表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せーめーさん、大学へ行く 〜神界から派遣されたら、大学が“現代陰陽寮”すぎました〜  作者: 水無月あすか
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/44

Ep.37 腹が減っては計画はできぬ

慮外千万、計画推敲


オンライン会議の翌日。

神界から戻ってきた晴明は、自室へ入るなり紙と筆を手に取る。

『私の思考を整理するのは、私がやり慣れた方法でいいのです』

思いつくままに筆を走らせる。

書いては考え、書いては考え、

いまいちなものに関しては捨てるのではなく斜線を引くのみ。

今は「いまいち」と思っていても、後々その考えが使えることもあるため、

完全に墨消しはしないスタイルである。


どれだけ時間が経ったのだろうか。

コンコンと扉をノックする音が聞こえる。

「はい?」

「安倍さん?朝ごはんできましたよ?食べられますかな?」

扉の向こうから大家さん(一ノ瀬姉弟の祖父)が声をかける。

「あ、ありがとうございます、いただきます」

晴明は筆を置き、席を立った。


晴明の下宿は現代でも珍しい賄い付きである。

食堂には一ノ瀬姉弟の祖父母がいるが、下宿の大家でもある。

下宿生はそれぞれ「大家さん」「おかみさん」と呼び分けている。

「大家さん、おかみさん。おはようございます」

そう言いながら席に着く。

食卓には、ご飯に味噌汁、焼き鮭が並んでいる。

その中で、晴明の目にとまる一品があった。

一見すると豆であるが、独特の発酵した臭いがする。

思わず晴明は顔を顰める。

それを見たおかみさんが問いかける。

「あら、安倍さん。納豆、お嫌いでしたか?」

晴明は首を横に振る。

「いえ、この料理、初めて見たもので。

納豆、というのですね」

すると大家さんが納豆の入った小鉢を持ち上げる。

「そうか、では食べ方を教えようか。

もうね、調味料はかあさんが入れてくれているから、

箸でしっかり混ぜて食べたらいいんだよ」

そう言いながら箸でぐるぐると納豆をかき混ぜる。

晴明も大家さんの真似をして納豆を混ぜる。

最初は納豆の豆同士が固まっていたが、数回混ぜると豆がほぐれ、

混ぜていくと次第に粘り気を帯びていく。

ますます怪訝そうな表情になる晴明。

「…大家さん」

「なんや?」

「…糸を引いているのですが、これは腐っていないのですよね?」

大家さんは笑う。

「腐っているのではなく、これは発酵や。

腐っていたら食われへんよ。

まぁ、ご飯と一緒に食べてみ」

大家さんに促されるまま、晴明はご飯と一緒に納豆を食べてみる。

「…」

晴明はゆっくりと咀嚼する。

口の中で粘りが広がる。

飲み込んで一言。

「…初めての体験です」

そう言いながら食卓に置かれていた醤油に手を伸ばす。

「もう少し醤油がかかっていた方が美味しい気がします」

たらりと醤油を垂らし、再度納豆を食べる。

「うん、美味しいです。

まだまだ私が知らないこと、いっぱいありますね」

そういってパクパクと箸を進める晴明。

その様子を見て大家さんも嬉しそうである。

「お、納豆のうまさがわかったか!

君とは話が合いそうや!」

「おとうさん、押し付けすぎたらいけませんよ?」

「かあさん、それはわかっているって」

大家さんとおかみさんの掛け合いを微笑ましく見ながら、晴明は箸を進める。

『やはりこの世の中のことを私は知らなさすぎる。

納豆の見た目で拒絶しそうになりましたが、きちんとした一品でした。

見た目と中身が違う、ということもありうる、ということでした。

ということは、謎の光線にいきなり触れるのではなく、

その光線によって人に悪影響があるのか否かといった、

現代で起こっている問題を調べることも視野に入れるべきかもしれない。

…朝食が済んだら、再び計画に取り掛かりますかね』

朝ごはんを食べながら計画を練るあたり、やはりただものではない。


朝食を終えた晴明は自室に戻る。

部屋に入ると、それまで自分が書いていた紙が床に散乱しているのを目の当たりにする。

「思っていた以上に書いていたのですね。まぁ、まだ粗いところがあるんですがね」

そうひとりごちると再び筆を取った。



「…できた。計画、というか、指針ですね」

時計を見ると、すでにお昼の12時を回っている。

コンコン、と扉がノックされる。

「安倍さん?お昼できたけど、食べられますか?」

どうやら夢中になると時間を忘れるらしい。

グッドタイミングとは、こういうことである。

今回の四字熟語(?)「計画推敲」は作者の造語です。

晴明なら計画を立てながら何度も練り直すだろうな、と思って作ってみました。

ほんまにあったらおもろいな( ̄▽ ̄)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ