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僕らの絆ものがたり  作者: 仙夏


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10

ロルは、生まれてから学校に入学するまでの話をしてくれた。

僕やメルと一緒に生きてこないと分からないようなことまで鮮明に話してくれた。

きっとロルは本当に僕の兄弟なんだ…

でも、僕の思い出の中にはロルが居ないし、両親が亡くなって家が爆発してからは写真も撮ってないから形に残ってもない…

ロル 「ど、どうかな…」

アル 「…ごめん。まだ思い出せない...」

ロル 「そ、そっか…」

アル 「…絆の指輪ってどこで見つけたの?」

ロル 「…両親の葬式の後、一緒に植えた苗木あるでしょ?爆発した家の中から唯一残った苗木。」

アル 「う、うん。そっか、ロルも一緒に植えたんだね。」

ロル 「…その木が折れる音が聞こえて、それで、その下を掘ったんだ。そしたら出てきた…」

アル 「あの木が折れる…?そんな…で、でも、それより…見に行こうか。あの木。」

ロル 「う、うん。」

ロルに車椅子に載せてもらい、校長先生に許可をもらって僕らは鏡を通って家に戻った。


家の側に植えたあの木は…

ロルに車椅子を押してもらって木の側に行くと、たしかに木は折れていた。

アル 「…」

ロル 「…一度壊してしまったらもう元に戻せないのかな…木が折れてしまったように…」

アル 「っ…」

僕は、車椅子から落ちて倒れながらも折れてしまった木を直そうとした。

ロル 「ア、アル…」

ロルに止められても気にも留めず、僕は必死に木を戻そうと手で留めようとした。

アル 「…戻らないなんて簡単に言わないでよ。そんな簡単な問題じゃない!」

僕がそう言うと、ロルは急にその場で泣き崩れた。

僕は、はっとしてロルを見た。

両親が亡くなったあの日…僕は母さんに向かって同じように怒鳴ってしまった。

どんなことを母さんに言ったのかはもう覚えていないけど、あのときの母さんの顔はとても悲しそうだった…

自分の発言に責任を感じて謝ろうと家に引き返そうとしたときに爆発音が聞こえ、家が燃えているのを見た。

僕はあの日から家族に辛い思いをさせないようにって自分を偽り、どんなに怒っても怒鳴ることはしないようにってしてきたのに…

また家族が消えちゃう…居なくなっちゃう…

僕はだんだんと涙がこぼれてきて、その場で声を上げて泣いてしまった。


ロルはそんな僕に驚いて、僕を抱き抱えて車椅子に座らせた。

ロル 「ごめんなさい…僕のせいでこんなにもアルに辛い思いをさせてしまって…」

アル 「っ、どこにも行かないで…僕を置いて行かないで…」

ロル 「だ、大丈夫。行かないよ。大丈夫だから...」

ロルが僕を抱きしめてくれると僕はまた涙があふれ、僕もロルを抱きしめ返した。

僕が落ち着いてくるとロルはしゃがんで僕を見た。

ロル 「…えへ、アルに怒られたの久しぶり。」

ロルは、なぜだか嬉しそうに笑っていた。

アル 「ご、ごめん。驚いたよね。」

ロル 「…アル、怒るの我慢してたでしょ。両親が亡くなるまで、アルは僕らが危険なことや駄目なことをすると本気で怒ってくれた。でも、あの日からアルは怒らなくなった。」

アル 「…僕はあの日母さんを怒鳴ってしまって。母さんは居なくなって…もう、母さんに謝れなくなっちゃった…」

ロル 「…僕も覚えてるよ。アル、母さんが疲れているのに無理をして火傷をしちゃったから母さんを怒鳴ったんだよ。あれは、アルの優しさだよ。」

アル 「…でも、母さんを傷付けたことに変わりはない。」

ロル 「母さんは分かってるよ。アルの優しさだって。アルは心配して怒鳴ってくれたんだって。アルは、自分を我慢する必要ないよ。アルが怒るのも笑ったり泣いたりするのと同じように全部アルだからさ。僕らの前でくらい隠さないでよ。」

アル 「…ロルはあの日から泣かないよね。両親の葬式でもロルだけ泣かなかった。僕も…久しぶりにロルが泣くのを見たよ。」

ロル 「ア、アル…もしかして…」

アル 「…全くさ、馬鹿なことして。」

ロル 「アル…」

僕が笑うとロルはまた泣きながら僕に抱き付いた。

アル 「…ごめんね。ロル。兄貴なのにロルを守ってあげられなくて…そこまで追い詰めてしまっていたんだね…」

ロル 「…ううん…」

アル 「…僕ら、せっかく兄弟になれたのに勝手に遠慮し合って馬鹿みたい。これからは、我慢しないでお互いに自分のままで生きようか。僕も怒るし、ロルも泣いて良いんだよ。人には、強いところも弱いところもある。得意なことも不得意なことも。でもね、それも全部、ロルなんだよ。自分を責める必要なんてない。ロルが足手まといや役立たずなんてこと絶対にないからね。どんなロルも僕らは受け止めるし、大好きだから。」

ロル 「…絶対?」

アル 「絶対。だって、両親が亡くなってから人生のどん底みたいだった僕らに前を向かせてくれたのはロルなんだよ。ロルが居なきゃ僕らは居ない。」

ロル 「…そんな昔の話…」

ロルが苦笑いしながら言うと僕はロルの頭を撫でた。

アル 「ロルは僕にもメルにもない強さや優しさを持ってる。前にも言ったでしょ?僕の弱点はロルとメルなんだよ。二人が居ないと僕じゃない。いつもロルやメルに助けてもらってる。」

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