権現堂の巫女
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権現堂の巫女
650年頃の関東の空に、鷹が跳ん
でいた。
青い空には、雲もなく、深い海のように青い。
鷹は風の流れに合わせて、利根川の沿いで、とても目立つケヤキの木を見つけた。
その木は、高さ30メートル。
春先で、青い芽が生えだしていた。
大きな木の下には、小さな小屋があった。
前後六本の柱があり、床張りが張ってあった。
入口にはカヤを編んだ布のようなモノがかかっている。
壁には枯れ木が張られ、屋根には茅葺きのようになっていた。
中で、石を組み合わせた炉があり、焚き火に火がついていた。
そこの前に、巫女が座っていた。
巫女の隣の床からケヤキの苗木が芽を出している。
巫女の片手は、その苗木にふれていた。
薪がパキッと音をたてた。
巫女は、手を離し、外にでた。
外出ると、空を見上げた。
パタッと鷹が、ケヤキの枝から、飛び立った。
見上げる巫女に気が付いた、ケヤキの集落のリーダーが、声をかけた。
「どうした。巫女様が外にいるなんて、珍しいな。」
巫女がリーダーを見て答えた。
「あら、丁度、声をかけようと思っていたのよ。リーダーは時間はありますか?」
リーダーは、改まって聞く言葉に戸惑ったが、直ぐに返した。
「もちろん。」
「権現堂の竹藪の祠に行きたいの?連れてってくれる?」
お安い御用だと答え、二人は、利根川に向かった。
途中で、巫女は女小屋へ声をかけた。
「少し出るの?任せられる?」
女小屋の者が、安心してと返事をした。
利根川は、関東の真ん中を東京湾に向かって走っていた。
その周りは、かつては湿地帯だらけだったが、いまは、田んぼが広がっている。
ケヤキの集落から利根川に入り、丸木舟を使って、次の微高地である北川辺を通り過ぎ、権現堂のある川原へ着いた。
川原に丸木舟を乗り上げ、川を抜けると、田んぼが広がっていた。
草取りで民がポツポツと仕事をしていて、兵が見守っている。
兵は竹弓を肩に掛けている。
リーダーは顔見知りで、笑顔で挨拶して、微高地に向かっていった。
微高地には、小屋が立ち並んでいて、その中に大きな広場があった。
「えい」
シュン、カン、カン
巫女が兵とともに刀を振っていた。
ビューン、カン
「おお、リーダーか。」
権現堂の巫女が振り向いて答えた。
「失礼します。」
リーダーの隣にいた巫女が声を出した。
「ケヤキの巫女。どうした?」
権現堂の巫女は、察したように切り返した。
「祠か、、、儂も付いて行こう」
「そうして下さると助かります。」
空の高い所から、鷹が竹藪に向かって降りてきていた。
バサッと大きく翼を羽ばたくと、竹藪の祠の屋根に止まった。
ピー、バサバサ
鷹が彼らを誘っていた。




