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第9話

 そして、5日後…… 辺境伯シグフレイの居城に到着した。


 城を無数の魔物たちが取り囲んでいる。魔物は、狼や熊の姿をした獣タイプから、人の姿をした人間タイプのものまで様々だ。どいつもこいつも狂暴そうな見た目をしている。


「行くわよッ! 全軍突撃ィーッ!」


 私が号令をかけると兵士たちは走り出した。魔物に向かって突撃して行く。苛烈な戦いが始まった。


「王子妃様、ここは危険です。後方までお下がりください」


 近くにいたガルベス将軍の声がする。しかし、振り返らずに答える。


「今ここで指揮を執らなくては意味がないわ! 兵士たちの士気に影響するわ」


「しかし、王子妃様がやられては元も子もありません。どうか後ろに」


「くどいわ! 自分だけのうのうと安全地帯に引っ込めると思って? 戦うことはできなくても兵士たちを力づけることはできるわ!」


 最前線にて指揮を執り続けた。兵士たちが魔物を蹴散らしていく。徐々に形勢が有利になってきた。


「報告します! 王子妃殿下! シグフレイ様が城から出撃されました。シグフレイ様と我々で魔物を挟み撃ちにする形になっています。こちらの有利に戦いが進んでいます」


「あともう一息よ! 頑張りなさい!」


 兵士たちに檄を飛ばす。もう少しで勝てそうだ。そう思った時だった。


「ベヒモス級の魔物だ! こっちに来るぞ!」


「いかん! 王子妃様をお守りしろ!」


 4トントラックくらいの大きさはある巨大な猪タイプの魔物がこちらに突撃して来る。兵士たちを次々に跳ね飛ばしていく。


「王子妃様! お逃げください!」


 魔物はすぐ目の前まで迫っていた。ダメだ。間に合わない。死を覚悟した瞬間。


「そうはさせん!」


 黒い馬に乗った一人の騎士が、私の目の前に躍り出た。そして迫りくる魔物に一太刀浴びせる。


「グギャアアアーッ!!」


 魔物は断末魔を上げて倒れた。騎士は、ゆっくりとこちらを振り向く。


 サラサラとした黒の長い髪。褐色の肌に整った顔立ち。目つきは鷹のように鋭い。


「エミリー王子妃殿下、お怪我はありませんか?」


「ええ。大丈夫よ。シグフレイ・ガーランド伯爵」


 そう、私を救ってくれたのは辺境伯シグフレイだったのだ。剣の達人とは聞いていたが、これほどの腕だったとは。


「助けに来たつもりが、逆に助けられてしまいましたね。礼を言います」


 シグフレイは、馬から降りてひざまずく。


「とんでもございません。援軍が来て助かりました。しかも王子妃様自ら兵士を率いて来られるとは。感激で言葉もありません」


「よくぞ持ちこたえてくれました。ご苦労様でしたね」


 戦いの形勢は完全に決まった。兵士たちが次々と魔物を撃退していく。こちらの勝利だ。


「我が軍の勝利よ!」


 勝どきを上げると兵士たちが手を上げて喜ぶ。


「エミリー王子妃殿下、万歳ーッ!」


 シグフレイが近くに寄って来る。優しい微笑みを浮かべている。


「辺境の地へようこそ。エミリー王子妃殿下。我が城に案内いたします。どうぞ」


 なぜか胸がドキドキする。戦場に出て高揚していたからだろうか。



ブクマを! ブクマをしていただけると作者が泣いて喜びます。

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― 新着の感想 ―
……え、流石に2回も横恋慕は不味いのでは……(焦)
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