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何でもいいと言われたので転生特典をありったけもらって転生したのに、実家がなくなったので妹と共に魔法を極めます  作者: あっきー


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特典16「愛に過剰などない」


今日も愛妹(あいまい)弁当を受け取った。

もうすでに朝から気分が良い。

かわいい妹に笑顔で「今日もいってらっしゃい!」なんて言われてしまっては足取りも軽くなるというものだ。

さて、先日のお礼も兼ねてご近所付き合いをしながら向かうとしよう。


3軒隣のリンクス侯爵家の前で待つこと少々。

リンリンが家から出てきた。


「おはよう、リンリン。良かったら一緒に(バタンッ)学・・・院・・・に。」


扉を閉められてしまった。

なぜだ。

先程の機嫌の良さはどこへやら。

友達に拒絶されてしまった俺はトボトボと一人寂しく学院へ向かうのだった。


「・・・顔・・・見れない・・・。」



-----


なんとか教室へたどり着き、自分の机に突っ伏す。

そんな様子を見たリズとグレイが声をかけてくれた。


「おはようございます、タクミ。

サクヤさんと何かあったのですか?」


「ラブリーマイシスターではないんだけど・・・リンリンに拒絶された。」


「朝っぱらからシスコン成分振りまくのやめてくれないか。

そんなこと言っていると妹くんにも愛想を尽かされるぞ。」


「はあ?普段はもっと可愛がってるわ!!

俺のシスコンなめんな!!

そしてそれに大喜びする妹のブラコンなめんな!!」


「王太子に向かって()()指を立てて、そこまで言える君の神経の図太さと相変わらずのシスコンっぷりにドン引きと共に安心すら覚えたよ。

学院じゃなかったら不敬罪だぞ、それ。

まあでも元気は出たな。」


愛する妹の笑顔を思い浮かべたら元気が出てきた。

我ながら単純だ。


そんな会話をしているとリンリンが教室に入ってきたものの。

誰とも顔を合わさずそそくさと1番離れた席に座ってしまった。

その様子に何か気付いたようなリズが耳打ちをしてきた。


「タクミ、もしかしてリンリンと婚約だったり、それに準ずることをしたりしました?

あの様子、昔の自分を見てるようで。」


ああそういえば2人は許嫁だったな。

ということは昔のリズもあんな感じの態度をとっていたということだろう。


だがまったく見に覚えがない。

しいて言えば妹がそれを気にしていたくらいだ。

リズにそんなことがあったんだと、先日のギルドでの一件を説明すると。


「それは100%タクミが悪いですっ!

たとえ傷つけてしまうとしても、正直にきちんと話したほうがいいです。

それもなるべく早く、です!」


その様子にグレイも何かを察したようだ。


「まあ、きちんと君の本心で話してやるべきだね。」


「おーし、席につけー。」


先生が入ってきたことで2人は席に戻っていった。

本心、ねえ。



1時間目終了。


「よおリンリン、このあと(バタンッ)・・・。」


2時間目終了


「リンリン、このあと(ドヒュンッ)・・・。」


3時間目終了


「なあリンリン(第三階梯ー中級魔法『ロック・ドーム』)閉じ込められたっ!?」


とまあそんなことを繰り返しているうちに昼食の時間。

涙目になりつつリズとグレイと合流。

現状の説明をしつつ腰掛け、皆でお弁当を広げた。


愛妹弁当ー本日の献立

・大きなハートマーク状に牛肉が盛られた牛丼

・ローストビーフ

・トッカルビ

・スープ代わりにハッシュドビーフ


牛牛牛牛ィ!!


「もう妹ったらおちゃめさん。」


「それはもう嫌がらせにしか見えないのだが、おちゃめで済ませていいのか・・・?」


「はあ?嫌がらせならハートマークに説明つきませんー!

きっと愛する兄へカルニチンとビタミンB12をとってほしいと願いながら作ったに違いありませんー!」


「カル・・・?過剰摂取という言葉を知っているかい。」


「いいか、グレイ。

・・・・・・愛に過剰などない・・・・・・ないんだ。」


「いただきます。」


「あっ、リンリン!」


リズの言葉に顔をあげると、耳まで真っ赤にしたリンリンがお弁当を持って立っていた。

あんなに俺から逃げていたというのに、ご飯は一緒に食べるんだな。

嫌われているわけではなさそうだ。


「このあと・・・『魔法訓練』だから・・・一緒に食べれば・・・効率良い。」


「良かった、嫌われたのかと思ったよ。」


「嫌う・・・理由なんかない・・・顔、見れないだけ。」


その会話にホッとした表情のリズ。

グレイも食べる箸を止めて気にしてくれているあたり、なんだかんだ良いやつだ。


「お父様から聞いた・・・でも、たぶん勘違い。

そのお弁当を作るの・・・1時間とかの話じゃない。

相思相愛じゃないと・・・そんなことできない・・・ボクの入る余地なんてない。」


「そう分かっていても逃げてるってことは、リンリンの気持ちは違うんですよね?」


「リズ・・・分からない・・・この気持ちがなんなのか。

悲しいのか・・・悔しいのか・・・寂しいのか。

だから逃げた・・・ごめんね、タクミ。」


「嫌われてないことが分かっただけ良いさ。うっぷ。」


「油に負けてんじゃねえか。」


「妹の愛はすべて受け止めるぜ。」

『浄化』


「魔法に頼るほど油で胃がやられてんじゃねえか。そんな重たい愛嫌だわ。無詠唱だろうと魔法の発動見逃すほど落ちぶれてねえわ。次席なめんな。」


「たぶん・・・こういう日常が大切で・・・タクミも、ボクも。

入る余地はなくても・・・自分で入るから・・・大丈夫。」


その言葉に、思わず笑顔になってしまった。

俺だけでなく、リズもグレイも。


なんだかんだでこの4人の時間は、それぞれの中で大切になっているみたいだ。

もちろん、俺の中でも。



-----


「さて今日からはそれぞれの欠点に向き合ってもらおうと思う。」


リンリンも元通りになり、皆で昼食を食べたあと。

『魔法訓練』の時間だ。

前回で全員の魔法を見たからな。

それぞれにあったメニューをやってもらうとしよう。


「まずはリンリン。

魔力の流し込みが甘く、魔法が脆かった。

おそらく魔法の形成が得意ではないんだろう。

だからこの、俺特性粘土を操作して形を作る練習だ。

かなりの魔力量じゃないとビクともしないから、頑張れ。」


「分かった・・・。」


「続いてリズ。

無詠唱であの威力は凄いが、無駄な魔力を使いすぎだ。

10でいいところ、12〜13は使っていると思う。

その見極めのために作り上げた魔法風船を用意した。

割れるギリギリまで魔力を流し込む練習だ。

最初は割れまくるだろうが、頑張れ。」


「はいっ!」


「最後にグレイ。

一見完璧に見えたが、魔法に振り回されてるな。

基礎体力というか、身体ができあがっていない。

とことん身体を鍛えてもらうぞ。

ということでこちらのアトラクションを用意しました、はいドーン!」


マジックバックから引っ張り出したのは俺が実家で鍛えるために『日曜大工』で作り上げたアトラクションの数々だ。

もちろん全てが俺のお手製。

だが実家で放置しておくと無邪気な弟や妹が触って怪我をする危険性があったので、必要なとき以外はマジックバックにしまっておいたというわけだ。


「こんなものをいつ用意したっていうんだい君は・・・。」


「ちなみに魔法を手に纏ってないと怪我するから気を付けてな。」


「君は一体王太子にどんな危険なアトラクションをやらせるつもりだい!?」


とまあそんなこんなでそれぞれが特訓開始。

パアンと大きな音で早速リズの風船が割れた。

変えはまだ300こはあるからな。

いくらでもやってくれ。


なかなか苦戦してそうなのはリンリンだ。

こちらの粘土も俺の魔法特訓用に作り出したもの。

いくらスキルを創造したとしても、それを形にできないのであれば意味がないからな。

形を作る練習としては大いに役立った。

そして魔力を多く流さないとその形は変わらず、形を留めるには正しい魔力の操作が必要となる。

この中で1番苦労するのはリンリンだろうな。


そしてアトラクションから何度も落ちては再スタートをするグレイ。

なんだかんだ言いつつも、無言で素直に頑張ってくれている。

試験で負けた相手に初日にコンタクトをとってくるほどの性格だ。

負けず嫌いでありつつもその相手を認めることはするのだろう。

そしてその相手からの挑戦状だ。

あいつが燃えないわけがない。



「はあ・・・はあ・・・鬼教官・・・!」


「くそっ。」


「うぅー・・・風船が割れすぎて耳がキーンとします・・・。」


とまあそんなこんなで初回の訓練は誰もうまいこといかずに終了した。

初日からできるとは思ってないし、気長に見守るとしよう。



-----


「そういえばサクヤはどうやって魔法の特訓してるんだ?」


「やりたい魔法を思い浮かべてー、結界のなかにおりゃあー!って感じ!」


「なるほど、自己流で頑張ってるんだな。えらいぞ。」


「えへへー。」


前回好評だった泡風呂にまた入りたいとせがまれて今に至るわけだが。

ふとこの前のダンジョンで『帝級魔法』を使用していたのを思い出して聞いてみた。

そろそろ本格的にサクヤの魔法も見てやるとするか。

王都が吹き飛ぶ前に。


「そういえば最近ね、男の人に声をかけられたの。」


「どこの家のどいつだ。悪い虫はお兄ちゃんが焼払おう。」


「あははー、どうどう。

魔法を教えてほしいって頼まれたんだけどね。

アタシは感覚でやっちゃうから教えるとかはできなくて、お兄ちゃんのほうがうまいですって断ったよ。」


「もししつこくきたらすぐにお兄ちゃんに言うんだぞ。」


「大丈夫、その日から見てないから。

でもその子、格好が平民の子ーって感じだったの。

お兄ちゃんだったら教えてあげたのかなあ?って。」


「うーん、正直に言うと教えないと思う。

教えたところで理解されるとも限らないし。」


「やっぱりそうだよね・・・。

うん、相談に乗ってくれてありがとう、お兄ちゃん!」



妹にそう言ったものの、今俺がやっている『魔法訓練』がまさにそれなんだよな。

なぜ俺は初対面のリンリンに許可したんだろうか。

そしてリズやグレイも。

初めてできた学友っていうのは大きな理由だろうけど、理解されるかされないかのリスクは同じはずだ。


なにか大きな違いでもあるのだろうか。

今は考えてもまったく分からないけど。


いつか、分かる日が来るのかな。



ぐぎゅるるるるるーー

『浄化』


まあなんにしてもまずは、妹にはお弁当に油ものを使うのはほどほどにしてもらうとしよう。



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