那須の巫女
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那須の巫女
次の朝、早くに、森の奥の那須の巫女の小屋に向かった。
婆様の穴の先には、集落が広がっていた。
森の木に寄り添うように小屋が立っていたが、木の枝が絡まっているような小屋の前に男が座っていた。
竹弓を使っていた。
「ここら辺に那須の巫女がいると聞いて来たんだが?」
リーダーが男に聞いた。
「巫女様の小屋は此処だ。ちょっと待て」
木の壁が重なっていて、中に男が入り、誘った。
入り口が分からないように出来ていたが、リーダーと権現堂の頭は、誘いにのって、中に入った。
「巫女様、ケヤキのリーダーと権現堂の頭です。」
「婆様から聞いておる。よく来た。」
「巫女様は、浅間山の暮らしは如何ですか?」
「快適だ。那須の山は岩だらけだったが、この森は豊かで、住民も慕ってくれとる。」
「権現堂の巫女であった者です。那須の巫女にあえて嬉しいです。」
「こちらこそ、権現堂の巫女にあえて光栄だぞ。」
「ここは、弥生化してないんですか?」
「いいや、この森の奥に隠し田んぼが何枚かあるんじゃ。米は便利だから、湧水を利用している」
リーダーは感心して、さらに聞いた。
「近畿圏の動きを巫女様はご存じですか?如何お考えですか?」
「この山は、佐久平での弥生化とは別じゃよ。田んぼは隠しておるし、近畿圏は、知らないだろう」
森の奥の田んぼには反応できてないんだろう。
「長野盆地の縄文集落も、弥生化の田んぼは、使ってるが、我や婆様の話しを聞いてくれる。」
リーダーは、長野盆地の縄文集落を知っていた。
近畿圏の大きな石の屋根の祠の金色の何者かがあっても、近畿圏の統治の力は意外とバラバラだと感じた。
那須の巫女と権現堂の頭と俺は、三人でいまの動きの確認や自分達の暮らしの話をした。
外の男とも話し合い、狩りをして、巫女への贈り物を作った。
森の中の男の動きはリーダーでもようやくついていけるような速さで、権現堂の頭は、場所を指定され、そこに竹弓を射って仕留めた。
何匹か狩って、毛皮や肉を捌いて、巫女に進呈した。
二人は夕食を食べ、一泊して、帰路に向かうことにした。
浅間山の婆様が言っていた噴火の事が気になったが、帰りに婆様に聞くと、数年後に軽い噴火があるはずじゃと平然と答えた。
那須の巫女も小屋守りの男も何とかなると平然としていた。
ここの暮らしなのだろうと思い、リーダーと権現堂の頭は帰るのであった。
浅間山から煙が出ていた。
白い噴煙が青い空に伸びていた。




