『第十三話 試験 ダンス』
暴力、シリアスがあります。苦手な方は注意してください。
試験の日、二日目。
今日テストするのは、ダンスと武道だ。
どんなことをしても合格を…!
自室でドレスに着替えて、部屋の外で待っていたソウさんにエスコートをしてもらう。
やっとね、双子の見分けがつくようになったんですよ。
希望を捨てなかった私の粘り勝ちだ!!
兄はソウ、弟はコウです。
「杏樹ちゃん」
「あ、はい」
「頑張ろうね」
「!?」
「いや、なんでそこで驚いてるの」
「そ、ソウさんが…!?私を応援した…!?」
「普通に応援くらいするよ!俺をなんだと思ってるの!?」
「えー…、と」
「考えなくて良い!行くよ!」
「はーい」
少し怒ったような横顔。
約5年間の中で一番変わったのは、ソウさんだと思う。
一人称も僕から俺になったし、性格も悪戯好きじゃなくなって、少し円い性格になった。
なにより、前はほとんどコウさんとだけ話していたのに、今は積極的に誰とでも話すようになった。
「変わったね」
「え?」
「なんでもない」
……。
なんだ今の!!
よくある青春ラブストーリーじみたいじゃないか!
ないない!
今の取り消しってことで!!
試験会場に着いた。
コウさんはもう待っていたようで、私とソウさんにすぐ気がつく。
「ダンスは今まで習ったことをすべて行うよ。それじゃ、音楽を流すね」
コウさんの合図で音楽が流れ出した。
*****
「うん、杏樹ちゃん。合格!」
「やったー!!」
ふはははは!!
ドレスのまま飛び上がろうとしたら、足を捻った。痛い。
「杏樹ちゃん、ドレス脱いでからね」
「はい…」
反省します…。
また、ソウさんに連れられて部屋へ戻る。
「よかったね、合格して」
「はい!」
「毎日、夜まで練習してたもんね」
「はい…、え」
「前、見ちゃったんだ。夜に廊下を歩いてたら、明かりがあったからなんだろうと思って。頑張って、毎日練習しててたんだね」
「み、見られてたんですかー。でも、私はこれぐらい練習しないと駄目なんですよね!昔からそうで!」
「昔…?」
「ほ、ほら!5歳のときからなんですよ!」
必死のごまかしに、ソウさんは笑った。酷い。
「勉強を教わった日からずっと練習してたよね。それを見てたら、なんか俺も頑張んなきゃいけないなって思い始めて。それで、変わろうと思えたんだ」
「そうだったんですか」
自分のためにやったものが人のためになるのか。
それも、なんかいいな…。
「なんか、こう言う話しすると照れるんだけど」
「ソウさん顔真っ赤ですよー!」
「うるさい」
ソウさんをからかっているとあっという間に部屋に着いた。
「今日はありがとうございました」
「…こっちもありがと」
「それじゃ」
「うん」
ふむふむ、ソウさんは悪戯っこからツンデレに変身したか。
にやにやしながらそんなことを思っていると、ドアがノックされた。
なんだろう、ソウさんかな?
「はーい…」
ドアを開けると、意外にもコウさんだった。
「コウさん、なにか用ですか?」
「うん、ちょっと話したいことがあるんだぁ」
「わかりました。どうぞ」
「…」
一瞬、私のことを睨んだような…。
気のせいだろうか。
「あのさ」
「はい」
「なにか、ソウに言った?」
「え?」
「杏樹ちゃんが来てからおかしいんだけど」
おかしいっていうか、成長したと思うんだけどな…。
「ずっと、僕としかしゃべらなかったのに」
「…」
「ねぇ、どうして?杏樹ちゃんのせいでしょ。ずっと僕だけしかいなかったはずなのに」
「えっと…」
突然のことに驚きすぎて、言葉が出ない。
その間にもコウさんはずっと私を責める言葉を言い続けている。
「僕は悪くない…。杏樹ちゃんのせいだ」
「コウさん、っ!」
いきなり、首をつかまれて息ができないくらい強い力で絞められた。
息が吸えない、苦しい!
コウさんの瞳には何も映っていなくて、それがとても怖かった。
やめて、と言おうしても言葉が出ない。
意識が遠くなっていく…。
黒く塗りつぶされた視界の中、誰かが笑っているような気がした。
*****
前世のことは3歳のときに思い出したけど、些細なことだけだ。
あんなことあったなとか、前に言われたなとか思ったりする程度。
少しだけ思考が成長したことだけしか、影響も受けていない。
勉強や家族のことも思い出せない。
でも、コウさんに首を絞められたとき。
前世のことをすべて、思い出してしまった。
更新が遅れてしまい、すみませんでした!
人生ではじめてスランプというものに陥りました。
小説の続きが全く思い浮かんでこなくて、焦りました…。
なんとか、抜け出せた?と思うので頑張って書いていこうと思います。
毎日、更新している人はすごいです。尊敬します。




