ケヤキの巫女
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ケヤキの巫女
ケヤキの木は30メートルはあろうか。
枝が左右前後に広がっていた。
ケヤキの前に女小屋が並び、ケヤキの前に小さな祠が建っていた。
女小屋の中から子供の声が聞こえた。
童子は、様子を見ながら祠に近づいていった。
祠の前に着くと鳩が降りてきて肩に乗った。
祠の入り口が開いて、巫女が出て来た。
「童子ね。宇都宮の巫女からの連絡は来てるわ、中に入って」
童子は、言われるままに中に入った。
祠の中は板張りで真ん中で火が炊いていた。床の一部からケヤキの苗木が見えていた。
「宇都宮の巫女様は、お元気ですか?キミは僧の修行をしていたそうだけど、、、、」
童子は、巫女に知られていることを不思議とは思わなかった。
鳩を通じて色々話があったのだろうと思った。
「はい、下野薬師寺で修行をしていましたが、宇都宮の巫女様の所でお話を聞いてきました。」
「ケヤキの暮らしは古い生活よ。昔と変わらない暮らしをしているのよ」
「でも米作も盛んにやってるようで、中央とのつながりはないのですか?」
「米作は便利だからね。国府が南の方にできてるみたいだけど、北川辺に相手は任せてるから、ケヤキの集落としては関係ないわ。」
「都と関係ないは、ないでしょ。」
「北川辺は、近畿圏の姫が嫁いで子供が出来て、宝刀をもらったりしてるので繋がりはあるわ。」
童子は、国の統制の難しさを感じたが、そう簡単には支配の理屈ははいらないんだと理解した。
「ケヤキの集落にはリーダー、つまり棟梁がいるので彼と引き合わせるわ」
そこにリーダーが入ってきた。
「巫女様、あれ、お客様か?」
「ちょうどよいです。リーダー、こちらは宇都宮から来た童子です。ケヤキの集落での滞在を手伝って上げて下さい。」
「え、童子、、さまって、何?」
「童子です。下野薬師寺で僧の修行をしてきたものです。宇都宮の巫女様の所でケヤキの話を聞いてきました。」
リーダーは僧が何なのか分からなかったが、宇都宮の巫女の名が出たので安心した。
「リーダー、小屋とか用意をお願いします。任せて良いですか?」
「分かったよ。了解した。」
リーダーはまじまじと童子を見た。
「童子、、様って若いな、いくつなんだ?」
「私は22歳です。下野薬師寺には12歳のころから勤めておりました。」
へー12歳から修行かと、思った。
「よし、まずは男小屋に行こう。そこで相談して段取りしよう。巫女様、それで良いか?」
「リーダーの良いようにお願いします。リーダーのお話は何ですか?」
「いや、今日の報告っと思ってきたので、改めてまたお話をすればそれで良いよ。」
巫女様は、リーダーが引き受けてくれればと安心した。
すると、鳩が飛び立ち空に向かった。
リーダーは何が起きたかと思ったが、巫女がそれを良しとしていたので、そのままにした。
リーダーは童子を連れて男小屋に向かった。
風が吹いて、ケヤキの枝が揺れてカサカサと鳴った。
空は相変わらず青かった。




