Ep.41 選ばれた十四人(巻き込まれた)
デジタルワークスペースのチャットに晴明からのお願い文が掲載されたのを受け、
チャットの流れは、いつの間にかグループ通話へと移っていた。
いぶき
「3つのことってこの内容だったのね!なるほど!」
神谷
「ちなみに、何個あってた?」
いぶき
「1つ目だけあってた!」
神谷
「(苦笑)」
さや
「草案、作ってみました!
内容は
・現世でやってもいいことについての講義
・慣れてもらうために一緒に行動
・勉強したい内容に近い学部の学生と意見交換
どうでしょう?」
湊
「現世でやってもいいことって、神様たちも流石にわかっているんじゃないの?」
いおり
「固定観念危険。
神様だからどう考えているかわからない」
湊
「というと?」
いおり
「もし本当に全員の神様がいい神様たちだったら、
自然災害は起こらない。
これは人間にとってのことを考えていない」
湊
「腑に落ちるような、落ちないような…」
いぶき
「神様に私たちの常識が通用しない可能性がある!
というのをいおり先輩は伝えたいんじゃ!?」
いおり
「正解」
神谷
「いぶきがまともなこと言った」
速水
「春の嵐が来るぞ」
いぶき
「超失礼なこと言ってません!?」
そこへ桐生が通話に参加する。
「完全に出遅れた!
面白そうなことになってるじゃん!
なんか、せーめーさん以外の研究会メンバーがすでに
リアルタイムでいるっぽいから、オンラインでミーティングしないか?」
「「「さんせーい!」」」
桐生
「一ノ瀬の案についてだが、2項目めの一緒に行動というのと
3項目めの勉強したい内容に近い学部の学生との意見交換、これが使えるんじゃないかな」
さや
「やっと私の草案に触れてくれる人が現れた!
さすが桐生先輩!!」
桐生
「今回のプロジェクトは研究会総出で対応しないとおそらくうまくいかない。
そうなると、せーめーさんから依頼が来た時に、
俺らでできることとできないことをすぐに言える状態にしておくことが重要だ。」
いぶき
「確かに!」
桐生
「それで、幸か不幸かわからないが、
この京都総合大学は日本一の学部数を誇るせいで、
学びたい内容はほぼ網羅できてしまう。
ひとまず、研究会のメンバーがどの学部にいるかをおさらいしておきたいんだが…」
ピロン♪
チャットにメンバーの一覧が投稿される。
さや
「そうなると思って、事前に作っておきました」
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4回生
桐生恒一(法学部)
雨宮みお(文学部)
3回生
速水蓮(経営学部)
白石直人(農学部)
神谷悠真(工学部)
水無月信長(国際学部)
黒瀬いおり(看護学部)
2回生
火坂いぶき(スポーツ科学部)
一ノ瀬さや(情報学部)
一ノ瀬湊(理学部)
花村ひな(経済学部)
小日向すず(教育学部)
1回生
水瀬ひより(医学部)
九条智也(社会学部)
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いぶき
「さすがさや!これ、わかりやすいね!!
1年生、今年は2人なんだね〜!」
桐生
「そうだな!
うちの研究会は普通の入部方法ではないからな〜。
新入生のお二人、正直なところの感想、述べてもらってもいいぞ?」
???
「あ、では私が…」
桐生
「お、では自己紹介をよろしく!」
水瀬
「初めまして、水瀬ひよりと申します。医学部の1回生です。
えっと…入学式の日に部室にフラッと入ったらなぜか入部することになってて、
あれよあれよという間に今度は安倍晴明とその式神と接点を持つということで、
正直、情報過多で大変です。」
九条
「俺もです。あ、九条智也、社会学部1回生っす。
俺も水瀬さんと同じだったので驚いています。
神様って、本当に見えるんですか?
ちょっと信じにくいのですが…
また、先ほど桐生さんがおっしゃっていた、
入部方法が普通ではない、とはどういうことなのでしょうか?」
桐生
「そうだよな、そうなるのが普通、なんだよな。
神様は実際にいらっしゃるし、今後、お会いすることはあると思う。
また、この研究会について現時点で分かっていることは三つある。
①ここの部室には選ばれた人しか辿り着けない
②入学式の日、自然な流れで入部することになる
③学業には一切支障が出ないけど部活動もしっかり謳歌できる
この3つなんだ。」
雨宮
「どーも、雨宮です。桐生くんとも話していたんだけどね、
私たちは、もしかしたら最初からこの日のために集められていたのかもしれない、ということなんだわ」
「「「「!?」」」」
下級生から声にならないどよめきが起こる。
桐生
「まー、驚くよな。俺だって驚いている。
ただ、研究会の先輩たち、もう卒業されているけどさ、
どうしてこの研究会ができたのかが分かっていないって言っててさ。
ただ、何かのために用意された組織である、というのはあるみたいなんだ」
雨宮
「それで、今回のせーめーくんの件で、その仮説が一気につながった気がしたの」
しばらく沈黙が落ちたあと、いぶきが口を開いた。
いぶき
「うーん、よく分かんないけど!
私、せーめーさんのお手伝いしたい!
面白そう!」
水瀬
「私は…まずご本人にお会いしたいかもです。
そのあとでどうするか決めてもいいですか?」
桐生
「いぶき、水瀬さん、言いにくい中発言してくれてありがとう!
個々に思うことがあると思うから、どうしたいか一旦俺に連絡をしてくれるか?
その内容をもとに、せーめーさんと話を進めていこうと思う」
雨宮
「桐生くん、ごめんね。私、絶賛就活中でなかなか協力しづらいかもだけど」
桐生
「いえいえ、大丈夫ですよ。
俺も法科大学院の入試があるから忙しいけど、
みんなで分担すれば何とかなるさ。
優秀な下級生たちにやってもらいますよ」
いぶき
「私も!?」
桐生
「おう、そうだ!しっかり盛り上げてくれよ!」
いぶき
「わかりました!」
この会話をしているとき、雨宮のアカウントに桐生から個別メッセージが届けられる。
『いぶきにはムードメーカーとしてやってもらう予定です。
重要な内容は主に3回生に動いてもらいますので、ご心配なく』
今年度の研究会のリーダーは桐生である。
だからこそ、誰に何を任せるかを冷静に考えていた。
今回は珍しく晴明が一度も登場しません(笑)
研究会メンバーだけで話が進む回でした。
こういう群像劇もたまには書いていこうと思います。




