04
僕がアルに駆け寄ると、アルは体中が傷だらけで気を失っていた。
メル 「アル…!」
すると、僕らが入ってきた扉が閉まり、鍵が掛かる音が聞こえた。
ロル 「えっ、ちょ、ちょっと!中に居ます!開けて!」
メル 「…閉じ込められたの?」
ロル 「…」
メルは、アルを壁に寄り掛からせて座らせ、怪我を診ていた。
ロル 「…アルも誰かに傷付けられて閉じ込められたんだ…」
メル 「…体中に打撲の跡や傷がある…」
ロル 「早く医務室に連れて行かなきゃ…」
メル 「っ、ロル…」
ロル 「メル?」
メルは、口を押えながら倒れ込み、僕は咄嗟に抱き留めた。
生まれつき体が弱いメルは、朝、薬を飲まないと体調を崩してしまう…
ロル 「しまった…薬は部屋だ…」
メル 「ロル…何か、クラクラしない…?」
ロル 「クラクラ?確かに気分が悪い…メルもここに座ってて。他の出口を探すよ。」
僕は、意識が朦朧としてきたメルをアルの隣に座らせて上着を掛けた。
僕は部屋中を探し回り他に出られそうな場所を探した。
ロル 「…駄目だ。やっぱりあの扉しかない。」
すると、机に置いてあった上級生用の本が目に入った。
その本を捲ると、扉を開ける魔法というページがあった。
僕らが使える扉を開ける魔法は、下級生用のもので、ドアの外側からしか使えない。
でも、この上級生用の魔法なら内側からでも開けられる。
僕は見様見真似で、その魔法を使い扉を開けた。
扉は爆発するように開き、僕はその本を服の中に仕舞って、気を失ってしまったメルとアルを支えながら部屋を出た。
校長 「ロル!」
声のした方を見ると、校長先生や他の先生方も来てくれていた。
ロル 「校長先生!」
校長 「…先生方、アルとメルを医務室へ。」
先生方にも手伝ってもらって、校長先生の出した鏡で医務室に移動し、二人を寝かせた。
校医のマリー先生は、メルに解毒剤を飲ませてメルの体調を診ていた。
マリー 「結構な毒があったようです。よくロルは無事でしたね。何事も無さそうで。」
ロル 「はい。少しクラクラしたくらいでメルほどには。」
マリー 「ロルは毒に対する耐性があるのかもしれませんね。」
ロル 「えっ?」
マリー 「メルも落ち着いてきました。ただ、アルは二、三日休養が必要です。しばらくは目を覚まさないでしょう。」
ロル 「怪我が酷いんでしょうか?」
マリー 「怪我もそうですが、毒をまともに吸ってしまっています。」
先生 「マリー。その毒はどのような毒ですか?」
マリー 「…上級生しか扱えない薬品でしか作れません。アルが背伸びして作ったとは考えにくいものですわ。」
先生 「…そうですか。」
すると、副校長先生が入ってきた。
副校長 「校長。アルが見つかったと聞きました。」
校長 「ええ。でも、今日は授業を休みにします。今行われている授業を中断して上級生を至急、集めてください。」
副校長 「わ、分かりました。」
副校長先生が鏡を出してどこかへ行ってしまうと、校長先生はアルとメルを見た。
ロル 「どうされるんですか?」
校長 「何、ほんの犯人捜しですよ。逃がしておくわけにはいきませんからね。下級生に毒を盛るような不届き者を。」
ロル 「それは…そうですね…」
校長 「何か不満がありますか?」
ロル 「…いえ、でも不思議なんです。アルがどうしてあの場所にいたのか。上級生に連れていかれたとしても自分から部屋を出ていかないといけませんし。」
校長 「…ロルは、アルの弱点が分かりましたか?」
ロル 「分かりません。でも、アルは僕とメルが自分の弱点かもしれないと言っていました。」
校長 「…それだけ分かれば真相は自ずと分かるはずです。」
ロル 「えっ?」
すると、副校長先生の鏡が現れ、副校長先生が鏡から顔を出した。
副校長 「校長、上級生を大講堂に集めました。下級生は部屋で待機させております。」
校長 「分かりました。ロル、アルたちを見ていてください。」
ロル 「はい。」
校長先生や他の先生方は副校長先生の鏡を通って、大講堂へ行ってしまった。
医務室には、僕らとマリー先生だけが残った。
マリー 「ロル。そこに座っていて。」
ロル 「はい。」
僕は、メルとアルのそれぞれが寝かされていたベッドの間の椅子に腰掛けた。
マリー 「ロルとは逆にメルは、毒に滅相弱いのかもしれませんね。」
ロル 「えっ?」
マリー 「今は解毒もして、毎朝の薬も飲ませて落ち着いているけれど、体力を物凄く使ってしまっている。今夜も熱を出してしまうかもしれません。」
ロル 「…メルは、部屋に入った瞬間に気持ちが悪いと言ったんです。僕は部屋の中が気味悪く感じたのかと思ったのですが体調が悪かったんですね…気づけなかったです…」
マリー 「…自分が得意なもの、普通にできるものについて、苦手な人の気持ちを分かったり言葉なしに気づいたりするのはとても難しいことです。当たり前にできることではありませんよ。」
ロル 「…」
マリー 「ロル。そんなに気にすることないですよ。」
ロル 「…僕、初めてメルに頼られた気がして…いつもはアルにしか頼らないから…メル、すごく震えてた…」
マリー 「ふふ。そうでもないわ。メル、体調が悪くてここで寝ていることが多いけれど、寝言で二人の名前を呼んでいますよ。」
ロル 「ほ、本当!?」
マリー 「本当よ。ロルだって、メルのお兄ちゃんですからね。」
ロル 「お兄ちゃん…」
すると、鏡が急に現れて校長先生と副校長先生が現れた。




