第14話 王妃様へのお届け物
【短編】で投稿した『ぼくは、幻聴に恋をした(改)』を【完結版】として連載投稿開始いたしました。完結しておりますので、最後まで楽しんでいただければ幸いです。
ちなみに、第1話は、【短編】と同一の内容になっております。前作を読んでいただいた方は、第2話からお読みいただいても大丈夫です。まだの方は、第1話からお読みいただけると、より楽しめると思います。
今朝は、最悪の目覚めから始まった。
部屋にはナナコさんは、いなかった。
幻聴モードとかではない。
いなかったのだ。
メイドさんがカーテンを開けに来てくれた時に、部屋にはぼくしかいなかった。
朝食のためにダイニングルームへ行こうと廊下を出たときにナナコさんは、奥の部屋から出てきた。
「ホーリーさん、朝食ですか?わたくしもご一緒します」
昨夜のことなどまるでなかったかのようだ。
でも、ぼくを追い越しざまに昨夜のことは忘れましょう。
とささやかれた。
ぼくの一世一代の告白は、ないことにされた。
そこからは、すべてがうわの空だった。
朝食のごちそうも砂を噛むような思いで、腹におさまめた。
朝食に同席していたマチルダ大奥様は、食後に自室へ来るようにいわれた。
いってみると、その部屋は、さっきナナコさんが出てきた部屋だった。
荷物の預かりの手続きを済ませ、お屋敷を後にし、一路、ぼくらは北の塔へ向かった。
お城のまさに北に位置する。
マチルダ大奥様から、通行証は預かってきた。
こうゆうところに出入りするのは、初めてだ。
ひどく緊張する。
ナナコさんは、幻聴モードのため、子供が一人で来たようにしか見えないだろうと、不安に思っていたが、衛兵は通行証もろくに見ず、ぼくらを通した。
その対応ぶりから、ここにいらっしゃる王妃様の扱いぶりがよく分かった。
塔への道は一本の長い螺旋階段を上がっていく。
王妃様は、すぐれない体調のなか、ここをあがっていたのだろうか。
「そうですね。でも、ここへ来た時には、今ほど、体調は悪くなかったのでしょう」
「わかるんですか」
「当初、病気も表向きだったとマチルダからききました」
朝食まえに部屋から出てきたナナコさんを思い出した。
「では、なぜ」
「邪魔になり、病気を理由に幽閉し、劣悪な環境下で病死することをねらったようです」
ぼくは、もうあまり驚かなかった。
マチルダ大奥様からもはなしは聞いていたし。
ナナコさんが石化まえの記憶からも、偉い人たちの中にはそうゆうことをする人たちがいると知ったからだ。
でも、ぼくの足取りは重くなる。
「ホーリーさん、王妃とは、必要以上に言葉を交わさないようにしてください」
「なぜですか?」
「優しいあなたには、きついからです」
きつい?なにが?
王妃様の部屋の前についた。
扉の前には衛兵が一人いた。
やはりあっさりと中に通され、王妃様と対面できた。
セリーナ王妃様は、天蓋付きのベッドに寝ていた。
ベッドカーテンで王妃様の様子は、ハッキリみえない。
大奥様から言われた通りの口上を述べて、王妃様に直接
預かった手紙と薬を差し出した。
そばに召使は、いなかった。
いたとしても、ここはひどく狭く、隣に控えることも難しいほどだからか。
ここは、牢屋だ。
よろよろとおきあがり王妃様は、ぼくの手から直接うけとり、なかを改めた。
手紙を読む手が震えている。
枯れ枝のように細い。
健康な状態でないことがひとめでわかる。
「使者の方、マチルダのところのケインは、生きていたのですね」
(ほーりーさん、『はい』とだけ)
「…はい」
「そう、よかった。届けてもらった薬をのめば、わたくしも楽になります」
「はい、失礼いたします」
踵を返し、部屋を出ていこうとした。
「ちょっと、まって」
えっ!?
「あなたの旅の無事をいのらせてください」
むきなおろうとしたら、そのままでと制された。
「祖国の安寧と悠久の平和を使者の青年に託し、興国の女神に願いたてまつる」
(承知)
ナナコさんは返事をした。
どうしてだろう。
セリーナ王妃もまた、マチルダ大奥様と同様にナナコさんがみえるのだろうか?
ナナコさんの方を向くと宙を赤い玉が移動し、王妃様の手におさめらてた。
あれは一体……。
ナナコさんは、ぼくの背中を扉のほうへおした。
階下へ降りるぼくの背に、辛気臭い(しんきくさい)女だという衛兵の声がきこえた。
お読みいただきありがとうございます。
よろしければ、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。
面白かったら、☆5つ、つまらなかったら☆1つ、正直に感じた気持ちで大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
作品作りの参考にいたしますので、何卒よろしくお願いいたします。




