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せーめーさん、大学へ行く 〜神界から派遣されたら、大学が“現代陰陽寮”すぎました〜  作者: 水無月あすか
第二章

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Ep.26 自分から心霊現象を起こしちゃダメだよ

多貪無厭、七転八起


白虎と湊が買ってきたジュージューの唐揚げ弁当と、

インスタントの味噌汁でお昼ご飯にすることになった。

テーブルを囲みながら、白虎と湊は、

自分たちが部室にいなかった間の出来事を教えてもらう。

話が進むうちに、湊の顔に同情の色が浮かんだ。

「…色々と、お疲れ様でした」

湊が晴明に深々とお辞儀をする。


「というよりかさぁ」

唐揚げ弁当十人前を食べている最中の白虎が、

唐揚げを頬張りながら会話に入る。

太陰たいおんのバァさん、邪魔したらダメだろ」

その発言を受けて太陰たいおんはムッとした表情を浮かべる。

「邪魔はしてはおらぬぞい?わしはだな、疲れた坊のためを思って…」

ちょっと険悪なムードになりそうになったので、

晴明は白虎と太陰たいおんに1つずつ、自分の唐揚げをあげる。

「まぁまぁ、せっかくの美味しい食事なんですから、その話はここまでにしましょう?

私の唐揚げ、あげますので」

「おい、晴明。食べないと大きくなれねぇぞ?」

「そうじゃよ。わしに渡さなくてもよいんじゃぞ?」

白虎と太陰たいおんが思い思いに思ったことを口にする。


「まぁまぁ。私はこれから食べる機会は多いと思いますが、

お二人はなかなか食べる機会は巡ってきにくいかと。

せっかくの機会なので、ぜひ召し上がってください」

「…そうか、ありがとうな。晴明」

「あんなに小さかった坊が、こんなに優しい子に育つなんて…

わしは嬉しいよ」

そう言いながら、二人は食べる。


晴明はにこやかに笑いながら、内心はちょっとホッとする。

『喧嘩になったら、この部室が吹き飛ぶ可能性がありますからね…

それは避けることができたのでよかったです。

あと、白虎様の食の量の感覚、やはりずれていますね…

私、お弁当を三人前なんて食べきれないですよ。

いただいたので残さず食べますが、にしてもな…』

一難去ってまた一難とはこのことである。


食事が終わってから一息つくと、さやがパン、と手を叩く。

「せーめーさん、では今日やることの履修登録をやりましょう!

なので、湊に先生役を交代してもらおうと思います」

そしてさやは白虎と太陰たいおんに話しかける。

「せーめーさんが大学の手続きをしている間、私と大学構内やその周りを探検しませんか?

インターネットではわからない、現実世界を見るのも面白いかと思いますが、いかがですか?」

「おう、俺は構わないぜ。

バァさんはどうなんだ?」

「わしも賛成だねぇ。可愛い坊が通う学舎を見ておきたいねぇ」

「では、お二人ともOKということですね。

では、早速いきましょうか」

「あ、もう行くのか?

晴明からもらった残った金でなんか買ってもいいか?」

「白虎、あんた、どれだけ食べたら満足できるんじゃ?」

さやは「はいはい、いきましょうね〜」と言いながら、

嵐の元凶となりかねない二人を連れて部室を出て行った。


部室には湊と晴明の二人になった。

湊はふぅ、と一息つく。

「神様のキャラ、濃いですね」

「えぇ、まったくです。悪気があるわけではないのです。

神様なので、感覚がずれているところがありまして」

「そうですね。白虎さん、俺にお弁当を5個買ってくれようとしていました。

若いんだからしっかり食べないといけない!って。もちろん、丁寧にお断りしましたが。

…さて、ではねーちゃんたちが帰ってくる前に履修登録をやってしまいましょう。

開講授業については昨日、分厚いシラバスの冊子をもらっているかと思うんですが、読まれました?」

湊の問いに晴明は頷く。


「えぇ、しっかり確認いたしましたよ。

賀茂先生がおっしゃっていましたが、履修登録ができる授業数が決まっていますので、

取らなければならない授業と、そうでない授業の取捨選択をしなければならないというのが悩ましいですね。全部受講したいくらいです」

「そんなことしたら体がいくつあっても足らないですよ」

湊は、晴明の話が冗談だと思い、ケラケラと笑うが、晴明はじーっと黙って考えている。

そして、ぽつり。


「湊さん」

「はい」

「私が分身して受けたい授業を受けるというのは、アリですか?」

「…はい?」

この人、なに言い出した?というノリの返答の声である。


晴明は至って真面目に考えている。

「履修登録ができる授業数は決まっています。もちろん、それは制度上です。

じゃあ、別に履修登録をしなくても授業に参加したらいいのでは、と考えたのです。」

「あ〜、まぁ、聴講生、という感じだったらいけるかと思います。

ただ、今度は、大学内で怪奇現象を引き起こしかねないかなと」

「怪奇現象?」

湊は頷く。

「あ、せっかくなんで、検索してみましょうか。

俺が恐れているのは、ドッペルゲンガー現象が大学内で噂が広まったらちょっと良くないかなと」

「ど、ドッペル?」

「そうです、ドッペルゲンガー、とここに入力して検索をクリックしてみてください」

晴明はパチパチとキーボードをタイプして検索をクリックする。

そして、ドッペルゲンガーの意味が書かれたページを読んで、しばしフリーズする。

「…これは確かに、大学内は混乱しますね。

私が複数の講義室に同時にいた場合、

分身の術ではなく"怪談"として処理されるのですね。

…もう少しいい方法を考えてみます」

分身の術はいい方法だと思ったんですがねぇ、と独り言を言っている晴明だった。

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