『閑話 鏡』
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この豪邸に来てもうすぐ一年が経つ。
授業には慣れてきたけど、いまだに霊力を吸われるのは慣れないんだよね…。
「そういえば、この家って鏡がないんですけど…」
シオンさんの授業のときに不思議に思ったことを聞いてみた。
「あぁ、それはヴァンパイアが鏡に映らないからですよ」
「え!?そうなんですか!」
「ですが、牙を隠しているとき…今の状態ですね。そのときは写ります」
「牙があるときとないときでなにが違うんですか?」
「…牙があるときは、魔力を持っている人間がいるだけでそれを吸い取ってしまうんですよ。牙がないときは大丈夫なのですが」
牙って、重要なんだ…。
「ヴァンパイアは昔、人間に紛れて生活して夜の間に人の霊力を吸い取っていました。
霊力が枯渇すると、人は死んでしまいます。
なので、霊力を吸うヴァンパイアは敵とされ見つかれば殺されていたのです。
鏡にヴァンパイアは映らないのですぐ見つかり、ヴァンパイアは数を減らしました。
それを防ぐため、ヴァンパイアは牙をなくせば鏡に映らなくなるという進化をしました。
そのぶん、霊力の減りは早くなるのですが」
ヴァンパイアも大変なんだな…。
人間とヴァンパイア、どっちが悪いかわからない。
どちらも自分たちが生き残るためのことだ。
「今は、どうなっているんですか?」
「現在は随分と良くなりました。霊力は減らない程度に吸うということで、お互いが共存することにしたのです。
まだ、納得していない人もいますが交流を深めるために学校もつくられているんですよ」
「学校?」
「えぇ。ヴァンパイアや人間、他の種族もいますよ。そこでは種族や身分を関係なく入学することができます。ただし、高い能力をもっていなければならないので入学は困難です」
面白そう!
他の種族とか、気になるし!!
「その学校!行ってみたいです!」
「そうですか、なら勉強も頑張りましょうね?」
「…はい」
**********
シオンさんに鏡が置いていない理由を聞いたのが一週間前。
そして、今日。私の部屋に鏡が置かれることになったのだ。
これから使うときもあるだろうからって。
私はわくわくしていた。
別に鏡が珍しいわけじゃなくて、現世の自分の姿を知りたいからである。
黒髪なのは分かっているが、目の色や顔は分からない。
できれば、ほんの少しでも美人さんであればうれしい!!
だって、周りに今まで見たこともないくらい顔がいい人たちがいっぱいいるのに、私一人だけ壊滅的な顔だったらもう…引きこもる。
絶対、他の人の前に出られない。
「杏樹、鏡届いたって」
シグレさんが私の部屋に来てそう言った瞬間に、私は走り出した。
玄関についてみると、私の身長より少し高いくらいの大きさの鏡が届いていた。
「今から運ぶから、待っててね」
鏡を軽々と持ち上げ、サクヤさんは言う。
意外にサクヤさん鍛えてるんですね、すごいです!!
部屋に鏡を置いて早速、包みを解く。
「わぁ!!」
鏡のデザインも綺麗で驚いたけど、それよりも自分の顔のほうが驚いた。
よかった、前世より可愛い!!
目の色は綺麗な青でぱっちり二重だ。
肌も白く、唇はチェリーピンク。
頬は薄いピンク色になっている。
これで引きこもりルートは免れた…!!
ほっと、ため息をついて鏡のほうをじっくり見てみる。
見れば見るほど…、高そう!!
「これ、いくらしたんですか?」
「気にしなくていいよ、杏樹」
そう言って、微笑むサクヤさん。
サクヤさん、もっと気になります!
いったいいくらなんですか!?
誤字、脱字などがありましたらどんどん言ってください!
宜しくお願いします。




