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何でもいいと言われたので転生特典をありったけもらって転生したのに、実家がなくなったので妹と共に魔法を極めます  作者: あっきー


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14/32

特典14「ありがとうございます」


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初の週末。

今日は1日サクヤとデートの日だ。

『帝級魔法』の面倒を見てもよかったのだが、そろそろ冒険者として依頼をこなしておかないと権利が剥奪されてしまうということで、朝一番で冒険者ギルドへとやってきた。


俺達はまだFランクということで、難しい依頼は多くない。

雑用か、近くの魔物を定期的に討伐する巡回系、もしくは薬草採取などが一般的だ。

ひとまずアールス山脈で手に入れた手持ちの薬草でクリアできる薬草採取クエストを達成。

それにより依頼連続5回達成で、2人ともEランクへと昇格することができた。


これは前回の権利剥奪前に受けた際に説明を受けていたのだが、次回のお楽しみにとっておいたのだ。

木のような茶色のギルドカードが灰色へと変わった。

やはりランクアップというのは嬉しいものだ。

サクヤも両手でギルドカードを持って目を輝かせている。

昇格の事務手続きに思っていたよりも時間を取られてしまったので、先にご飯を食べてから依頼を受けるとしよう。


「Eランクだとやっと討伐系の依頼が増えてくるんだよね?」


「そうだな。と言ってもそこまで大きな相手は居ないはずだから期待しないほうがいいぞ。」


「ううん、お兄ちゃんと一緒に冒険できるのが楽しみなのっ!」


ドサッー


「えっ、お兄ちゃん大丈夫!?」


あぶねえ、一瞬三途の川が見えてしまった。

どんな魔法でも俺に傷を追わせるのは不可能だが、レビス様とサクヤだけは精神攻撃で俺を倒せる気がする。

というかその2人以外には不可能だろう。


言葉のとおりに楽しそうな顔をしながら前を歩く妹。

たしかに一緒に冒険していたのは王都に来る前だから、もう1年くらい前になるのか。

そんな久しぶりの冒険(デート)が楽しみじゃないわけがないよな。


さて今回受けたのは討伐系かと思いきや、Dランク依頼『未踏破の新ダンジョンの散策(マッピング)依頼』だ。

この王都では依頼失敗がなくランクアップした場合、最初のクエストに限り1つ上のランクの依頼を受けることができるとのこと。

それに成功すればそのランクのうちは1つ上のランクの依頼を受けることができるそうだ。

優秀な新人が埋もれてしまわないようにと、王都限定のシステムなのだそうで。


ということで迷わずDランクの依頼を見て、討伐系を受けようとした際。


「待ってお兄ちゃん。

討伐系だと一瞬で冒険が終わっちゃうから、今日はゆっくりできるのにしよっ!」


と満面の笑みで言われてしまっては断る理由などない。

記入専用の地図を受け取り、いざダンジョンへ。



地図を『マッピング』をしながら進まなければならないだけあり、階層の隅々まで歩く必要がある。

これは今後このダンジョンを攻略する冒険者たちのためのものだろう。

罠もすべて書き込んでおいてあげれば生存率は大幅に跳ね上がるよな。


「『罠検知(トラップ・サーチ)』、『隠し扉検知(シークレット・サーチ)』。」


「わお、お兄ちゃん冒険者みたい。」


冒険者なんだけどな一応。

たぶんシーフみたいと言いたいのだろう。

赤く光る床や壁を地図上にバツ印を書いてゆく。

そして壁が青く光っている箇所を発見。


「サクヤ、隠し扉だ。行けるか?」


「うん、大丈夫!『召喚』ーライト!!」


「バウッ!」


我が家の番犬も参戦。

・・・少し見ないうちにまた大きくなってないか?

いつの間にかサクヤが頭の上に乗れるレベルになっている。

俺が学院生活を送っているなか、2人で仲良くやっているのだろう。


おのれライト。うらやましい。


ガコンッー


青く光るレンガを押すと内側に凹み、大きな音を立てて扉が開いた。

中に入るもなんの反応もない。

特に宝箱などがあるわけでもなく、ただただ白い壁の大きな部屋だ。


「なにもなしっと・・・!?」


地図に書き込もうとペンを持った瞬間、入ってきたはずの扉が勝手に閉まった。

ライトが悪ふざけで閉めたわけでもなさそうだ。


「サクヤ、ライトを一応しまっておいてくれ。」


「分かった!ライトー『返還(ハウス)』!

でもどうして?」


「ここは・・・モンスターパレスだ。」


俺の言葉を皮切りにか、辺りにものすごい量の『骸骨剣士(スケルトンナイト)』が現れた。

ざっと100体ってところか・・・いやまだ増えてるな。

1階層目からなんて場所だ、このダンジョンは。


「うん・・・まあいいか。

サクヤ、マッピングしておくからあとよろしくー。」


「合点でい!

災禍の暴風ディザスター・テンペスト』!!」


「おおう、いつの間に『帝級魔法』を・・・。」


その間に地図を更新・・・風風風ぇ!!

地図バッサバッサいって描けねえわ!!


「お兄ちゃーん、なんか強そうなの出てきた!

ぶっ飛ばしていい?」


首だけそちらを向けると、宙に浮いた豪華装備のスケルトンが居た。

あれは・・・『鑑定』。


ピコンッー

『リッチ レベル85

スキル:使役、闇属性魔法レベル4、浮遊、高速移動、魂喰らい』


「なんだ雑魚か。

サクヤさん、やっておしまい。

あ、風属性と火属性はなしな。」


「あいあいさー!

水魔法使ったら後がめんどくさいから殴っとくね!

(サクヤちゃん)(スーパー)(ウルトラ)(メガトン)(パーンチ)』!!」


ドゴォォォォォォォォォォンーーーー


よし、マッピング完了。

大量の戦利品が散らかってるなあ。


「わ、お兄ちゃん!なんかダッサイ装備でたー!あははっ!」


『鑑定』。


ピコンッー

『疾走の腰当て

移動速度に3倍の補正がかかる。』


うん、シーフたちが欲しがりそうな立派な国宝級装備だね。

まずは妹に『ネーミングセンス』と『鑑定』スキルを覚えさせるところから始めよう。

でも楽しそうな妹を見れてお兄ちゃん大満足です。



さて、そんなこんなで最速で攻略を繰り返し。

10階層でボス部屋らしき扉を見つけた。

ここまで全てのマップを記載できており、他に道もなし。

ということはここを通らなければ次の階層にたどり着けないわけだ。

まあ今日のマッピングはこの程度でいいだろう。

ボスを倒したとしても次の階層があったんじゃ今日中に帰れなそうだしな。

半日弱でここまでできあがれば成果としては充分すぎるくらいだ。


「おじゃましまーす!」


「うん、無邪気でかわいいぞ妹よ。」


俺達が中に入ると、真っ直ぐな通路の両脇の松明が自動的に点灯し始めた。

そして部屋の扉も自動で閉まるのはお約束だな。

通路を進み、扉もない広場に出ると正面に黒い煙が回転しながらあがった。


ーーーーーー!!


鳴き声とも取れない大きな叫びをあげながら出現する巨大な牛頭鬼。

その手にはサクヤ20人分くらいの大きさの鉄のハンマーが握られている。


「うわ、おっきい!

ん・・・ちゃんと全部入るかな?」


言いながら腰のマジックバックに手をやるサクヤ。

あ、そっちにね。


「お前のせいで、ちょっと卑猥な妄想をしちまったじゃねえか!!!!

ドキッとしたぞこのやろうありがとうございます!!」


ピコンッー  スキル 『妄想』 を 獲得しました。


いらねええええええええ!!!!!!


ボールを投げるように右手を上から下へ振りおろす。

魔法の刃が敵を真っ二つに切り裂き、徐々に消滅していった。


「おー!お兄ちゃんすごーい!

ビームみたいでかっこいい!!」


ハートを全身から振りまくような顔でクネクネしている。

完全な八つ当たりだったが、妹が楽しそうなので全てよし。

ドロップアイテムも全て回収して部屋を散策するも、特に階段などはなかった。

どうやら今のでかいのがこのダンジョンのラスボスだったようだ。

ではギルドに戻って報告するとしよう。



ダンジョンの外に出ると既に夜になっていた。

まあ10階層全ての部屋と罠をマッピングしてたからな。

攻略速度が早いと言っても半日かかってしまうのは仕方ないだろう。


「今日は楽しかったねー!また行こうね!」


「久しぶりの冒険、楽しかったな!」


どちらからともなくパアンとハイタッチを交わしてギルドへと向かった。



「えっ・・・もう終わったのですか・・・?

受注から半日ですよ?」


「はい、これが地図です。

全ての罠と隠し部屋の情報も記載してあります。

あとこれがボスからの戦利品です。」


「・・・確かに・・・。

えっ、リッチレベル85にデュラハンレベル100!?

ボスはレベル150!!??

・・・ちょっと君たち、上の部屋までご同行願えますか?」


そんなこんなで部屋に通されて現在。

ギルドマスターさんと面会させられているところだ。

出されたお菓子をそれはもう美味しそうに食べるかわいい妹に癒やされていたいのだが、そうもいかなそうだ。


「とりあえずお前らは何者だ?

Eランクにあがったばかりの戦果じゃないぞ、これ。」


「タクミ・イスタルと申します。

爵位は男爵です。

こちらは妹のサクヤ・イスタル。

兄妹で冒険者パーティをやっております。」


「いやそれは調べたから知ってる。

公爵令嬢を1人で助けたっていう男爵様だろ?

それはまあある程度の強さは持ってるんだろうが・・・。

さすがにたった半日でここまでの結果は・・・。」


ガチャッー


どう言葉を返すか迷っていると、急に部屋の扉が開いた。

見知らぬ男の人だが、俺を見るなりフッと笑った。

高い身長に後ろで縛られた黒い長髪、紺色のスーツに高そうな金色のモノクル。

どう見ても貴族様だが、パーティを開いてないおかげで誰だかさっぱりわからん。


「騒ぎが起きていると聞いて駆けつけてみれば・・・。

ボビー、どういうことか説明してもらおうか。」


「シャンドリー様!

この子どもたちがたった半日で10階層の未踏破ダンジョンをマッピングしてきたんです!

それどころかボスまで倒しちまったらしくて、どう対処したものかと・・・。」


「フッ・・・ハハハハ!!

娘から聞いている通りの規格外っぷりだな!!

とはいえボビー。

人を見た目や先入観で判断するなといつも言っているだろう。

お前の悪いクセだぞ。」


そう言いながら誰だか分からないという顔をしている俺に向き直る貴族様。

モノクルを外し、最近では見慣れた丸眼鏡をかけ直して挨拶をしてきた。


「はじめまして、イスタル男爵。

わたしはシャンドリー・シグマン・リンクス。

娘のリンクがいつも世話になっているね。」


リンリンのお父様だー!?

貴族社会では目上の者から名乗らせるのは礼儀知らずとして扱われる。

だからこれまでも自分から名乗ってきたというのに、侯爵様相手にこれはまずい・・・!


「申し遅れ大変申し訳ございません!!!

タクミ・イスタル、爵位は男爵。

リンリン・・・リンク嬢とはいつも仲良くさせていただいております!!」


「いや、今のは貴族としてではなく娘の学友へ父からの挨拶だ。

気にしなくていいぞ。

娘は入学試験の日以降、いつも家では君のことばかり話しているんだ。

一目見ることができて良かったよ。」


なんて良い人なのだろう。

サクヤも挨拶を済ませ、ようやく本題を話すことができた。


「まあ実際凄い成果じゃないか。

わたしがギルドを管轄して以降、こんなの初めての快挙だぞ。

もういっそのこと、Bランクまであげちゃおうか。」


なるほど、それでこんなに夜遅くに呼び出されたわけだ。

なんか申し訳ないことをした。

ってBランクと申したか。


「うーん。

Aランクにあがるには昇格試験が必要だし、試験なしではやっぱりBランクが限界だね。

ボビー、手続きよろしく頼むよ。」


「かしこまりました!」


ギルドマスターは俺達からギルドカードを預かり、慌ただしく部屋を出ていった。

サクヤは久しぶりの冒険でつかれたのか、少し眠そうな顔でかくんかくんしている。


「まあこれでこの件は解決かな。

それでイスタル男爵。」


急に真面目な顔をするリンクス侯爵。

思わずこちらも何事かと気を張ってしまう。


「娘のリンクのこと、(結婚相手として)頼めないだろうか。

あの子は引っ込み思案なところはあるが、芯はしっかりしている娘だ。

才覚溢れる君なら、安心して任せられるよ。」


なんだ、師弟関係のことか。

そこまで話しているのか。

あんまり俺の魔法については家族であっても話してほしくないものだが。


「そんなっ、頭を上げてください!

学友として接していただき、こちらこそ感謝しているんです。

こう見えて、僕も結構大変(なステータスを持っている身)でして。

今は妹のサクヤも居るので(あまり見てあげれませんが)。

その(見てあげられる)時は全力で(教えさせていただきます)。」


「・・・分かった。

それでは(君の妹君が)一人前になるまではこの話は(世間には)口外しないでおくとしよう。

だが(その妹君が)一人前になったときには共に(前向きに進めようじゃないか)。」


「かしこまりました!

(リンリンが)一人前になるまではまだ時間はかかると思いますが。

その時は両手を挙げて喜びますので、ご一緒に(喜びを分かち合いましょう)。」


「そうかそうか!

その言葉を聞けただけでも今日は来てよかったよ!

家も近所だし、困ったことがあったらうちに来なさい。

それでは、わたしはこれにて失礼するよ。」


「はいっ!色々とありがとうございました!

今後とも(ご近所さんとして)よろしくお願い致します!」


リンクス侯爵は上機嫌で部屋を出ていった。

いやあ、これでなにかあったときの強力な後ろ盾ができた。

学院での出会いに感謝だな。


「うーん・・・お兄ちゃん、今の話し・・・本当に結婚するの?」


「おいおい何を言っているんだマイシスター。

俺がサクヤを置いてそんなことするわけないじゃないか。」


「んー・・・?でも今の話ってどう聞いても娘をもらってくれ!に対して喜んで!と答えてたように聞こえたけどなあ?」


「ハハッ、そんなまさかあ。

サクヤは今日はつかれてるだろうし、きっと寝ぼけてるんだよ。」


「うーん・・・そんなことないんだけどなあ?」



その後、ギルドマスターから銀色に輝くギルドカードを手渡され。

俺達は冒険者ランクがBにあがったのだった。


妹との冒険(デート)も楽しめたことだし、良い休日になった。

そして明日は魔法学会に参加する予定だ。


ここのところ毎日が充実しているなあ。

これも加護をくださった神様たちのおかげだろう。


本当にありがとうございます。



「・・・やっぱり結婚の話しだよねえ・・・?」


妹は帰り道ずっと顎に手を当てて考え込んでいた。



ブックマーク登録ありがとうございます!

やはりどんな形であれ、評価いただけるのはめちゃくちゃ嬉しいものです。

おかげで楽しく描けており、色々と小ネタを挟む余力ができてきました。

みなさんに楽しんでいただけるように今後も精進していきたいと思います。


少しでも楽しんでいただけたらブックマーク登録や★評価などで応援していただけたら嬉しいです!

今後ともよろしくお願い致します。

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