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何でもいいと言われたので転生特典をありったけもらって転生したのに、実家がなくなったので妹と共に魔法を極めます  作者: あっきー


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13/32

特典13「魔法の無限大の可能性です」


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入学後、初めての金曜日。

『魔法考察』の授業にリズと共にやってきた。

今週末から魔法学会にお世話になる約束を取り付けたので、その予行練習みたいなものだ。

リズも将来に向けて色んな知識を語り合うのだと気合が入っている。


教室に入ると大きな造りに驚いた。

軽く300人は収容できるであろう大きさ。

中央下段に教卓らしき壇があり、それを取り囲むように生徒が座るであろうテーブル。

それが階段状に何段もある。

少し早めに到着した甲斐があり、最前列に座ることができた。

10分もしないうちに下から順に半分以上が埋まり、授業が始まる頃にはほぼすべての席が埋まっていた。

どうやら人気のある授業のようだ。


「あー、今日から新入生が参加してくれることになった。

ワシは『魔法考察』の授業を担当しておる、イグリード・ジャネット・リングリーじゃ。

週末には魔法学会にも参加しておるぞい。」


ということはあの先生とはよく顔を合わせることになりそうだ。

仲良くしておいて損はないだろう。


「今年の新入生らの中に、入学試験で興味深い論文を書いた生徒が居ての。

そこで今回はその論文テーマに沿って考察・討論してもらおうかと思っとる。

新入生のためにルールを説明しておこう。

1つ、批判の禁止

2つ、ありえない、できない、ではなくどうやったらできるかを考え発言する

3つ、1つの授業で必ず1度以上は発言する

4つ、ワシがベルを鳴らした場合は発言を終了すること

5つ、魔法に対して真摯であれ

基本的には以上じゃ。

質問がなければ早速討論を始めるが・・・よろしい。

1年、リズベット嬢。」


「ありがとうございます。

4つ目のベルに関してなのですが、もしそれを超えて発言がされた場合はどうなるのでしょうか。」


「この部屋からの強制退出じゃな。

とはいえ感情的になってきたと判断しない限りは基本的には鳴らさないから安心するといい。」


その答えにリズがお礼とお辞儀を返すと、イグリード先生は優しく微笑んだ。

そして隣の俺へと視線を移す。


「他にないようじゃの。

それでは1年、タクミ殿。前へ。」


言われるがままに壇上へと移動。

さては今回のテーマは・・・!


「それでは今回のテーマじゃが、このタクミ殿の論文じゃ。

各自、思う思う発言する前に本人に説明してもらおうかの。

テーマは『補助魔法の複数同時発動について』じゃ。

それではタクミ殿、よろしく頼む。」


テーマ発表と同時に教室内がざわついた。

いきなり無茶振りするじゃないかこの先生。

レビス様にも魔法学会レベルだと言われたくらいなんだぞ。

それをいきなり学生に向けて発表させるとか何を考えてるんだ。

・・・いや、批判の禁止だったな。

そして魔法に対して真摯であれ、か。


ならばここで試されているのは、俺の説明能力だ。

理解されるかどうかではなく、理解させる能力。

魔法学会の予行練習と線引きをしてしまった過去の自分が恥ずかしい。

そのレベルに足りているかどうかの試験は、すでに始まっているんだ。

絶対に乗り切ってやる。


「お初にお目にかかります。

ご紹介に預かりました、タクミ・イスタルと申します。

今回私が唱えさせていただくのは、『補助魔法の複数同時発動について』です。

当然魔法には詠唱時間があり、発動までのタイムラグがあります。

つまりは1つしか魔法の行使ができない、というのが一般論です。」


この言葉に、多くの生徒が頷いた。

リズですらだ。

教室内で笑顔を見せているのはイグリード先生、ただ1人。

なんて真剣な場なんだ。


「普通の魔法は詠唱により魔法陣を呼び出し、そこに魔力を流し込むことで魔法を発動しています。

ですが私は、その常識をまずは壊したい。

これは見てもらうのが1番手っ取り早いでしょう。


まずこちらの右手では『加速(ブースト)』。

左手では『耐久力上昇(タフネス)』。

それぞれ詠唱ではなく、()()()魔法陣を構築します。

こうすることで、簡易的な『詠唱破棄』ができます。

あとは魔法陣に魔力を流し込んでやれば・・・。」


右手は緑色の光を、左手は赤色の光を帯びた。

イグリード先生に視線を送ると、笑顔で頷かれた。

こんなどこの誰かも知らない生徒を全面信頼とは恐れ入る。


その信頼に応えるように、両手の補助魔法をイグリード先生に向けてかけた。

先生の身体が緑色と赤色、交互に色の変わるオーラをまとった。


「このように、同時に発動することが可能です。

もちろん魔力での魔法陣構築はコツが要りますし、誰もかれもすぐにできるとは限りません。

とはいえ、やればできることなのです。


皆さんの常識は今この瞬間、新しい世界への扉をひらきました。

それこそが魔法の無限大の可能性です。

・・・ご清聴、ありがとうございました。」


俺がお辞儀した瞬間、わあっと盛り上がる教室内。

入学式にも負けず劣らずの拍手喝采に、思わず照れてしまう。

この教室に集まる生徒たちは本当に魔法に対しての関心が高いようだ。

相手が誰だかは知らなくても、良いものは良いときちんと評価してくれる。

この授業、本当に受けて良かった。


「ありがとう、タクミ殿。

それでは討論に移る。

思い思いに質疑応答をするがよい。」



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「うっへー、つっかれたー。」


「ふふっお疲れ様です、タクミ。

お見事でしたよ。お水、飲みますか?」


『魔法考察』の授業を終えて自分たちの教室に戻ってきたのだが。

あまりの緊張と疲労感に机に突っ伏した。

リズが出してくれたお水を飲んで一息ついて、先程の授業を思い出す。


「・・・楽しかったな。」


「ええ、最後にはあの教室の全員がタクミを認めていましたね。

なぜかわたしも誇らしくなってしまいました。」


我がことのように喜んでくれているリズにお礼を言いつつ自分の時間割に目をやる。

1授業分の時間が空いてお昼の後、魔法訓練の時間だ。

『魔法考察』はあまりに人気がある授業なため、授業3つ分の時間が使われている。

日本で言うところの1〜3時間目という具合だ。

全力で討論するつもりだったので疲れ切っているだろうと思い、この時間は開けておいたのだが正解だった。


「ということは、毎週この時間はわたしがタクミを独り占めですね。」


「だんだん思考がサクヤに似てきてないか?」


「あら、そんなにタクミ大好きっ子に見えますか?」


「言いかたあああ!」


などと話していると、先程の『魔法考察』を受けていた生徒数人が教室に入ってきた。

名前までは覚えていないが、良い意味で熱く討論した先輩だから覚えている。


「やっと見つけたぜ、タクミ!

お前さえ良かったらなんだが、さっきの魔力で魔法陣を作るやつ教えてくれないか!」


少し休みたかったのだが、こういう交流も大事だろう。

リズ、グレイ、リンリンの他に学友が居ないことだしな。

それでもいいかとリズに視線を送ると、もちろんと笑顔で答えてくれた。


俺達の教室ではなんなので、イグリード先生に許可をもらい『魔法考察』の授業教室を使わせてもらうことになった。

お昼の時間まで限定でと伝えたが、喜んで了承してくれた。

本当にこの授業に集まる人は良い人が多いな。


まずは図を用いながら言葉で説明。

その後はコツなどを伝えつつ全員で、まずは片手の魔力で魔法陣を書く訓練。

リズは補助魔法の適性がないらしく見学をしているのだが、知識としてもっておきたいようで俺の教えに必死にペンを走らせていた。


「無理に早く魔法陣を完成させようとしなくて大丈夫です。

皆さん経験があるかとは思いますが、魔法陣が未完成の状態では魔法は正しく発動しませんからね。

だから最初はゆっくりでいいので、正確さをイメージしてください。」


といったところで授業終了のチャイムが響いた。

先輩方にお礼を言われて解散となった。


「ふふっ、サクヤさんと一緒のときくらい楽しそうな顔でしたね、タクミ。」


「えっ、マジ?さすがにサクヤとの時間のほうが楽しい顔してると思うんだけどなあ。」


とはいえ兄妹共に付き合いの長くなってきたリズが言うのなら、本当にそうなのだろう。

顔に関しては自覚はまったくないが、誰かに頼られるというのは悪い気はしない。

それもこの国のためになるのであればなおさらだ。

レビス様が作ったこの学院で評価されるというのも嬉しい要因の1つだな。



-----


「今日はお弁当なんだな、タクミ。」


「おうよ、愛する妹の手作りだ!」


「あーはいはい、シスコンシスコン。」


「まだ何も言ってねえよ!?」


「ふふっ」

「くすくす」


いつもの4人で中庭で座って昼食タイムだ。

うきうきしながらサクヤが作ってくれたお弁当を出したところで急なシスコン呼ばわり。

どうせ王宮の料理人が作ってるグレイの豪華弁当にも負ける要素はない。


そう、これは愛する妹が兄を想い作ってくれた愛のお弁当なのだ!


「ハッ・・・!つまりこのお弁当は俺達兄妹の愛の結晶・・・!?」


「ほらな。」


「やめ・・・お腹痛いですっ・・・!」


「言い方・・・良い!・・・じゅる。」


1人よだれを拭いているやつもいるが、グレイの反応にリズがお腹を抱えて笑い出した。

グレイは冷ややかな目で弁当を食べている。


「早くもシスコン耐性を獲得したのか。」


「ぶっ・・・、『魔法耐性』みたいに言うのやめてくれないか!?」


「あははははは!!」


ついにリズが耐えきれなくなり声を出して笑い始めたぞ。

まったくグレイも悪いやつだなあ。



そんな賑やかな昼食も終えて午後。

初の『魔法訓練』の時間だ。


「ううー・・・腹筋痛いです。」


開始前からリズがすでに涙目だ。

あれだけ笑えばそりゃそうだろう。

仕方ないので無詠唱で回復魔法をかけてあげると、皆の時間が停止していた。


「うん・・・よし、大丈夫だ。タクミだから仕方のないことだ、うん、よし。」


「その納得の仕方はどうかと思うぞ、グレイ。」


終わったあとに聞いたのだが、回復魔法の適正は数万人に1人しか持ちあわせていないらしい。

だからこそ聖女や神官といった職業を持つ人物はなかなか居ないらしく、その治療費はどれも高額になってしまうのだそうだ。


「とりあえず初回だし、皆の魔法がどれくらいのものか知っておきたい。

『多重結界』を張るから、全力で俺に魔法を打ってきてくれ。

あ、リズは試験の時に見てるから大丈夫だ。」


「結界はともかく、君は大丈夫・・・なんだろうね、タクミだし。」


「もう・・・慣れてきた・・・。」


「そういうことにしておいてくれ。『多重結界(ハイ・バリア)』!!」


俺とグレイだけを中に残し、結界を発動。

いったいどんな魔法を使うのか楽しみだ。


「壊す心配もないのなら、全力でいかせてもらうがいいんだな?」


「やべえと思ったら咄嗟に結界増やすから大丈夫だ。どんとこい。」


その俺の返事に頷いたグレイが目をつむり剣を掲げると、グレイの足元から突風が吹き始めた。

あ、これはちょっとヤバそうだ。

制服に『魔法無効』、『刃傷無効』を付与。

魔法無効結界アンチマジック・バリア』発動。

1番外側に『魔力遮断結界ノン・マジック・フィールド』も張っておくか。


「永劫なる命の脈動よ。猛き紅蓮の炎よ。

(たぎ)れ、盛れ、狂え!

我が刃に集いし業火は炎帝の抱擁。

灼熱をもってすべてを焼き尽くせ!!


第七階梯ー帝級魔法『緋焔(ひえん)ー竜斬波』!!!」


どこまでも熱く、そして大きな燃える斬撃。

俺を捉えて『多重結界』をぶち抜き、『魔法無効結界』にあたってようやく霧散した。


「うおー、いってえ。俺じゃなかったら死んでるぞこれ。」


「いや、死なない君がおかしいんだぞ。普通いてえじゃ済まないんだが。」


失礼な。

かなりの魔力を使用したからか、汗を拭いながら答えるグレイ。

いやあさすがだわ。

こんな切り札隠し持っていたとは驚きだ。

『多重結界』を再度発動し、今度はリンリンを中へ。


「今度はリンリンだな。」


「いや・・・あれの後って・・・凄いやりづらいんだけど・・・。」


言いながらも準備する残念系妄想乙女。

弟子となったからにはグレイよりもリンリンの実力を見極めるほうが大事だからな。

結界はまだ消えてないし、さすがに大丈夫だろう。


「地を駆ける鉄槌、万物を砕け。

第六階梯ー超級魔法『大地の鉄槌(ガイア・ハンドブロウ)』。」


バゴォォォォンーーー


短縮詠唱による石の塊は、俺に着弾した瞬間に大きな音をたてて砕け散った。


「短縮詠唱の超級にしては良い威力だな!」


「いやあれを受けて一歩も動かないどころか笑顔でサムズアップって・・・。」


グレイがなにか言いたそうだがそれよりもだ。

結界をすべて解除してリンリンの元へ向かう。


「魔力の練り込みが甘いから魔法が脆い。

短縮詠唱の割には着弾までにタイムラグがありすぎる。

まあ、こんなところかな。」


「事実すぎて・・・何も言い返せない・・・。」


「あはは、やっぱりタクミって魔法に関して妥協は一切ないんですね。」


「ああ、1番得意とする魔法を打ち破っておいて、ダメ出しを言われる身にもなってほしいものだよ。」


とりあえず各自の良いところと悪いところは分かった。

月曜日までに、それぞれに特訓メニューの作成だな。



たくさん読んでいただけているおかげで楽しく描けており、どんどん物語が広がってきております。

徐々に登場人物が勝手に喋りだすようになってきました。

おかげでずいぶんと賑やかな脳内になってきております笑

みなさんに楽しんでいただけるように今後も精進していきたいと思います。


少しでも楽しんでいただけたらブックマーク登録や★評価などで応援していただけたら嬉しいです!

今後ともよろしくお願い致します。

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