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せーめーさん、大学へ行く 〜神界から派遣されたら、大学が“現代陰陽寮”すぎました〜  作者: 水無月あすか
第一章 せーめーさん、大学デビュー

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Ep.4 せーめーさん、学食初体験

休息閑散、右文尚武


翌週の月曜から本格的に授業が始まるので

それまでにシラバスに一通り目を通し、

あらかた履修科目を決めておくことを念押しされ、

ガイダンスは終了となった。


他の学生が教室を出ていく中、晴明はじっと賀茂を見ている。

その視線に賀茂は気付き、首をかしげる。

「どうしました?」


晴明はフッと笑い、首を横に振る。

「……いいえ、少し懐かしく思いまして」


賀茂は訝しがるが、「あ、忘れてた」と言ってばっと晴明をみる。

「申し訳ない、安倍さん。あなたと面談するようにと

学長から言われていたのを思い出しました」


「お昼ご飯を食べてからでいいので、

今日の14時までに私の研究室に来てもらえますか?

研究室はこの校舎の5階で、

エレベーター降りて右に曲がったらありますので」


晴明はきょとんとする。

「5階?……えれべぇた?」


晴明の頭の上に大量のクエスチョンマークが

浮かんでいるように見えたので、

湊が肩をポンと叩く。


「……せーめーさん、大丈夫っす。今日は俺、一緒に動くんで」


「……よろしくお願い致します」


「……一ノ瀬くん、すまないがよろしく頼むよ。安倍さん、お待ちしています。」




ガイダンス会場を後にした晴明と湊は学食に向かった。


扉に手をかけようとすると自動で開くので晴明は通り抜けずに立ち止まる。


「……これはどんな術式が??」


「これは人体の体温を検知したら自動で開くように作られたものです。


他にも色々ありますが、また今度、色々みましょうね。


さ、こっちに座って待っていてください。


今日は俺が奢りますんで。」


ガスや麺茹で機、そしてレジを見たら絶対立ち止まってしまう、

と察知した湊は晴明を4人がけのテーブル席に座らせ、自身は注文に向かった。




湊がお昼ご飯をお盆にのせて晴明のところへ向かうと、

晴明の他に2人、見慣れた学生が座っていた。


「あ、姉さん、いぶきさん。二人も来たんですね」


「みなとくんだ!おっつ〜!食べよう!」


「湊、お疲れ様」


いぶきとさやはそれぞれすでに準備できていたが料理に手をつけていない。


湊を待っていたみたいだ。



「晴明さん、どうぞ」


「ありがとうございます。……こちらの料理はなんという名前ですか?

とても食欲をそそる、いい匂いがします」


湊はニヤッと笑いながらお盆を晴明の前に置く。


「カレーライスといいます。俺のおすすめです」


具材はあまりない、シンプルなカレーである。


「ここのカレー、美味しいよ!せーめーさん!


確か、人気メニューの1つだよ!今日は私、ラーメンだけど」


そう言いながらいぶきは大盛りラーメンを食べ始める。


「そのスプーンを使って食べるんですよ、こんなかんじで」


湊が手本を見せると、晴明は真似して一口食べた。


ゆっくり咀嚼していたかと思えば、次から次へと口に運ぶ。


3人は晴明の食べっぷりにびっくりしたが、晴明はあっという間に完食した。


「とても美味しかったです。我を忘れて無我夢中で食べてしまいました」


晴明は3人のメニューを見ながらメモをする。


食材の品質、料理の技量、そして味、どれも素晴らしい

これが術式で生まれているのではなく人が生み出している、信じられない


「さやさん」

晴明がさやに声をかける。


「さやさんのは、なんという料理ですか?」


「あ、はい!えっと、私は今日はオムライスを選びました」


「おむ、らいす?」


さやはオムライスをスプーンで切り、断面を晴明に見せる


「トマトケチャップという調味料で味付けしたご飯を、

薄く焼いた卵で巻いた料理です」


晴明は目を丸める


「米が赤い!」


「そこかーい!」


いぶきが間髪入れずに突っ込む。


「でもいぶき、せーめーさんが知らないのも無理ないわ。


だって、確か、平安時代にはなかったはずだもの」


さやが淡々と説明する。

湊はニコッと笑いながら晴明に話しかける。


「現代の食文化もやはり違っていますね。

せーめーさん、最初は戸惑うかもですが楽しんでくださいね」


「楽しむ、ですか」


楽しむという概念がなさそうな晴明。


「はい!食事もある意味色んなことを繋ぐものなので!」


「つーか、せーめーさん、カレーを食べている時楽しそうだったよ!」


いぶきの言葉にハッとする


「……これが、楽しむ、ですか?なんと!!」


「ひとまず、感じることをそのまま感じてみたらいいんじゃない!?」


「いぶき、あなたの場合はそれが限度を超えているんですけどね」


さやのツッコミに「何言ってるの〜」と戯れるいぶきを見ながら、

今まで感じたことのない高揚感が、

晴明の胸に静かに芽生えつつあった。

次回、賀茂先生と面談

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