給中。」


「諦めろ、ハルナさん。

この2人には人目を気にするという感情が欠落しているからね。」


「むしろ・・・ボクのだよ、って・・・見てわかる。」


「まさか計算でやっていたとは思わなかったよ。」


グレイが呆れた顔で頭を抱えた。

これも見慣れた光景だな。

うちの可愛い奥さんを撫でつつ、疑問に答えるとしよう。


「1つ、前世でトラックに轢かれそうな子どもを助けたら死んでしまってこちらに転生。

善行が足りなかったので没落貴族の四男で、洗礼式の当日の朝に指定して転生した。

ティティー様直々に寵愛スキルを頂いたおかげで、人類の上限限界突破したステータスの持ち主になった。

まあそこは前世で散々異世界転生モノを見てきたから、それの賜物かな。

2つ、言語理解スキルを転生と同時に習得済み。

3つ、自分で考えましょう。」


「これ僕が聞いて問題なかったやつかい?」


「死ぬ時は一緒だぜ?」


「それは・・・ボクに、言ってほしい。」


そんな会話で笑っていると、開いた口が塞がらないと表現すべき顔のハルナさんがようやくこっちに戻ってきた。


「前世の死因や転生時のことをそんなに鮮明に覚えているんですね。」


一言で転生と言っても色々あるようだ。

俺はたまたまめぐり合わせがよかったのだろう。

ハルナさんの前世まではわからないけど、これからの助けにはなれそうだ。


「まあこっちのことでわからないことがあれば、またいつでもおいでよ。

話しくらいはするからさ。」


「こんなこと滅多に話せませんし、そうさせていただきます。」


「王太子殿下とも秘密の共有ができて後ろ盾ができたと思って安心しておくといいよ。」


「王国も僕も君ほど安くねえわ。」


「む・・・タクミも・・・安く、ないもん。」


くすくすと笑いながらお辞儀をして教室から出ていくハルナさんを見送った。

今後もことあるごとに相談に来るのだろう。

そんなことを考えながら、少しむっとしてしまったかわいい奥さんを愛でていた。



-----


「リンク、先程はすまなかった。」


「もう・・・いいよ。」


お昼休み、再び顔を合わせた2人。

どうやらリズがその話を聞きつけ、グレイに謝罪するよう促したようだ。

気まずいまま食事というのも嫌だしな。

なにか新しい刺激でもあれば良いのだが。


(お兄ちゃん、中庭だよねー?)


「ハッ!!マイシスターが俺を呼んでいる!!

いつも通り中庭だぞマイシスター!!」


「何も聞こえませんでしたけど・・・タクミが言うのならそうなのでしょうね。」


(お昼一緒に食べてもいいー?)


「かわいい妹の頼みを断るわけがないだろー?」


(ありがとうお兄ちゃん、大好き!!)


「ぐはっ・・・!」


「1人で喋っていきなり血を吐いて忙しいな。

君じゃなかったら色々心配してるところだわ。

というかこの兄妹はどんな距離で会話が成り立ってるんだ?

普通に気持ち悪いわ。」


「はあ?心と心がつながってるんですー!

というか前にも言いましたけどキモいと言われるより素直に気持ち悪いと言われる側は傷つくのでおすすめしませんー!」


「口から血を流しながら言うんじゃねえ。心より体のほうが傷ついてんじゃねえか。言い返すより回復魔法を優先しろよ。」


そんなこんなで回復魔法を使っていると、校舎の方からサクヤたちがこちらに向かってきた。

どうやらお友達も一緒のようだ。


「うわ、本当に会話成り立ってたの!?」


「実習棟の3階から中庭って結構な距離があるんですけど・・・?」


先ほどぶりのハルナさんと、数日ぶりのエフィーレさんもグレイと同様の反応だ。

サクヤと思わず目が合い。


「「心が通じ合ってるんだから仕方ないよねえ?」」


「あはは、一言一句違わず揃うなんてすごいですね。」


「2学年になって心労が増えた気がするよ・・・。」


「愛だけは・・・負けない。」


笑うリズと、頭を抱えるグレイ。

そして俺を後ろから抱きしめるリンリン。


時間は経っても変わらないものもある。

それは日本でもマルクルスでも同じだ。


そう思えるような、平和な光景。


ハルナさんもエフィーレさんも、思わず笑顔になっていた。

出身なんて関係ない。


俺は今この時、この場所で。


最高に幸せなのだから。



読んでくださった方々が少しでも楽しんでいただけますように。

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