第12話 ダブロフサイド / 悪だくみ2
【短編】で投稿した『ぼくは、幻聴に恋をした(改)』を【完結版】として連載投稿開始いたしました。完結しておりますので、最後まで楽しんでいただければ幸いです。
ちなみに、第1話は、【短編】と同一の内容になっております。前作を読んでいただいた方は、第2話からお読みいただいても大丈夫です。まだの方は、第1話からお読みいただけると、より楽しめると思います。
あの日から、リンダとは距離をとっている。
いかに俺でもあんなものを目の当たりにしたら、ひいちまう。
だが、リンダは使える女だ。
ホーリーが王都入りしたことと、向かった先を逐一報告してくる。
どうやって、情報を得ているのかは不明だ。
あんな芸当ができる女だ、深くは考えないようにしている。
俺もリンダだけではない、俺も同じだ。
俺にもそーゆー人間はいる。
金さえつめばなんでもやるし、しゃべってくれるヤツだ。
たとえば、王都一の薬屋にもいる。
切れ者と評判の執事だ。
切れ者すぎて、旦那に愛想をつかした嫁が、いろんなものを着服してデキてるそいつに貢いでいる。
「すべて、若奥様からの贈り物です」
涼しい顔してそうぬかしていた。
俺は、『贈り物』のなかにあるヤバイ物をネタに、店主の若旦那をいいように使わせてもらっている。
だが、ババぁの大奥様が、なかなかいうことを聞かず困っている。
息子夫婦のことをネタに『お願い』を聞いてもらおうと画策している。
人目をしのんで俺に会いに来ている目の前の男もそうだ。
「ダブロフ殿、王からもせっつかれて困っている」
黒いマントのフードを目深にかぶっているおの男は『お客様』だ。
手ゴマもいらいれば、金づるもいる
金づるは、王都の中心地にうじゃうじゃいる。
「司祭長殿、国王陛下は、何をそんなに焦っていいるのですか」
聖職者が、聞いてあきれる。
こーゆーお客は、オヤジがらみが多い。
オヤジがらみのたのみを聞けば、いろいろイイ目にもあえる。
今回の褒章の授与もそのひとつだ。
こうやって俺は自分で足場をかためている。
跡取りの出来損ないより俺の方が、優秀だとオヤジに認めさせる。
側室にもなれない女からうまれた子供は苦労する。
だが、その境遇さえ同情をひくためのかっこうの材料だ。
相手の懐にはいりやすくなる。
「何をとは、いまさらだろう!」
司祭長殿は、自分で手を汚すのは、『聖職者』だからイヤなのだ。
でも、殺人がご希望らしい。
「ああ、北の塔のことですか?」
うすらとぼけてやった。
目深にかぶっていても、苦々しい顔をしたのはわかる。
オヤジは、執務大臣だ。
大臣ゆえに、王族とのふか~い繋がりがある。
今回は、そんなつながりからの『お仕事』だ。
「大臣からも同じ話を聞きました」
「おおっ!大臣からもか!」
オヤジのたのみは、相場より安くする。
オヤジに金以外のモノを売るためだ。
「国王の寵愛を一身に受けている愛娘のノアールを側室から押し上げたいのでしょう。遺恨ののこらない形で」
王家には長年の目の上のたんこぶがある。
北の塔の『王妃様』であるセリーナの存在だ。
体が弱いとかで、北の塔で病気療養しているそうだ。
まぁ、建前だが。
本当は、幽閉している。
そして、そこで少しづつ毒をもっている。
急に死んだら、不自然だし、困るのだ。
かつて『美少女の英雄』と国民に愛された存在だ。
何とか、『自然な病死』にしたいらしい。
セリーナは、もともとオヤジの旧友の娘だ。
オヤジは、旧友を出し抜き、旧友の一族が継承してきた執務大臣の職を奪った。
もちろん、ひとのいい旧友には、処刑になってもらった。
その時に、オヤジに騙されて、『いい働き』をした、娘を助けた。
それが、北の塔の王妃、セリーナだ。
女は便利だ。
なんだかんだと、いくらでもなんとかなる。
むろん例外もある。
母親ともう一人の娘は、逃げる途中に山賊に襲われあえなく死んだ。
山賊とは、昔からのつきあいだ。
そう思うと、やっぱり女も大変か?
だが、オヤジに、いつの間に『ノアール』などという娘がいたのか?
まぁそんなことは、どうでもいいが。
「そなたに吉報がある。かねてより協力を拒んでいたあの薬屋がとうとう協力を飲んだぞ」
それは、俺の手柄だ。
ここでは、司祭長殿に花を持たせて気持ちよくしてやろう。
「ほう。どんな風のふきまわしいで」
「さぁな。あの死にぞこないのババぁがしくじったのならば、長年のうっぷんもはれるが、出来損ないのバカ息子が可愛かったようだ」
女衒の執事のおかげだ。
「鉄仮面のババぁにも血が通っていたのですね」
「そうなのだ」
「あのババぁは、たしか北の塔に連なるものですか」
「いいや、ちがう。が、近しい者だ。乳母だったんだ」
「乳母?」
「麗しいき姉妹の」
「恩ある他人の娘より、実の子が大事だったのですね」
「所詮そういうものだよダブロフ殿」
カチンとくるが、ひらめいた。
「いい考えがあります。あなたも私も手を汚さずに北の塔が、近じか病死する手立て」
「なんだね!」
「忌々しい(いまいましい)いや、バカで未熟なポーターの子供が、間違えた薬を届ける……」
司祭長と目があった。
みなまで言わなくても、同じ穴のムジナには通じた。
「薬の大商家だ。どちらも手にはいりやすい。いい考えだよダブロフ殿」
これで、オヤジも俺を認めざるおえないだろう。
ホーリー、悪く思うなよ。
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