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Ep.27 現代流の通信術式習得

進取果敢、独立独行


シラバスや開講時間、そして湊のアドバイスを参考にしながら、

晴明はオンラインで履修登録を終えた。

湊が細かな点を説明する。

「ひとまず登録をしましたが、

選択科目に関しては初回授業を受講してみてイマイチだったら

その授業を履修登録から外すことができます。

ただ、期限を過ぎると自動的に本登録になりますので、

そこは気をつけてくださいね」

「はい、ありがとうございます」

晴明はお礼を言いながらスマホを取り出し、興味深そうに画面をスクロールする。


「…おぉ、先ほど登録した内容がもうここに表示されていますね。

これは、非常に便利です。

現代の人々は、こういう”術式”を使って、

こんなにはやく情報処理をしているのですね。

千年前だと早くて翌日でした。下手したら1週間後でしたねぇ。」

湊はうんうんと頷く。

「ちょっと調べるというときはスマホって便利なんですよね。

反対に、がっつり調べたいとか、長時間編集したいとかだったら、

パソコンのほうが楽ですし、できることの幅が広がります。

やりたいことに合わせて道具も変えていく、という感じですね」

「なるほど…おや?」

晴明は右下に表記されているアイコンを指差す。


「あの、この絵ですが、前は緑色でしたが今は黄色になっています。何でしょう?」

「どれですか?…あぁ、これはですね」

湊は慣れた手つきでパソコンのバッテリーコードを取り出して繋ぐ。

晴明が気になったのはバッテリー残量を表すアイコンだったのだ。

コンセントに繋げると、アイコンに電撃マークが追加される。

「湊さん、先ほどの絵にいかずちのマークが出ました。これは?」

「パソコンやスマホは、一定量の電気が必要でして。

今、こう繋いで充電しているんですよ」

「なるほど。パソコンやスマホの術式条件には電気が必要なのですね」

晴明は電気と聞いて思いつく。


「湊さん、式神様に充電をお願いするのはアリですか?」


「…はい?」

この人、なに言っているんだ?という雰囲気パート2である。


晴明は構わず続ける。

「白虎様だけでなく、複数名の式神様が電気系の技が使えるのです。

コンセントがないけれど充電しなきゃいけない、というときにお願いできるかなと」

「えっと…1つ懸念材料がありまして」

「はい、何でしょう?」

「その電気系の技ですが、威力はどのくらいなのでしょうか?」

「そうですね…手加減した状態で、大きな樹木が真っ二つになる程度でしたでしょうか」

「…せーめーさん」

晴明の話を聞いて湊はやれやれと首を振る。

「それ、手加減って言わないんですよ……。

なので、パソコンやスマホだけでなく、電化製品全て壊れるので、絶対にダメです」

「えぇ?こんな素晴らしい術式を展開するのに必要な電気は威力が大きいものでないといけないと思ってたのですが」

「…いえいえ、電気が多すぎると逆に現代人には扱いにくいのですよ」

「そうなのですか…」

いい考えだと思いましたのに、と、晴明はぼそっと独り言を呟いたのだった。


しょんぼりとしている晴明を見て、湊は苦笑する。

「まぁまぁ、一つずつ覚えていきましょう。あ、そうだ」

湊はポケットに手を突っ込み、自分のスマホを取り出した。

「せっかくなので、連絡先を交換しましょ!

まだSIMがないので電話はできませんが、

Wi-Fiは繋がっているのでメールでのやり取りができます。

あ、メールは、電気を使う文のことです。

ちょうど、大学から割り当てられたメールアドレス…

相手のパソコンの住所みたいなものですかね、

ひとまず今回はそれを使いましょう。」


そう言って、メールアプリを開き、

手慣れた手つきで晴明のスマホに湊のメールアドレスが登録された。

「これで、俺とメールでのやり取りができますよ。」

「おぉ……これだとわざわざ式神を召喚する必要がなくなるのですね。

文を出すのに使いをわざわざ呼ばなくてもいい。

しかも、すぐに湊さんに私の用件が届けられる。

次から次へと色々な”術式”が出てきて面白いですね」

「そう言ってもらえると俺も嬉しいです。

さて、他に登録したい人はいますか?」


晴明はしばし考えた後、とある人が頭に浮かぶ。

「賀茂先生のご連絡先は知っておきたいです。」

「いいですね。一応、シラバスに先生のメールアドレスは書いていますが…」

「少し思うことがありまして、一度賀茂先生とお話ししたいのですよね」

そういうと、

「湊さん、私、今から賀茂先生のところに一人で行ってきます」

ノートパソコンを手に持って、晴明はあっという間に部室を出て行った。


一人部室に残された湊はポツリと呟く。

「せーめーさん、一人で賀茂先生のところに行けるかな…」

ただ、考えを改める。

「でも、よくよく考えたら、せーめーさんはあの安倍晴明だから。

なんとかなるだろうな」

そう思い、姉のさやに情報共有のメッセージを送るのだった。


ひとりでいけるもん☆

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