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僕らの絆ものがたり  作者: 仙夏


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ロル 「…ありがとう。アル。」

アル 「でも、悩んだら僕らに相談すること。それができて初めて本当に強いって言えるんだからね?」

ロル 「わ、分かったよ。って、それはアルもだよ?アルも兄貴とか気にしないで僕らに話してね。」

アル 「...ありがとう。ふふ。よし、じゃあメルを見つけよう。僕らは三人で一つだよ。」

ロル 「うん。でも、どうやって探そうか?」

アル 「そうだなぁ…」

僕は折れた木を見つめた。

ロル 「…でも、あの爆発でよく生き残ったよね。この木。」

アル 「…母さんたちはあのとき、何の研究をしていたんだろう…」

ロル 「何も残ってないからなぁ…あっ、校長先生、何か知らないかな?」

アル 「そっか、確かに何か知っているかもしれないね。」


鏡を通って学校に戻って校長先生の元に行くと校長先生の部屋は書物であふれかえっていた。

校長 「ロル、アル。家はどうでしたか?」

アル 「ロルのこと、思い出せました。」

校長 「なんと…それは良かった。」

ロル 「あの、両親が亡くなったとき、何の研究をしていたかご存じですか?」

校長 「…それは...」

校長先生は引き出しの中から本を一冊取り出した。

校長 「…何を研究していたかは私にも分かりません。でも、この本を預かっていました。返しそびれてしまいましたがやっと二人に渡せます。」

僕は本を受けってロルと部屋に戻った。


ロルと二人で本を開いて中を見ると、家にも飾ってあった研究品と同じものが描かれていた。

そして、ページを捲っていると僕は途中で手を止めた。

アル 「これ…」

ロル 「あの苗木?」


“当たり前じゃないことに気づかせてくれる嘘つきの木”


ロル 「当たり前じゃないこと…」

アル 「えっと…日常に潜む特別なことに気づかせてくれる木。当たり前じゃないと気付かせるために嘘を吐く。自分は普通じゃない、普通になりたいと願う気持ちに対して自分の思う当たり前が何かという本質に気づかせてくれる。注意、嘘を吐く反動で木が折れてしまうこともあります…」

ロル 「…母さんたちは何でこれを研究していたんだろ。」

アル 「…あの頃、母さんたちは寝る間も惜しんで研究に励んでた。何の当たり前を誰に気づかせたかったのかな…ロルは、あの頃は悩んでいなかったよね。」

ロル 「うん。両親が亡くなってからだね。」

アル 「とすると…」


僕は、メルのぬいぐるみを見た。

ロル 「…そうか、メルか。」

アル 「...うん。あの頃、メルは自分だけ体が弱いことを気にしていた。僕らが遊んでいる間も窓からつまらなそうに僕らを眺めているだけで。母さんたちはメルに生きれているっていう当たり前を気づかせるために…」

ロル 「…母さんたちは僕らのために研究をしていたんだね。僕らを大切にしてくれていた。」

アル 「…そうだね。メルを見つけてお墓参りしないとね。」

ロル 「メルを見つけるにはどうしたら良いのかな…」

アル 「…ロル。僕らが初めて三人で外で遊んだ場所、覚えてる?」

ロル 「うん、もちろんだよ。」

アル 「メル、本当に嬉しそうだった。」

ロル 「お花も摘んだよね。」

アル 「うん。あのとき、僕はメルやロルとこうやって一緒に時間を過ごせるのは当たり前じゃないんだって思ったんだ。すごく特別で奇跡のような時間なんだって。」

ロル 「ふふ、僕も。メルがあんなに楽しそうにしている姿を初めて見た。」

アル 「…行ってみない?あの場所。」

ロル 「でも、そこにメルが居るの?」

アル 「…メルさ、片腕が動かなくなって普通が分からなくなってると思うんだ。今、普通じゃないって思っていることも、もしかしたら奇跡のように当たり前じゃないのかもしれない。僕らがあのとき、気づいたように。だから、メルもきっと当たり前じゃないんだって思えたあの場所にいるんじゃないかな。」

ロル 「…分かった。行こう。」

僕らは校長先生のところに行き、鏡を通ってあの場所に向かった。


そこには、きれいな青空と花畑が広がっていた。

ロル 「前よりもきれいに感じる。」

アル 「うん。」

ロルに車椅子を押してもらうと花畑の中でメルが横になっていた。

アル 「メル…」

ロル 「っ、メル!」

メルは、起き上がってこちらを見た。

ロル 「あっ…覚えてないか…」

ロルが落ち込むとメルは立ち上がってこちらに来た。

メル 「…」

そしてロルと僕の方へ摘んだ花を渡した。

メル 「勝手に忘れさせないでよね。ロル。」

ロル 「っ、メル…」

メルは、照れくさそうに僕らを見て笑った。

メル 「ずっと昔のことを考えていて気づけばここに来ていたんだけど、昔から二人を頼りにしていたから帰り道が分からなくなっちゃって。でも、アルやロルと一緒に遊んだこの場所でちゃんと思い出せた。」

アル 「メルはあの日から花冠を作るのが趣味になっていたよね。」

メル 「...うん。もう作れなくなっちゃったけど...」

アル 「あっ...ごめん...」

僕とメルが俯いているとロルが花で指輪を作って僕らに付けてくれた。

ロル 「僕とアルが喧嘩したときは、よくメルがこうしてくれてたね。今度は僕が花冠をプレゼントするから。」

メル 「...っ、ロル。ありがとう。」

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