↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
12/16

第12話

 自室で1人、考え事をしていた。静かな夜だった。


 王子に謝罪させるのはあきらめることにした。アイリスとの確執は取り除きたいが、心からの謝罪でなければ意味がない。


 バルコニーに出る。夜空に月が浮かんでいる。手を2回打ち鳴らした。


「お呼びでしょうか? エミリー様」


 背後にサッと黒服の男が現れる。ひざまずいて控えていた。


 冷たい声色で尋ねた。


「最近の国民の評判はどうなっている?」


 黒服の男は、顔を伏せたまま答えた。


「はっ! 国民の評判ですが、エミリー様の評判が急上昇しております。辺境に援軍を出し魔物を討伐したこと、またその軍を王子妃様が率いたことが評判になっているようです」


「そう。それは何よりだわ」


「しかし、ギュスターヴ王子様の評判は下がっています。辺境への援軍を率いることもせず。妻に何もかも任せている頼りない男との評判です」


「そう。それは困ったわね」


 最近、私の評判は良くなってきているが、反対に王子の評判はどんどん下がっていた。


「いっそ、王子を暗殺しますか? ア・ン・サ・ツ♡ 全ての実権をエミリー様が握るのです。王子に足を引っ張られることもなくなりますよ」


「そうね。暗殺しちゃおうかしら?」


 それを聞いて、黒服の男が顔をぱぁーっと輝かせる。よっぽど暗殺したかったらしい。


「嘘に決まってるでしょ! 王子を暗殺してどうすんのよ!」


「はッ! 申し訳ありません」


 王子がいなくなれば、当然だが王子妃として後ろ盾を無くすことになるのだ。それに、王子はたしかにバカでヘタレだが、根は悪いやつじゃない。殺すほど悪いやつじゃあないのだ。


「他に何か報告はある?」


「はッ! 今回の辺境の地の魔物討伐で評判を上げた者が、王子妃様の他にもう1人おります」


「ほう。誰かしら?」


「アランという名の下級騎士です。我が軍に所属。1人で魔物を100匹以上討伐する活躍を見せて話題になっております。勇敢な騎士です」


 うちのヘタレ王子とは大違いだ。その時、名案を思いついた。


「そのアランとかいう者を、王子の剣の稽古係として取り立てましょう。バカ王子を教育させるのよ」


「はッ。承知いたしました」



 そして、翌日。王子の御前に、下級騎士アランが呼び出された。ひざまずいて控える。


 赤い髪に、日に焼けた肌、スラリとした体躯の健康的な美男子だった。


「アラン・カストゥール。参上いたしました」


 よく通る声だ。王子は興味なさそうに見る。


「うむ。ご苦労」


 アランに向けて微笑んで見せた。王子妃スマイルだ。


「アラン。先日の魔物との戦いでは、たいそうな活躍だったと聞いています」


「はッ! ありがとうございます!」


「その活躍を見込んで、あなたに王子殿下の剣の指導を任せたいと思います」


 アランは、驚いた顔をする。無理もない。下級騎士には本来あり得ない大役だ。


「私が王子殿下に剣を指導するのでございますか?」


「そうよ。期待しているわ。アラン・カストゥール」


「ははーッ! ありがたき幸せ」


 とにかく、バカ王子の評判を上げなくてはならない。そのために一から教育し直さなければ。


 チラリと王子の方を見ると眠そうにあくびをしていた。


 なに、ぼーっとしてんのよバカ王子! これからビシバシいくわよ!



 ブクマや評価、感想をいただけると作者が泣いて喜びます。ポチッとお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。