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僕らの絆ものがたり  作者: 仙夏


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9/12

09

メル 「校長先生、お母さんの幼馴染だったの。」

アル 「…もう自分の力不足で家族を失いたくなくてさ。そのために弱いところをつくらないようにってたくさん勉強して努力してきたんだけど、裏目に出ちゃったみたい…」

メル 「…」

ロル 「…僕、力になるよ。二人が魔法を使えるように二人の手となり足となる。」

メル 「っ、ふっ…ロルは優しい子なんだね。初めましてなのに。」

ロル 「…」

アル 「…ロル。ルームメイトが増えて僕らもうれしいけど、無理はしないで。」

その夜、僕らがベッドで眠りに付くと僕はふと目を覚ました。

すると、ロルが啜り泣きしている声が聞こえ、僕はベッドの側のライトを点けた。

アル 「ロル、大丈夫?」

ロル 「っ…ご、ごめんなさい…起こしちゃった…」

アル 「気にしないで。家族のこと、思い出した?」

ロル 「…うん。」

アル 「…僕も両親のことを思い出したよ。」

ロル 「…ア、アルはさ…いや、何でもない。おやすみなさい。」

ロルは急に布団を被り、僕はライトを消してまた目を閉じた。


次の日からメルは授業に復帰し、メルとロルが授業を受けている間は、部屋でベッドに座りながら魔法の勉強をしていた。

あれから一週間が過ぎ、メルが急に行方不明になったと聞き、僕は頭が真っ白になった。

部屋には校長先生と副校長先生が来ていた。

アル 「…僕を空き家に閉じ込めた上級生ではないんですか?」

校長 「…アル。ロルと協力してメルを探すのです。」

アル 「ロルと?でも、これは僕ら家族の問題だから…僕のせいでロルを巻き込むわけには…」

校長先生は僕を見ながら首を横に振った。

校長 「アルが下半身を動かせないからではありません。アルとロルは協力すべきなのです。」

アル 「…」

ロルを見るとロルはうつむきながら校長先生の後ろに立っていた。

校長 「…ロル。自分で話しますか?」

ロル 「…はい。」

ロルは、僕の隣に来て上級生用の本を見せた。

アル 「…体を取り換える魔法?」

ロル 「…僕は、この魔法を使ったんだ。その材料には、絆の指輪があった。」

アル 「絆の指輪?聞いたことない…」

ロル 「…家族の絆を無くしたんだ。僕が二人の神経麻痺を受け持てば良いと思って…」

アル 「ちょ、ちょっと待って。どうしてロルが僕らのためにそこまでする必要があるの?」

ロル 「…ずっと足を引っ張ってきた。両親が亡くなってからも僕は何の役にも立てなかった。魔法も頑張ろうとしたけど何もうまくいかなくて…」

ロルは泣き出してしまって僕は頭が混乱していた。

アル 「…」

校長 「…アル。ロルはアルの弟なんですよ。アルとロル、メルは三つ子の兄弟なんです。」

アル 「…えっ?」

校長 「…絆の指輪は、家族をバラバラにするんです。アルとメルからロルの記憶が消えてしまったのも影響の一つですが、メルが居なくなってしまったのもおそらく絆の指輪が原因です。」

アル 「…僕らがバラバラに…何か手立てはないのでしょうか?」

校長 「…我々も全力で探しています。けれど、絆の指輪はその効力の恐ろしさから魔法史からも封印され、その記録もほとんど残っていません。魔法に頼れない今、絆の指輪の効力はやはり絆に懸けるしかないのかもしれません。」

アル 「…校長先生。ロルと二人きりにしていただけますか?」


校長先生たちが出て行くと僕はロルを自分の側に座らせた。

アル 「…どうしてこんな危険なことをしたの?」

ロル 「…二人を助けたかった。」

アル 「…僕らがバラバラになることを知らなかった?」

ロル 「…僕だけがアルとメルと兄弟じゃなくなると思った。僕だけが居なくなるのかと…」

アル 「…さっき、ロルは自分が足を引っ張ったと言ってた。僕らが言った?そんな酷いこと。」

ロルは泣きながら首を横に振った。

アル 「…じゃあ、どうして…」

ロル 「…アルもメルも完璧で…アルなんて何でもできる。強くて優しくて…なのに、僕が…僕なんかが兄弟だからアルたちの足を引っ張って役立たずで…僕なんか居なければ…僕なんか一緒に生まれなければ…」

アル 「ちょ、ちょっと待って。何を言ってるの...?」

ロル 「…僕は魔法も使えないのに健康なだけ…僕は何もできない役立たずなんだよ…」

アル 「…ロル。誰かにそう言われたの?」

ロル 「…でも、僕もずっと思ってた…言えなかっただけだよ…」

アル 「…悩んでいたなら相談してくれれば良かったのに…」

ロル 「…家族だからこそ言えないことや言いたくないこともあるよ。」

アル 「…僕ね、メルが目を覚ましてから何となく物足りない気がしていたんだ。まだ全然ロルのことを思い出せないし、この気持ちを言葉にするのは難しいけどロルなのかもしれない。僕らに足りないもの。」

ロル 「…思い出したらそんなこと思わないよ。」

アル 「…ロル。僕はロルのことを知らないし何も分からない。でも、ロルは優しい人だと思う。だって、いくら兄弟だからと言って、麻痺を引き受けようとか体を取り換えようとか、尋常じゃないくらいの勇気がいる。本当に家族のことを想って大好きじゃなきゃそんなことできないと思う。」

ロル 「…」

アル 「…ロル。僕に思い出させて。君のことを聞かせて。僕にとって大切な君の記憶を思い出させて。」

ロル 「っ…」

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