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虫を出す平民と笑われた私、羽化したら世界唯一の水晶蝶! 表は天使、裏は冷徹な公爵令息に独占されます  作者: 天野 はるか
第1章:泥を這う虫と白き天使

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第4話:黒い公爵の奇妙な興味

できれば毎日投稿したいと思っていますが、日数があくこともあると思います!

気長にお待ちいただければ嬉しいです!

 シリウス様の、新しい玩具を見つけたかのような冷徹な好奇心をひしひしと感じ、私は身を震わせながら、冷や汗を流していた。


 シリウス様は私の怯えきった姿を見て、まるで極上の喜劇でも観ているかのように、嗜虐しぎゃく的に目を細めてたのしんでいる。


「震えているね。昼間はあんなに嬉しそうに僕の手を握っておいて、随分な態度じゃないか」


 シリウス様は意地悪く、けれど冷たい声で言い放つ。


「……そ、それは……っ」


 私は必死に弁明しようとするが、恐怖で声が震えて上手く言葉にならない。


 シリウス様はフッと冷たい鼻笑いを漏らすと、手袋の上の幼虫へと視線をずらした。


 その瞬間、先ほどまでの嗜虐的な愉悦がスッと消え去り、冷酷な研究者のような、底知れない冷徹な雰囲気へと切り替わる。


「……やはり、ただの虫じゃないな」


 シリウス様はそう呟き、細い指先を幼虫の頭へ近づけた。


――バチバチッ!

彼の指先から、教室の夕闇を裂くように、暗紫色の電火(冥雷の魔力)が小さく爆ぜる。


 普通のアニマなら、触れただけで消滅しかねないほど濃厚な高密度の魔力。その禍々しさに、私は背筋が凍った。


 しかし、幼虫は怖がるどころか、嬉しそうに小さな身体を伸ばし、その暗紫色の光をじわじわと体内に吸い込み始めたのだ。


 吸い込まれた魔力が幼虫の半透明な皮膚の奥を巡り、内側から怪しく妖艶な紫色の輝きを放っている。


(……え? 魔力を、食べてるの……!?)


 私が驚きで呆然としている傍らで、その様子をじっと見つめていたシリウス様の瞳の奥に、狂気的な好奇心が宿っていく。


「……なるほどね。学園の無能どもは『属性不明のゴミ』と笑っていたが、属性がないんじゃない。周囲の魔力を完全に無属性化して『捕食』しているらしい」


「今まで僕の膨大な魔力を直接受けて、破裂もせずに自分の糧にするアニマなど存在しないし、歴史上でもそんな記録が記されている文献はないだろうね」


(……今まで周りにいた奴らは、俺の領域にすら届かず、予測可能でつまらなかった。だが、この平民が出した虫だけは、俺の常識が通じない、か)


「……良いね。最高に不気味で、そそる玩具だ」

 

 シリウス様は唇の端を釣り上げながら、酷薄に笑った。


 シリウス様は幼虫を、壊れ物を扱うようにつまみながら、じわじわと私の方に向かって歩み寄ってくる。


 そして、逃げ場をなくした私の至近距離まで、その息を呑むほど綺麗な顔を近づけてきた。


 夕闇が室内に滑り込むなか、シリウス様の低く艶を帯びた声が、しんと静まり返った教室に響く。


「面白い。この虫、僕が個人的に調べてあげるよ。……もちろん、その主である君もセットでね?」


 私はその言葉を聞いた瞬間、これから始まるはずだった、平穏な学園生活の終わりを静かに悟ったのだった。

読んでいただき、ありがとうございます!

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また、「一般人になりたい隠し事令嬢と、暴きたい旦那様 〜チャラ男な最強当主の執着から逃げられない〜」という作品も投稿しているので見ていただけると嬉しいです!

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