表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『女王様とエンジニアと私。 〜ボロアパートからのドーム逆転劇〜』  作者: たい丸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/11

第6話:【バグも味方? 19円の魔法】

「陽葵ちゃん、ついに買っちゃったわよ! 最新鋭のモーションキャプチャー機材!!」

氷室社長が鼻息荒く持ち込んできたのは、怪しげな海外製のダンボール。しかし、いざ開封してみると、中に入っていたのは「最新鋭」とは程遠い、『犬の散歩用LED首輪』と『型落ちのWebカメラ』だった。

「社長、これ……どう見ても機材じゃなくて、ペット用品ですよね?」 「違うわ! これを全身に巻いて動けば、光を感知してアバターが動くはずなのよ(たぶん)!」

案の定、設定はボロボロだった。 配信を開始すると、陽葵(深海ねね)のアバターは、彼女が少し動くだけで関節が逆方向に曲がり、時々画面からフェードアウトして「ただの青い発光体」になる。

『ねねちゃん、今日はいよいよクリーチャー化が進んでるなw』 『Vっていうか、もはや現代アートだろこれ』

リスナーからは失笑の嵐。しかし、陽葵は諦めない。 「笑わないでください! 今日は……このバグを活かした新企画、『深海ねねの超次元ダンス』をやります!」

陽葵は、不自然に腕が伸びるバグを利用して、画面端から端まで「手が伸びる」という奇妙なダンスを披露。さらには、アバターが消える瞬間を「ステルスモード」と呼び、リスナーと隠れんぼを始める。

「見ててください! 最新の機材がなくても、キラキラしたステージは作れるんです!」

その時、横で見ていた湊が、耐えきれずに口を出した。 「……見苦しいわね。いい? 貴方の動きが雑だからバグが目立つのよ。関節を固定して、指先一つ一つに意識を集中させなさい。そうすれば、その『粗末なガワ』でも優雅に見えるはずよ」

湊の「女王の指導」が入り、陽葵の動きは劇的に変わった。 不自然なカクつきが、逆に「計算されたロボットダンス」のように見え始めたのだ。

『えっ、急に動きが綺麗になった!?』 『バグってるはずなのに、なんか幻想的……』 『もやし女、執念がスゲーな』

最新機材(笑)の失敗を、根性と演技力で「演出」に変えた瞬間。 その配信の同時視聴者数は、ついに2,000人を突破した。

一方、その頃。 近所のネットカフェで、その配信を死んだ魚のような目で眺める小学生がいた。 「……非効率。あんなの、ソースコードを三行書き換えれば済む話なのに」

彼女こそ、後に事務所の命運を握る天才エンジニア、白金凛。 彼女が「あまりの効率の悪さ」に耐えかねて事務所のドアを叩くまで、あと少し。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ