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何でもいいと言われたので転生特典をありったけもらって転生したのに、実家がなくなったので妹と共に魔法を極めます  作者: あっきー


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特典12「てーきゅうぶっぱなす!」


-----


「おっふろ、おっふろ、お兄ちゃんとおっふろ〜、あわあわ〜。ふふっ。」


妹の上目遣いに負けて、我が家の大きな風呂に一緒に入っているのだがえらく機嫌がよさそうだ。

色々見えないように魔法で泡風呂にしてあげたのが好評なのも一躍買っていそうだが。


「最近ね、お兄ちゃんが学校に行ってる時間がどうしても暇になっちゃうでしょ?

だからご飯のお買い物したり、ライトと遊んでるんだけど。

あ、あと魔法も色々試したりもしてるかな。」


そう楽しそうに話すサクヤだが、どこか少し浮かない表情を見せる時がある。

その悩みを少しでも聞いてあげようということで今に至るわけだが、日々楽しそうに過ごしているようだ。

普段はあまり悩みを気にする性格でもないだけに、こういう時は気になってしまう。


「お兄ちゃんは今頃どんな勉強してるのかなーって考えたら、なんかね。

王都までずっと一緒に居たから、なんか少しさみしいって思う時もあって。

でもアタシのわがままでお兄ちゃんの友達との時間を無くしちゃうのはダメだよなって。

そう思っていてもムムーってなっちゃう自分も居てさ。」


あははと乾いた笑いをするサクヤを手招きして、抱えるように座らせた。

それを後ろから優しく抱きしめる。


「おおおお兄ちゃん!?こういうのはせめて大人になってからじゃないと・・・!」


今だろうと大人になったとしてもこれ以上の行為をするつもりはないぞ。

というか・・・。


「サクヤ、もしかしてだけど『妄想』スキル持ってるんじゃないか?」


「ぅえええぇぇっ!?なんで知ってうわわあああああ今のナシ!!」


やっぱりか。

最近ちょっと似たような友達が出来たからもしかしてと思ったら。

まあそんな一面も含めて、俺はサクヤのすべてを受け入れよう。

腕の中で暴れていたサクヤの頭を撫でつつ、優しく声をかけた。


「さみしい思いをさせてごめんな。

ちょうど授業の選択で迷ってたんだが、学校が休みの2日間のうちの1日と学校がある日でも1日全休日を作るよ。

その週2日は1日中サクヤとの時間にするから、安心してくれ。

俺はどこにもいかないよ。いつまでもサクヤの味方だ。」


「・・・うん・・・ありがとう、お兄ちゃん。」


耳まで赤くしながら大人しくなった。

その後はお互いに沈黙のまま寄り掛かり、優しく受け止めて。

あやうく2人とものぼせるところだった。



「とまあ、そんな感じでうちのサクヤ、かわいいだろ?」


「お、おう、クソシスコン野郎だな。」


「ハッハッハ、そんな褒めるなよグレイ。」


「いや褒めてないよ。むしろドン引きしながら罵倒したつもりだったよ。なんでそんな喜んでるんだよ気持ち悪いわ。」


翌日の朝。

グレイとリズ、リンリンがいつものように集まるなか、昨日の風呂での出来事を話していた。

リンリンがよだれを垂らしそうになっているのは見なかったことにしておこう。


「それで授業のことなんだが、週に1回休日を作るのって可能かな?

もちろん朝の出席はするからそれは仕方ないとして。

あと自由活動は週に2回は例の件で使うつもりだから、残りの3日が候補になるわけだけど。」


「先程のだらしない顔から一転して真面目な話しへの切り替えの早さに驚いてます。」


「リズベット、僕はもう慣れてきたぞ。諦めが肝心だと妹くんに教わったからな。」


そんなこんなで皆の選択した授業日程を確認させてもらったところ、どうやら水曜日に皆の授業が多めにありあけられそうだ。

俺は特にこれといって取りたい授業はないことだし、これで決めるとしよう。

ということで自由活動は月曜日と金曜日の午後、週2回でと取り決めた。


「ところでリズ、学会の件だけど週に2回くらいなら顔を出せそうだと伝えておいてくれないか?」


「わかりました。お父様も気にしていたので、伝えておきますね。」


これで魔法学会、自由活動、妹との時間。

すべて解決できた。

あとは残った曜日で気になる授業を取るとしよう。


「『魔法考察』は確実に取るとして、あとは何が良いかなあ。

攻撃系は俺には必要ないし、防御もなあ・・・。」


そんな独り言をもらしながら用紙とにらめっこしていると。

リンリンにちょいちょいと袖を引っ張られ、俺に耳打ちするように小さな声で話しかけてきた。


「あ、あの・・・称号についてなんですけど・・・。」


「うん?」


「・・・『魔法神の孫弟子』というのを・・・昨日、獲得したんです・・・。

タクミさんを・・・師匠だと思ったときに・・・なんですけど・・・。

ボクが孫弟子なら・・・タクミくんは弟子なのかなって・・・気になっちゃって・・・。」


「よおしリンリン、適性を見るために訓練場に行こう!すぐ行こう!」


思わず立ち上がりリンリンを肩に抱えて全力でその場を離れた。



ダァンー


リンリンを壁際に降ろした直後、顔の真横に左手を叩きつけ。

その後右手で顎を持ち上げて俺に目を向けさせた。

サクヤよりもちんまいんだな。


「タタタタタタタクミさんっ?!」


「良いかリンリン、さっき言っていたのは俺のトップシークレット中のトップシークレットだ。

もしこのことがバレてしまったら俺は平穏な日常を暮らせなくなってしまう。

妹と離れ離れになってしまうということだ。

俺はそんな未来は望んでいない。

つまりは君の口封じをしなければならないということだ、分かるな?」


「それは物理的にでしょうかあっ、ごめんなふぁいひっぱららいでくらはい。」


鼻息荒くちょっと嬉しそうな顔をされたものだから、思わず両手でほっぺたを引っ張ってしまった。

この残念系妄想乙女にはさっきの状況はご褒美でしかないということか。


「とにかく、だ。

そのことについては絶対に他言無用で頼む。」


「・・・わかりました・・・。

じゃあ・・・黙っている代わりと、言ってはなんですが・・・。」


弱みを握った側から握られた側への要求か。

あまりにひどいようだと今後の対応を考えなければならないな。

侯爵家を敵に回すのはできれば避けたいところなんだが、事が事だけにやむを得ないか。


「ボクと・・・結婚、してください・・・!」


「・・・は?」


顔を一瞬で茹で蛸並みに真っ赤にしたと思えば大きく目を見開いてアワアワするリンリン。

あ、これはこの前言い訳するときに見た顔だ。


「あわわわわわわ違うんです!!

いや気持ちは違わないんですけどそこに向かうためのプロセスをすっ飛ばしてしまったといいますか!!

デートして仲良くなりたいなという気持ちを伝えたかったんです!!

そう、デートです!!

だから決してタクミさんと結婚したいとかそういうわけでは!!

いやいやいやいやいやしたいんですけどそれもちがーーー



-----


「つまりは師弟関係になるにあたり、お互いのことをもっとよく知ろうという時間がほしい。

なので週に1度くらいのペースで出かけたりできたら良いな。

秘密を言わない代わりにどうかお願いします。

こういうことか?」


「はい・・・一言一句、その通りです・・・。」


それを素直に言ってくれたらこんなにも時間を取られることはなかったというのに。

この残念系妄想乙女の脳内はやたらと激しいピンク色のお花畑のようだ。


「まあそういうことなら俺に拒否権はないしな。

互いのことをもっとよく知ろうとするのは良いことだし、それでいこう。」


「・・・やった・・・!」


さっきまくしたてられたのも、リンリンの本心なのではないだろうか。

あながち間違ってなさそうな気もする。

ひとまずは聞かなかったことにしておこう。

そして小さくガッツポーズしているのも見なかったことにしておこう。


「んじゃ最初の1回目として、一緒に授業を考えてもらうとしようかな。」


こうして俺の授業日程が決まり。

毎週火曜日の放課後にリンリンと親睦を深める日に設定。

月・金は魔法訓練、水曜日と土日のどちらかはサクヤとのデート。

唯一空いている木曜日の授業終わりと、土日のどちらかに魔法学会に顔を出すとしよう。


サクヤとのデートをまったりと過ごせば、それはもう充実した休みなので。

当面の間はそのスケジュールでいくか。



-----


サクヤに俺の週間スケジュールを伝えると案の定休みがないと驚かれた。

それでも可愛い妹とのデートが何より心休まるのだと力説すると、嬉しそうに身体をクネクネしていた。


「まさかお兄ちゃんがアタシ以外に魔法を教える日が来るなんて思わなかったけどね。

今までアタシだけの特権だったから、なんかちょっとだけ悔しいなーって。」


特権って。

リンリンがいかに優れているとはいえ、サクヤの才能には遠く及ばない。

加護のレベルの差もあるし、何よりサクヤはスキルを創造できるのだ。

0を1にできるというのは魔法においてとんでもないアドバンテージ。

1あるものを習い10を目指すことしかできない、ごく一般の魔法使いが追いつけるわけがないのだ。

そして加護のレベルの差によってより上位の魔法を行使できる。


昔実家で呼んだ魔法書によると、初級から始まり、中級、上級、超級。

ここまでなら加護レベル2で習得可能。

そして加護3で『帝級』、4で『神話級』、5で『創造級』だ。

2属性で『創造級』まで扱うことができてしまうサクヤは、俺以外から魔法を教わる意味があまりないと思っているのだろう。


「とりあえず『神話級』魔法ですら俺もまだ創れてないし、サクヤもまずは『帝級』からだな。」


「うん!てーきゅうぶっぱなす!」


「かわいいけど物騒な発言しちゃいけません。

王都ぶっ壊したらお兄ちゃん責任採れないんだから。」


シュッシュと何かを殴るような仕草をするサクヤ。

そんな無邪気な妹の頭を撫でながらも、ふと思う。

加護レベル10の俺はどこまで魔法を究められるのだろうか。

・・・正直に今、俺の脳内に浮かんだ感想。


レビス様と同じ景色を見れるほどになりたい。


いや、弟子としてならなくちゃダメだよな。

たとえこの世界がぶっ壊れるほどの威力だとしても。

その真髄を知ることこそ、魔法への探求心じゃないだろうか。


そしてそれこそが、俺が追い求めるものだ。


とはいえ世界をぶっ壊してしまったら、この最愛の妹との時間もなくなってしまう。

それだけは護ると誓ったばかりだからな。


追い求めながら護るんだ。


それがどれだけ茨の道であっても、ね。



毎度のようにブックマーク登録ありがとうございます!

やはりどんな形であれ、評価いただけるのはめちゃくちゃ嬉しいものですね。

おかげで楽しく描けており、どんどん物語が広がってきております。

みなさんに楽しんでいただけるように今後も精進していきたいと思います。


少しでも楽しんでいただけたらブックマーク登録や★評価などで応援していただけたら嬉しいです!

今後ともよろしくお願い致します。

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