ケヤキの集落
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ケヤキの集落
童子は、中禅寺湖の湖畔に座っていた。
上を見ると男体山がそびえ立っている。
ここに来て、どのくらい経ったのか分からなかった。
頂上に登るというので付いていってみた。
頂上は、カルデラになっていて、地獄があればここが入り口かと思った。
その手前に小さな祠が祀られていて、雲が下にあって、山の高さに感動した。
湖畔で山を見てると山の頂上の異様な興奮が蘇ってきた。
そこに祭祀が声をかけてきた。
「童子様、山は堪能できましたか?」
「はい、仏門の修行は理屈ばかりの世界でしたが世の中の広さを実感いたしました。」
静かに波立つ湖畔からの眺めも、こんな山奥の景色とは思えない美しさであった。
祭祀は、童子の様子を伺い、山を下りるものがいるので、どうするかと聞いてきた。
童子は、宇都宮の巫女にこの感動を伝えたいと思い、承諾した。
そして、山を降りて宇都宮に向かった。
山の厳しさと大きさの偉大さに童子は、ここでは暮らす理屈がかなわないと悟っていた。
山の暮らしは厳しいが豊かな現実を知った。
日光に降りて、一人で宇都宮の巫女の櫓にたどり着いた。
「巫女様、日光衆の皆様に世話になり、男体山にも登ってきました。」
「どうじゃ、世界の広さは見えたかのぉ」
「はい、日光衆のお陰で、色々なものが見えました。」
童子の素直な感想に巫女は満足したようであった。
「それでは利根川のケヤキの集落に今度は行ってくれないか。ケヤキの巫女がおる。日光とは違う暮らしが見えるぞ」
童子は、好奇心が湧き出てくるのを感じた。
「ケヤキの巫女様?」
それは、何処だか分からなかったので、在り処を尋ねた。
「鳩がおるだろう、鳩に付いていけば連れて行く、広場の親父に伝えよ」
童子は、櫓を出て広場に行くと親父が草を編んでいた。
「巫女様から尋ねるように言われた」
「おお童子様か、今度は何処に行かれるのか」
「巫女様からケヤキの集落へと言われた」
「少し遠いな、、、思川を渡ると栃木の集落があるそこで訪ねると良い、しっかりやりな」
童子は、燻製した肉をもらい歩いて向かった。
微高地を下り、田んぼの横を進み思川を渡ると集落が見えてきた。
そこで鳩がまた肩に止まると、集落の長がやってきて泊めてくれた。
次の朝、早くから歩き出し、小山を避けながら鳩に付いていくと、利根川が見えた。
手前の田んぼで作業してるものがいて、聞くと、ケヤキの集落は、利根川の先にあるらしい。
巫女に会いに行くと言うと丸木舟を出してくれて利根川を渡った。
小高い丘の上に立つと大きなケヤキの木が見えた。
空は青く白い雲の筋があった。
鳩が飛び立ちケヤキの木に向かっていく。
童子は、ケヤキの集落に着いたことを理解した。




