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わたしの婚約者の病弱な従妹  作者: 朝山 みどり


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04

 


 カフェに向かう前に、二人には退場してもらった。


 すっきりした。


 テリウスはうちに婿として迎える予定で、正式に婚約を結んでいた。本当に、わたしはテリウスのことが好きだった。最初に出会った瞬間から、会うたびにその気持ちは深まっていった。胸が弾んで、笑顔が自然にこぼれるような、そんな恋だったと思う。


 だが、それもこの三度目で、終わりにすることにした。


 テリウスは判断ができない人間だ。そう、結論が出た。

 もっと言えば、テリウスの実家がそうだと言える。


 不良仲間や外の悪縁なら、近づかなければ済む話だ。けれど、身内はそうはいかない。切り離せない。一生つきまとってくる。


 発端は些細なことだった。アリシアさんが熱を出したからといって、テリウスの付き添いを求めてきた。そしてテリウスはそれに応じてしまった。


 それがだめなのよ。


 アリシアさんには両親も侍女もいるでしょうに、なぜテリウスでなければならないの? 今まで碌に会ったこともなかった従妹なのに。まるで自分が特別な役割を担っているとでも思っているかのように、テリウスは迷いなく駆けつけた。


 その光景を思い浮かべたとき、はっきりと見えた気がした。これから先の未来が。


 結婚してからもアリシアさんに何かあるたびにテリウスが呼びつけられ、テリウスが嬉々として駆け付ける。

 そんな未来が、目に浮かぶようだった。今はまだ個人的な場所での話だけれど、これが園遊会のような公の場でやられたら、目も当てられない。わたしの立つ瀬がない。恥をかかされるだけだ。


 結論が出たわたしは、その夜の夕食を美味しくいただいた。


 食後のお茶を静かに飲みながら、わたしは自分の考えをお父様にお話しした。お母様も黙ってうなずきながら、最後まで聞いてくださった。


 お父様は、テリウスの判断力のなさが婿養子として家の屋台骨を揺るがしかねないことを、静かな声で、しかし真剣に懸念されていた。お母様は、わたしの心が傷ついていないかを、真っ先に心配してくださった。


 お母様。大好き!


「それが、お母様。アリシアさんがテリウスの袖をしっかりと握っている様子を見ていたら、なんだかおかしくなってしまって……。『もう、帰った方がいいよ』と告げたときの二人の表情が、あまりにも間抜けで。あんなに見え透いた女の手口にひっかかる男というのは、救いようがないと思いましたの」


 わたしがそう言うと、お父様は少し間を置いてから、


「これからは親同士で話をする」


 とおっしゃった。静かな、しかし揺るぎない声だった。


 お母様はわたしの顔をそっとご覧になって、


「この時期に婚約がなしになったら、エリーが辛い思いをするのでは?」


 と心配そうにおっしゃった。


「平気よ、お母様。わたくしは学院の成績もそれなりですし、優秀な従兄弟もおりますから、跡継ぎの問題はなんとかなります。それに……文官試験を受けてみてもいいかな、と最近思っておりますの」


 自分で言うのもなんだけれど、わたしはそれなりの顔立ちに、それなりの身分を持っている。うちは親戚同士の仲も良いから、この家の跡取りで揉めることはない。わたしにだって、きっとすぐに、良いご縁が巡ってきて、今よりずっと幸せになれると信じている。


 そしてたとえそうでなくとも、文官試験に合格できるだけの学力は、ちゃんと持ち合わせているのだから。


 お城で働くのもなかなかいいものだと思っている。


 わたしの未来は、テリウスなしでも、ちゃんと明るい。

いつも読んでいただきありがとうございます!


誤字、脱字を教えていただくのもありがとうございます。

とても助かっております。

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。

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どうぞよろしくお願いいたします。



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