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せーめーさん、大学へ行く 〜神界から派遣されたら、大学が“現代陰陽寮”すぎました〜  作者: 水無月あすか
第一章 せーめーさん、大学デビュー

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Ep.3 学ぶとは、選ぶことらしい

用意周到、緊褌一番


ガイダンス資料を配り終え、

賀茂は説明を始めた。


授業の選択方法。


履修登録の手順。


提出方法と締切。


他学部授業を受講する際の注意事項。


新入生にとっては、

どれも初めて聞くことばかりである。


教室内では、

あちこちから小声の質問やため息が漏れていた。


だが、

その中でも一際目立っていたのは、

最前列に座る二人組だった。


「ぱそこん、すまほ。

それは何ですか?」


「え?」


湊が思わず聞き返す。


「“履修登録はオンラインで行います”と、

先ほど賀茂先生がおっしゃっていたので。」


晴明は真剣な顔で資料を指差した。


「“おんらいん”とは、

どこかへ赴く必要がない、

遠隔術式のことですか?」


「まぁ……

間違ってはないっす。」


すると晴明はおもむろに懐から和紙と筆を取り出し、サラサラとメモをし始めた。

しかも縦書きである。


『え!?筆記用具、それ!?』

湊、そして教壇に立っている賀茂は同時に同じことを思った。

しかし、ガイダンスを止める訳にはいかないのでそれを口にはしない。


本人は至って普通のことなので気にも留めない。


ふと、晴明が挙手をする

「賀茂先生、質問よろしいでしょうか?」


「は、はい?なんでしょう??」

まさか質問するとは思わなかったので賀茂は驚いたが

なるべく動揺しないように装う。


「資料に記載されている『1セメスターあたり24単位まで』とありますが、

これには何か意図があるのでしょうか。

大学は学問を行うところだと聞いておりますが、

制限を設けるというところに違和感がありまして」


賀茂は一瞬、

言葉に詰まった。


履修方法の質問ならともかく、

思想を問われるとは思わなかった。


教室内も、静まり返っている。


「……大学では、

学問だけでなく、

生活との両立も必要になります。」


「限られた時間の中で、何を選び、

どう学ぶかを考えるのもまた、

大学教育の一つです。」


気づけば、晴明だけでなく、

教室中の新入生が賀茂の話に耳を傾けていた。


賀茂はフッと微笑みながら話を続ける。

「皆さんは今、やる気や期待に満ち溢れています。

様々なことに挑戦する、とても素晴らしいことです。」


「しかし、挑戦をすることと無謀なことをすることは違います。

自分が学びたいことと本当に自分が学ぶべきことは

必ずしもイコールとは限りません。」


「なので、あえて制限を設けることで、バランスを保てるようにしています。

……これで回答になりましたかね?」


晴明は静かに頷く。


「丁寧にご教示くださり、お礼申し上げます。」


賀茂は「いえいえ」と言い、説明を続けた。


晴明は賀茂の説明を興味深く聞きながら


『選択とは、現代知識体系における重要概念』


と他のメモよりも大きく、力強い筆使いで書く。


「いや何メモってるんすか。」


湊が小声でツッコんだ。

ガイダンスの後は

お昼ご飯です。

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