Ep.42 適性検査、どうしましょう?
前話に引き続き、晴明を除いた研究会メンバー14人でオンラインミーティングの継続中です。
名前の横に何回生か書いておきますね。
桐生(4回生)
「そうだな、俺からミッションを出そうかな!」
いぶき(2回生)
「え、どんなミッションですか?」
桐生(4回生)
「明日から大学の授業が始まる、つまり、本格的な大学生活が幕を開けることになる。
それで、ただ過ごすだけではもったいないだろ?
そこでだ。
1回生はまず、大学生活に慣れる!
わからないことや不安なことは上級生に聞いてくれ!
大丈夫だ、あんぽんたんは多分わかると思う!」
1回生の二人
「「わかりました」」
いぶき(2回生)
「あんぽんたんって、誰のことを言っているんですか!?」
桐生(4回生)
「自覚あるなら直すように!」
いぶき(2回生)
「え〜!?( ; ; )」
桐生(4回生)
「次は2回生!
1年前の自分を思い出し、1回生のサポートをしっかりしてほしい。
また、せーめーさんを1回生に紹介し、親睦を深めてくれ!」
さや・湊・いぶき(2回生)
「「「わかりました!」」」
花村ひな(2回生)
「実は私、せーめーさんに会ったことないんですよ〜」
小日向すず(2回生)
「私も!」
桐生(4回生)
「そうか!意外と初対面組が結構いるもんだな!
かといって、研究会全体を集めるとしてもなかなか予定が合わないからな…」
画面越しで桐生が腕組みをして考え込んでいると、
テレビ電話の画面に手のひらマークが表示される。
発言をしたい時にそのアイコンを表示させることができるのだ。
雨宮(4回生)
「ちょっといい?
例えばなんだけど、ひとまずみんなで集まるのは夏休みとか、
そういう時間が取れやすい時にして、
それまでの間は、学年単位や個人単位で交流を深めたらどうかな?
それから、せっかく大学のこのデジタルワークスペースが使えるんだから、
これも有効に使えばそこそこ交流はできるはずよ?それからね。」
雨宮は一呼吸おく。
雨宮(4回生)
「単位落としたら洒落にならないから、しっかりやることはやろうね。
それと、せーめーくんや式神様の件は、今後どうなるかわからないけど、
参加しておいて損はないと思うの」
九条(1回生)
「どうしてそう言い切れるのですか?」
雨宮(4回生)
「え?だって、今後こんな体験できないわよ?
安倍晴明や式神様と交流なんて。
私、文学部だけどさ、空想の世界のお話だと思っていたもん。
それが目の前にあるって、ときめかない?」
九条(1回生)
「確かにそうですね」
桐生(4回生)
「まぁ、まだ1回生はせーめーや式神様に会ってないからな。ピンとこないのも無理はない。
近々交流できたらいいな!」
さや(2回生)
「後で予定調整しますね」
桐生(4回生)
「おう、任せたぞ。
次、本丸の3回生。
君らにはさっき一ノ瀬が言ってくれた内容をもう少し踏み込んだ内容にして、せーめーをサポートしてもらいたい。
2回生は1回生の大学生活のサポート役としたら、3回生は式神様たちへの適性検査の内容をせーめーと詰める役目だな」
速水(3回生)
「わお、やっぱりそれがきた!」
神谷(3回生)
「俺らで務まるのだろうか…?」
黒瀬(3回生)
「でた、心配性」
信長(3回生)
「でも、気持ちは分からなくはない」
薄々は分かっていた流れではあるが、やはりしっかりと言われると
途端にプレッシャーに感じてしまっているようだ。
そんな空気を壊したのは、この男だった。
白石直人(3回生)
「俺はまず、せーめーさんに会ったことないんだわ。
この春休み中、ずっといちごの世話を畑でしていたからさ。」
黒瀬(3回生)
「いちご?」
白石(3回生)
「うん、いちご。ゼミの研究で、いちごの品種改良をしているんだわ。
でさ、3月にいちごの花をいっぱいみてたんだけどさ、白くてかわいいの。
それで、ふとね、いちごの花言葉ってなんだろうって調べてみたんだ。
色々あるんだけどさ、中でも俺が好きなのは、
尊重と愛情
なんだよね。
俺ら、なんだかんだ言って相手を認めているし、
尊重し合っているじゃん?
そのことを忘れなかったらさ、神様相手でも怖くないんじゃない?
…まぁ、他の3回生と違って、せーめーさんや式神様に会ってないから好きに言えるんだけどさ」
神谷(3回生)
「…確かに、太常様は小さな食いしん坊なおじいちゃん、という感じだった」
黒瀬(3回生)
「…太陰様は凛としていてかっこいいお姉さんだった」
速水(3回生)
「せーめーさんは、平安貴族って感じがあるんだけど、現代にも馴染もうと頑張っているよな」
白石(3回生)
「…前からちょっと聞いていたけどさ、なんか、神!とか、陰陽師!という感じじゃないじゃん。
もちろん、尊重する心はしっかりと持たないと失礼だけどさ、
なんかこう、案ずるより産むが易し、な気がするんだわ。
不安だったら、せーめーさんや4回生、賀茂先生にも相談できる。
だから、完璧じゃなくてもいい。
まずは考えて、形にしてみようよ。
…まぁ、俺はなかなかクラブセンターの部室に行けないんだけどな」
信長(3回生)
「農学部はキャンパス違うもんな〜」
そんな空気になったところで、水瀬がおずおずと手を挙げた。
水瀬(1回生)
「あの、大学で栽培されたいちご、買えますか?
京都総合大学のいちご、とても美味しいって聞きました」
いぶき(2回生)
「ひよりちゃん、いちご好きなの?」
水瀬(1回生)
「はい、好きです」
いぶき(2回生)
「私も好き!」
白石(3回生)
「そういえば、そろそろ収穫なんだよな。
ゼミの教授が『人手が足りない』ってぼやいてたわ」
いぶき(2回生)
「私、いく!」
白石(3回生)
「お前はその後でいちごを食い荒らすんだろう?」
いぶき(2回生)
「ち、違いますよ!?(目が泳ぐ)」
完全にいちごの収穫の話で盛り上がっているが、ふと信長が手をあげる。
信長(3回生)
「すんません。話が盛り上がっているところなんですが、
一つ提案なのですが……
いちごの収穫、式神様やせーめーさんも参加してもらって、
交流会をするのはどうです?
いきなり適性検査!というのもアリなんですが、
交流してみて感じる内容も、検査では測れないところかなと」
それまでざわざわしていたのがシーンと静まり返る。
信長は少し気まずそうに、「やっぱダメっすかね?」と小声で言うと、
オンライン会議の画面には、ハートやサムズアップ、星などのリアクションが次々と表示される。
信長が驚いていると、桐生が口を開く。
桐生(4回生)
「いいじゃないか!
そういうのも立派な検査だ!
白石、やること分かっているな!?」
白石(3回生)
「は〜い……と言いたいところなんですが。
その前に賀茂先生に相談ですよね?
うちの教授、せーめーさんたちのこと知らないはずっすよ?」
桐生(4回生)
「しまった!失念していた!」
一難去ってまた一難。
さて、どうなることやら。
次回、ようやくせーめーさんが登場します(笑)




